みなさん、こんにちは! タカハシ(@ntakahashi0505)です。
『ホワイトカラー消滅』…本日はこの衝撃的なタイトルの書籍を紹介します。
停滞からの経済再生への道、そして僕ら個人はどうすべきか、考えるとてもよいきっかけになる一冊です。
ということで、今回は「『ホワイトカラー消滅』!?僕らは働き方をどう変えるべきか」です。
では、行ってみましょう!
書籍の概要:人手不足なのに、なぜ人が余るのか
「人手不足なのに、なぜ人が余るのか?」
みなさんは、この質問にどう答えますか?
この問いからはじまり、日本が停滞した経済から再生し、その中で僕らビジネスパーソンが幸せに働く方法を示すのが、本書『ホワイトカラー消滅: 私たちは働き方をどう変えるべきか』です。
2024年10月10日にNHK出版新書から発売されたこの本は、304ページという新書にしてはちょっぴり厚め。
しかし、内容は濃密であるものの、切れ味鋭い文章に引き込まれて、気づけば一気に読み終えてしまう…そんな書籍でした。
著者の冨山和彦さんは、経営コンサルタントとして活躍され、IGPIグループの会長や、日本共創プラットフォームの代表取締役社長を務めていらっしゃいます。
僕がDXのバイブルとして愛用していた『DXの思考法』の解説もされていらっしゃいましたね。
労働力減少とデジタル化による課題とチャンス
少子高齢化による労働力減少と、デジタル化の進展。
これらの変化が、私たちの働き方にどのような影響を与えつつあるのか。そして、その中で、日本経済を再生させるためにはどうすれば良いのか。
冨山さんは、この問題を解きほぐすために、二つの軸を用いています。一つは、働く人の軸である「ホワイトカラー」と「エッセンシャルワーカー」。
もう一つは、経済圏または企業の軸である「グローバル」と「ローカル」です。
この二つの軸を組み合わせることで、問題の構造と僕らがやるべきことが驚くほどクリアに見えるようになります。
『ホワイトカラー消滅』の構成
序章:労働力消滅、ふたたび
まず、序章「労働力消滅、ふたたび」では、現状認識の確認から始まります。
今の日本は少子高齢化で労働力が減っていく「労働供給制約社会」に入りつつあります。しかし一方で、AIを中心としたデジタル技術の革新により、ホワイトカラーは余っていく。
また、過去30年間、日本経済がなぜ停滞してきたのかについて、「失われた30年」の原因を、デフレ的な状況と低生産性に求め、結果として「停滞なる安定」を選んでしまったからであると解説しています。
第1章:グローバル企業は劇的に変わらざるを得ない
第1章「グローバル企業は劇的に変わらざるを得ない」では、グローバルに展開する企業が、世界を相手に戦う場合の勝ち筋はどこにあるのか、また、その中でホワイトカラーの役割はどうなっていくのかが話題。
これまで勝ってきた企業がなぜ勝ってきたのか、負けてしまった企業がなぜ負けてしまったのか、よく理解できました。
第2章:ローカル経済と「人手不足クライシス」
第2章「ローカル経済と「人手不足クライシス」」では、視点がローカル経済に移ります。
ここで中心となるのが、「エッセンシャルワーカー」と呼ばれる人々。コロナ禍でその重要性が再認識された、社会の営みを直接的に支える人々です。
社会インフラ、農林水産食品、医療社会福祉など、部門別に分けて、詳細に現状が明らかにされています。
僕らがふだん得ている情報は、グローバルなホワイトワーカーのもの、またはそれ「向け」のものが多いと思い知らされます。
第3章:エッセンシャルワーカーを「アドバンスト」にする
第3章「エッセンシャルワーカーを「アドバンスト」にする」では、ローカル経済を支えるエッセンシャルワーカーの待遇改善が大きなカギであると示されます。つまり、彼ら・彼女らの付加価値労働生産性、そして賃金を上げていくことの重要性を説いています。
「付加価値労働生産性」とは、つまり労働時間あたりの粗利。
そして、それを実現するには、DXを含めた経営能力の向上が必要になります。
でも、現実はなかなかそう簡単にはいかない…。実際、僕も強く感じていますが、ローカルの企業ほど、DXは進みづらく、経営方針も大きく転換しづらい…規模は小さいから、本来は素早い意思決定と行動ができるはずなのですが。
その難しさと、解決への糸口が示されています。
第4章:悩めるホワイトカラーへの処方箋
第4章「悩めるホワイトカラーへの処方箋」は、再びホワイトカラーの話に戻ります。
AIが急速に普及していくこれからの時代、ホワイトカラーはどうすれば生き残れるのか。
リスキリングの必要性が叫ばれる中、具体的に何をどう学べばいいのか。
ここは僕の中心テーマでもありますが、本書はまず「スキルからだ」と説きます。それはなぜか?ぜひ読んでいただきたい。
そして、リベラルアーツとその重要性などにも触れながら、ホワイトカラーの進むべき道が示されています。
第5章:日本再生への20の提言
そして最後の第5章では、これまでの議論を踏まえた「日本再生への20の提言」がまとめられています。
これからの日本がどうあるべきか、具体的かつ実践的な提案が並んでいます。
印象に残った点:ローカル企業とエッセンシャルワーカーに目を向けるべし
この本を読んで特に印象的だったのは、やはり「ローカルとグローバル」、「ホワイトカラーとエッセンシャルワーカー」という二つの軸で論じられている点です。
この二つの軸があることで、複雑な問題が驚くほど整理され、非常にわかりやすくなっています。
僕らは、教育のプロセスから、なんとなく「グローバル企業のホワイトカラー」を目指すのが良いとされてきています。偏差値競争の行き着く先は「そこ」で、ローカルについて、またエッセンシャルワーカーについては非常に解像度が低いというのが現実。
一方、エッセンシャルワーカーは、経済としては雇用の受け皿的な役割を担ってきたわけですが、人口動態の変化によって、需給バランスが大きく変わってきました。
人手不足が深刻化するのであれば、エッセンシャルワーカーの賃金を上げていくのが自然です。
しかし、これまでのデフレマインドで低生産性、低賃金で乗り切ってきてしまったモードを、ここに来てスイッチできるか、そこがポイントです。
それと同時に、ホワイトカラーの仕事はAIに代替されやすく、かつ本質的でない業務も少なくなく含まれており、人余りの流れがある。
そこで、本書の提案のひとつが、ホワイトカラーがローカル経済に参入し、経営や経営参謀として働く、それによりDXをはじめ付加価値労働生産性向上に貢献するという道です。
この視点は、僕にとっても非常に新鮮で、かつ、大きな納得感があるものでした。
まとめ
以上、「『ホワイトカラー消滅』!?僕らは働き方をどう変えるべきか」についてお伝えしました。
これからの働くを考える上で、必ず読んで損はない一冊でと思います。
これを受けて、僕の立場で何ができるのか、考えていきたいと思います。
引き続き、みなさんがいきいきと学び・働くためのヒントをお届けしていきます。次回をお楽しみに!
この話を耳から聴きたい方はこちらからどうぞ!