みなさん、こんにちは! タカハシ(@ntakahashi0505)です。
今日は注目の一冊『ホワイトカラー消滅』から、リスキリングが必要となるメカニズム、そしてホワイトカラーに求められる真のリスキリングについて考察します。
ということで、今回は「『ホワイトカラー消滅』から読むホワイトカラーに求められる真のリスキリングとは」です。
では、行ってみましょう!
人余りに直面するホワイトカラーへの処方箋
人口動態の変化、デジタルを中心とした技術の革新、それによって今後僕らの「働く」に何が起こるのか…本書『ホワイトカラー消滅』は、それをグローバルとローカル、ホワイトカラーとエッセンシャルカラーという対比で紐解いていきます。
具体的には、ローカル企業のエッセンシャルワーカーは圧倒的な人手不足に見舞われつつあり、一方で、グローバル企業ではホワイトカラーの人員が余剰するということが起こります。
このミスマッチの中、ホワイトカラーはどうすればいいのか、4章「悩めるホワイトカラーとその予備軍への処方箋」から考えていきます。
リスキリングがなぜ必要なのか? そのメカニズムを理解する
「リスキリング」という言葉、よく耳にしますよね。
でも、なぜリスキリングが必要なのでしょうか?
本書では、そのメカニズムが簡潔に解説されています。
まず、個人が持っているスキルと会社が求めるスキル、この2つを思い浮かべてみてください。
これらのスキルが概ね重なっている状態であれば、特にリスキリングは必要ありません。会社が求める仕事と、あなたが提供できるスキルがマッチしているわけですから、今のままで問題なく活躍できるはずです。
しかし、会社が事業モデルを変えると、状況は一変します。企業が求めるスキルと、個人が持つスキルの重なりが、どんどん狭くなっていくのです。
たとえば、自動車業界を例に考えてみましょう。これまでは内燃機関、つまりガソリンエンジンが主流でしたが、これからは電動化の時代です。さらに、自動車の付加価値を生み出す領域も、ハードウェアからソフトウェアへとシフトしています。
つまり、これまで自動車に携わっていたエンジニアは、電気自動車や自動運転に関する新しいスキルを身につけなければ、活躍の場が狭まってしまう可能性があります。
このように、企業が事業モデルを変えることで、個人に求められるスキルも大きく変わるのです。
この変化に対応するために、「リスキリング」が必要となり、さらにこの企業内で必要となるスキルを獲得することを「インナーリスキリング」といいます。
カフェテリア方式のリスキリングがうまくいかない理由
さて、そうなると、企業が事業モデルを変革するという起点がなければ、リスキリングは意味をなしません。
しかし、事業モデルを変えないのに、リスキリング施策だけを導入しようとする…これがリスキリングにおいて「笛吹けど踊らず」のひとつの要因といえます。
目指すところがあいまいで、「スキルのギャップ」が明確でないので、ふんわりしたリスキリング施策になります。
多くの場合、企業はeラーニングなどの学習コンテンツを提供し、「カフェテリア方式」で従業員に自由に学ばせようとします。英語、プログラミング、データ分析など、様々なコースが用意され、好きなものを選べる仕組みです。
しかし、企業がどのように事業を変革しようとしているのか、その方向性が明確でなければ、従業員はどのスキルを学べば良いのか判断できませんし、モチベーションも湧きません。
ちなみに、「インナーリスキリング」で対応できない人材のために、再就職支援としてのリスキリングを「アウトプレイスリスキリング」といいます。
会社が事業を変えずに停滞している場合、アウトプレイスリスキリングは、会社といっしょに停滞しないよう、自らの力でアウトプレイスリスキリングをする必要があり、僕個人の肌感としては、それが求められる従業員は少なくないと思っています。
日本のホワイトカラーは「アンスキルド」?
さて、ここからはホワイトカラーのリスキリングについて、もう少し深く掘り下げていきましょう。
しかし、本書ではホワイトカラーの多くが、そもそも「アンスキルド」である、つまり、そもそもスキルを持っていないと主張しています。
多くのホワイトカラーが身につけているのは、所属する企業固有の「処世術」であり、組織の中でうまく立ち回るためのスキル、社内政治を乗り切るためのスキル、言わば「組織内での暮らし方スキル」とのこと。
これも社内においては、重要なスキルではありますが、残念ながら、これらは外の世界では通用しないのです。
リスキリングの前に必要な「リベラルアーツ基礎」
では、どうすれば良いのでしょうか? 本書では、本格的なリスキリングに取り組む前に、まずは「リベラルアーツ基礎」を固めることが大切だと主張しています。
それは、端的に表現すると「言語能力」です。コミュニケーションをするのにはもちろん、人はその対象について考えるために、言葉を必要とします。
つまり、ここで言う言語能力とは、国語力だけを指すのではありません。
経済活動を理解するためには、経済学の基本的な考え方や、簿記会計の知識が必要です。また、ビジネスを行う上では、基礎的な法学の知識も欠かせません。さらに、データを分析し、意思決定に活かすためには、統計学などの数学的な素養も必要になります。
そして、これらの情報を効率的に整理・分析するためには、表計算ソフトなどのデジタルツールの活用が不可欠です。さらに、デジタル空間で物事を考えるためには、コンピューターやプログラミングの基礎を理解しておくことも重要です。
また、AI(人工知能)が台頭する現代においては、AIの仕組みや活用方法についても、基本的な理解が求められるでしょう。
要するに、経済活動を行う上で使われる様々な領域の「言葉」、すなわちビジネスの世界における共通言語(そしてそれは想像より広範囲です)を理解し、使えるようになることが大切ということです。
「聞く」「話す」だけじゃ足りない! 「読む」「書く」で言語能力を鍛えよう
では、これらの「言葉」を理解し、使いこなすためには、どう訓練すれば良いのでしょうか?
多くの人は、普段の生活や仕事の中で「聞く」と「話す」を頻繁に行っています。
そこで重要になるのが、「読む」と「書く」です。
多くの人は、LINEやSNSなどで短い文章を書く機会には恵まれています。しかし、これらのライトな文章では、長文的に考えるための言語能力を鍛えるには不十分ですので、その機会にあえて取り組む必要があります。
まず、「読む」ですが、本を読むこと。新しい知識や考え方に触れるための最も基本的な方法です。ビジネス書や専門書だけでなく、幅広いジャンルの本を読むことをお勧めします。
次に「書く」です。そこで、ある程度の長さ、例えば1500文字以上のストーリーを構造的に伝える訓練として、ブログやnoteなどでのアウトプットを習慣にすることができます。
「読む」と「書く」を組み合わせることで、学びを深めることができます。例えば、本を読む際には、ただ漫然と読むのではなく、「この内容をブログ記事にまとめる」というようなアウトプットを前提に読みます。そうすると、読み方が変わりますし、より深く理解しようとするはずです。
そして、実際に「書く」という行為を通じて、自分の理解度を確認することができます。うまく説明できない部分は、理解が不十分な部分です。その部分を調べ直したり、考え直したりすることで、学びが深まります。このように、「アウトプットファースト」で学ぶことが、効果的な学習方法といえます。
「ちょっとたいへんだな」と思うかも知れませんが、誰かといっしょに、少しずつやれば、誰でもできます。学ぶ仲間を見つけて、ぜひ一歩からはじめていきましょう。
まとめ
以上、「『ホワイトカラー消滅』から読むホワイトカラーに求められる真のリスキリングとは」についてお伝えしました。
引き続き、みなさんがいきいきと学び・働くためのヒントをお届けしていきます。次回をお楽しみに!
この話を耳から聴きたい方はこちらからどうぞ!