みなさん、こんにちは! タカハシ(@ntakahashi0505)です。
DXやイノベーション、わかっているけどうちの会社はなぜかできない…その謎を解明する書籍『企業変革のジレンマ』。
前回は、本書の全体概要と重要な前提についてお伝えしました。
その謎そのものを示すのが、紹介されている「構造的無能化」という現象です。
今回は、この「構造的無能化」とは何か、どうしてそれが起きるのかについて考えていきます。
ということで、今回は「企業変革のジレンマ②~構造的無能化とそのメカニズム」についてお伝えします。
では、行ってみましょう!
変革が進まない理由は誰のせいでもない
「なぜ、あなたの会社の変革は進まないのか?」――その問いに対して、多くの人は経営者や他部署、他の担当者のせいにしたがります。
しかし、書籍『企業変革のジレンマ』では、その問題を誰かのせいにするという矮小化して解決しようとするのを許しません。
なぜなら、実はみんなが真面目に働いているにもかかわらず、集団として無能になってしまう構造的な、かつ複雑な現象がその要因だからです。
この現象を「構造的無能化」と呼んでいます。
構造的無能化はどのようにして起こるのか
成長と分業化がもたらす「断片化」
では構造的無能化はどのようにして起こるのでしょうか?
新規事業の立ち上げを例にイメージしていきましょう。
まず、ビジネスが立ち上げ期、最初は少人数で全員が営業をし、全員が開発するというような、全員野球の体制です。うまくいったり、いかなかったり。試行錯誤しながら進めていきます。
やがて、うまくいき始め、成長拡大していくとどうなるでしょう。
成長拡大に合わせて、人手が必要になります。人員を増やしていきますよね。かつ、効率化を図るために役割分担が進み、次第に分業体制が確立されていきます。
人数が10人、30人、100人と増えるに連れて、営業と開発にわかれ、営業がセールスとカスタマーサクセスと営業事務にわかれ…というように、役割が細かく分かれていくわけです。成長拡大、生産性の向上でいうととても良い流れに見えます。
しかし、この過程で、同時に起きているのが「断片化」です。
分業化は生産性の向上に寄与しますが、それぞれの部署や、担当者の守備範囲は狭くなっていきます。守備範囲が狭くなるということは、視野、見えている世界が狭くなるということ。全体の動きが見えなくなるという課題を生み出します。
変化を捉えたり、起こしたりがしづらくなる「不全化」
断片化のあとにどのようなことが起こるでしょうか。
書籍で紹介されていた事例がこうです。
ある企業の主力商品部門の営業担当者が、自社製品の技術を応用して新たなサービスを生み出せるのではないかというアイデアを思いつきました。
しかし、そのアイデアを事業部長に相談すると、「既存製品の売上にどうつながるのか?」「他社との差別化にどう寄与するのか?」と、意外な質問をされてしまいます。
これに対して、うまく回答ができない、またはそれ以外のうまい立ち回りができずに、結局このアイデアは埋もれてしまいました。
「主力商品部門」という断片での中でしか思考できなかったために、また、これまでのやり方・考え方・リソースの使い方などの慣性力が強く働いているために、変化を捉えたり、変化を起こしたりがしづらくなってしまったのです。
この状態を「不全化」といいます。
表層的な問題に追われるようになる「表層化」
断片化により、不全化と同時に起きるのが「表層化」です。
断片化されたそれぞれの部門で、さまざまな表層的な問題が発見され、その解決に追われるようになってしまうという状態です。
たとえば、この企業の経営者からの視点では、実は新規事業を心から望んでいました。
そのために、イノベーティブな人材を育て、確保するために、エンゲージメントの向上や、若手社員の離職率の改善を人事部門に指示していました。
ここでいう、エンゲージメントの低下や離職率の上昇は、組織が変われないことによって生み出されている問題であり、まさに表層的な問題でした。
構造的無能化の悪循環を断ち切るには
このように、断片化、不全化、表層化が進むことで、かつては環境適応に成功した組織が、次第に環境に適応できなくなるという悪循環に陥ります。これが構造的無能化のメカニズムです。
この悪循環を断ち切るために、どうすればよいのか。
その方法について、本書で明らかにされていますので、ぜひ読んでみてくださいね。
まとめ
以上、「企業変革のジレンマ②~構造的無能化とそのメカニズム」についてお伝えしました。
引き続き、みなさんがいきいきと学び・働くためのヒントをお届けしていきます。次回をお楽しみに!
この話を耳から聴きたい方はこちらからどうぞ!