「嫌われる勇気」を読んで組織への依存と自立、そして貢献感について考える

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photo credit: jump for joy via photopin (license)

みなさん、こんにちは!
タカハシ(@ntakahashi0505)です。

今更ですが『嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え』を読んでみました。

2013年に第1刷が発行されてからずっと売れ続け、115万部を突破したしたそうです。

本書はアドラー心理学の立場から懇々と話をする「哲人」と、社会(とくに対人関係)で打ちひしがれている「青年」との会話形式で書かれている、心理学(というか哲学)の本としては珍しいスタイルです。

読者が抱える悩みや不満や疑問を青年が「ええい、このサディストめ!あなたは悪魔のようなお方だ!」といった具合で、ビシバシぶつけてくれるので非常に軽快に読み進めることができます。

本書では「親子」「家族」「学校」「友人」「職場」などあらゆる人間関係を対象としていますが、私としては自らのテーマである「働き方」にどう活かせるかが念頭にありました。

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ひとり社長はストレスフリー

アドラー曰く

「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」

と、にわかには信じがたい極論が飛び出ます。

実はそれを裏付けるように、私が独立してから仕事での悩みは一気に激減しました。

唯一、定常的な悩みとしては、もっと稼がないと…という悩みはありますが、それについては自己責任ですし頑張ってPDCAを回すのみです。

お客様との関係においてストレスになることは全くありません。おそらく、前提として最初っから「課題の分離」ができているからでしょう。

ですから、そもそも悩みが少ないですし、ストレスもなく、夜もぐっすり眠れます。

しかしながら、これまで私が渡り歩いてきたいくつかの会社組織を考えると、そこでアドラー心理学を実践しようとしたら…

それこそ、多大なる勇気が必要だと感じました。

多くの会社でアドラーを実践する困難さ

今後、やれることを増やしていきたい、スケールしないとできないことを達成したい、と思ったときに、組織化という段階を踏んでいく必要が出てくる可能性があります。

しかし、本書を読めば読むほど、会社という組織が人間関係において非常に難解な環境であることを思い知らされます。

あらゆる「縦の関係」を否定

まずアドラーは上下関係を真っ向から否定します。

アドラー心理学ではあらゆる「縦の関係」を否定し、すべての対人関係を「横の関係」とすることを提唱しています。

これは人間関係としての縦横を言っているのであり、職掌としての縦横ではありません。

意識の上で対等であること、そして主張すべきは堂々と主張することが大切なのです。

と言っている通りです。

ですが、経営者を頂点として、中間管理職がいて、その下に部下がいて…というピラミッド型の組織が一般的であり、そしてそれが「そういうもんだ」という文化として根差しています。

上司になった人は、部下は命令通りに動くべき、指導を受けるべきと思っています。

部下になった人は、上司は事業の責任を持つべき、指導を与えるべきと思っています。

しかし、そのスタンスは対人関係として良くないと言っています。

他者を「評価」しない

一般的な会社組織では、上司が部下を評価するのは当然で、それが給与や人事に関係してきます。

常にプラスに影響をすれば良いのですが、マイナスに影響をするときもあります。

評価制度がきちんと機能していない場合は、会社や上司の「裁量判断」の範囲が幅広くなってしまいがちです。

優秀な成果を上げた人材でも、会社が儲かっていないと評価を下方修正したり、好き嫌いや政治的な要素を評価に反映させたり、ということは実際にあるのだと思います。

そうなると、上司に気に入られようとする部下もいるわけで…

もうなんだか考えただけで疲れますね。

本書はこの部分も真っ向から否定をしていて、こうも言っています。

いちばん大切なのは、他者を「評価」しない、ということです。

でも多くの上司は部下を評価せざるを得ないです。

私も管理職時代は30人近くの部下の評価をしていましたが、違和感がありました。良い評価なんてどうやってやったら良いものか…。

これは誰の課題なのか?

本書を読んで大きな収穫の一つだったのは「課題の分離」という概念です。

子供が勉強をしない、という状況の時に、親や大人たちはどのようなアクションをとるのが良いのでしょうか?

哲人はこう言います。

勉強することは子どもの課題です。そこに対して親が「勉強しなさい」と命じるのは、他社の課題に対して、いわば土足で踏み込むような行為です。これでは衝突を避けることはできないでしょう。
(中略)
あらゆる対人関係のトラブルは、他者の課題に土足で踏み込むこと―あるいは自分の課題に土足で踏み込まれることーによって引き起こされます。

なるほど。

これが会社組織だったらどうなるか…

上司は動かない部下に指導、場合によっては叱責をしますし、もしそれでもうまくいかない場合はチームメンバーがフォローをしてかぶったり、上司が最終的に責任をとる必要が出てきたりします。

その課題が「誰の課題か」を見分ける方法として

その選択によってもたらされる結末を最終的に引き受けるのは誰か?

という方法が提唱されていますが、組織によっては「これをやらないと誰が困るのか?」が自分以外の別の人にも及ぶ場合が多いような気がします。

所属している共同体で所属感が持てないとき

本書では、例えば学校という共同体において所属感が持てないときはどうしたらよいか、こう書いてあります。

学校の外には、もっと大きな世界が拡がっています。そしてわれわれは誰しも、その世界の一員です。もしも学校に居場所がないのなら、学校の「外部」に別の居場所を見つければいい。転校するのもいいし、退学したってかまわない。退学届け一枚で縁が切れる共同体など、しょせんその程度のつながりでしかありません。

ビジネスマンの多くは会社への依存度が高い状態です。

活動の時間のほとんどを会社で過ごしていますし、所属してる共同体は唯一会社だけ、というケースも少なくありません。

「退学」しようにも、生活を考えると資金面で簡単にはいかない場合も多いでしょう。

また、多くの企業において雇用契約上で副業禁止や退職時の競合避止の縛りがありますから、それも会社への依存度を高める要因となっています。

より大きな共同体の声を聴け

前述のような会社組織ばかりではなく、アドラーが提唱することを実現しやすい組織もたくさんあると思います。

例えば、以前記事に書いたGoogle社の組織。

Googleに学ぶ、直観や独善を排除して真実とデータによって作る最高のチーム
今や6万人を超える巨大な組織となりながらも、最高のチームを維持継続させ続けているGoogle。その人事のトップがGoogleの人事について語り尽くした書籍「ワーク・ルールズ!」を読みました。

徹底的に独善を排除して権限が集中しないようにする組織の作り方は非常に参考になります。

また、フラットな組織管理体制「ホラクラシー」を採用している会社も増えてきています。

少し前訪問した、あるテクノロジー系企業が、少し変わった会社だった。社長、役員、フリーランス、そしてパートタイム労働者だけで事業を構成しているのだ。 つまり、「正社員」は一人もいない。    聞くと、「こういう会&

ですから、「会社組織はダメだからみんな独立しよう」などと単純に推奨しようなどとは思いません。

しかしながら、今現時点で良い対人関係を構築できている環境だったとしても、明日はどうなるかわからないということです。

このままずっといけるかも知れないし、何かのキッカケで環境が変わるかも知れません。

唯一の会社にフルコミットしている限り、そのキッカケで人生が大きく影響されてしまう可能性があります。

ですから、今所属している唯一の共同体以外の視点を持つのが良いということなんだろうと思います。

しかし、ここで注目してほしいのは「もっと別の共同体があること」、特に「もっと大きな共同体があること」なのです。
(中略)
学校なら学校という共同体のコモンセンス(共通感覚)で物事を判断せず、より大きな共同体のコモンセンスに従うのです。

リアルの所属をしなくても貢献感は得られる?

私は「真の安定とは何か?」を考えた末に会社組織を飛び出しました。

私が仕事を辞めて独立して起業をすることになった理由
来る2015年6月をもちまして現在の会社を辞めることになりました。ほどなくして法人を設立しましてひとり社長として活動を開始します。今回はそのご報告とともに、それに至る経緯についてお話できればと思います。

会社という共同体には属していませんし、他の何かの組織に強い所属感を感じているということはありません。

ですが、今の活動でいうとちょっとした使命感もありますし、以前よりは働くことを通しての貢献感も感じられるようになってきました。

こうして書いているブログも、1月で15万人くらいの方が訪れてくれています。直接的にお金をもらっているわけではありませんし、その反応のほとんどはわかりませんが、きっと役に立っているんだろうと思います。

アドラー心理学については、まだちょっとだけ足を突っ込んだだけなので、ほんのりとしか理解できていません。本書によると、あと20年、私が60歳くらいになるとわかってくるようになるそうです。

いずれにしても、今まで考えていた常識や、世の中に流布している常識を横にどけて、自分のライフスタイルを見直す機会としては本書が役に立ちそうです。

定期的に読み直したい書籍の一冊です。