週刊Work&Techニュース 2025/6/13版: Appleが大規模推論モデルの限界を説明/DisneyとUniversal、Midjourneyを提訴ほか

週刊Work&Techニュース 2025/6/13版: Appleが大規模推論モデルの限界を説明/DisneyとUniversal、Midjourneyを提訴ほか

みなさん、こんにちは! タカハシ(@ntakahashi0505)です。

「週刊Work&Techニュース」2025/06/13版をお送りします!

今週のワークとテックの主なニュースをざっとチェックし時流をつかんでいただくことができますよ。

では、行ってみましょう!

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AppleがOpenAI「o3」のようなトップレベルのAIモデルや大規模推論モデルの限界を詳しく説明

AppleのAI研究者たちは、OpenAI「o3」など最先端のAIモデルについて、その推論能力には根本的な限界があるとする論文を発表しました。

研究では、ハノイの塔やチェッカージャンプ、リバー・クロッシングなどのパズルを用い、問題の難易度が高くなるほどAIの精度が大きく低下することを示しました。

特に、複雑な問題になると、AIは正解を見つけられないケースが増え、推論能力のスケーリング限界が明確に現れました。

Appleは、現在のAIモデルが訓練データのパターンに依存し、真の論理的推論ができていないと指摘しています。

AppleがOpenAI「o3」のようなトップレベルのAIモデルや大規模推論モデルの限界を詳しく説明
Appleが「思考の錯覚:問題の複雑さというレンズを通して推論モデルの強みと限界を理解する」と題した論文を発表しました。研究者たちはAnthropicのClaude、OpenAIのoモデル、DeepSeek-R1、Googleのモデルといっ...

今回のAppleの研究では、OpenAIの「o3」やAnthropicのClaude、GoogleのGeminiといった主要なAIモデルが、人間の思考プロセスにどれだけ近づけるのかが検証されました。

しかし、結果として、テストされたすべての推言モデルにおいて、問題が一定の複雑さを超えた瞬間に、精度が著しく低下するという共通の課題が浮き彫りになりました。

ハノイの塔、みなさんご存知ですか?三本の棒があり、大きさの違う円盤をルールにしたがって移動するというパズル。プログラミングのアルゴリズムでいえば、簡単に解けるのですが、AIだと難しいとのことですね。

この結果について、人工知能の専門家であるゲイリー・マーカス氏は、「大規模言語モデル(LLM)が社会を根本的に良い方向へ変えるような汎用人工知能(AGI)への直接的な道だと考えているとしたら、それは少し考えが甘いかもしれません」とコメントしています。

「AI 2027」では、AGIやそれ以上の「超知能」が早期に実現されるというシナリオが示されていました。今回の研究結果は、そのシナリオに一石を投じる内容となります。

OpenAI、サブスクの年換算売上高1.4兆円 ChatGPT成長で

OpenAIは、サブスクリプション型サービスの年換算売上高が100億ドル(約1.4兆円)に達したと発表しました。

2024年末時点の年間売上高は約55億ドルでしたが、わずか半年で約8割増加する驚異的な成長を遂げています。

この急成長の背景には、対話型AI「ChatGPT」の有料利用が大きく拡大したことが挙げられます。

現在、世界中で約5億人の週間アクティブユーザーがおり、企業向け有料顧客も300万に達しています。

売上高の増加は続く一方で、AI開発への先行投資により損失も膨らんでおり、黒字化は2029年頃と見込まれています。

OpenAI、サブスクの年換算売上高1.4兆円 ChatGPT成長で - 日本経済新聞
【シリコンバレー=山田遼太郎】米オープンAIは9日、サブスクリプション(定額課金)型サービスの年換算売上高が100億ドル(約1兆4000億円)に達したと明らかにした。2024年末からおよそ半年で8割増えた。主力の対話型AI(人工知能)「Ch...

OpenAIのサブスク収益には、個人や企業向けのChatGPT有料プランや、開発者がAI機能を自身のサービスに組み込むためのAPI提供などが含まれています。

特に月額20ドルの有料プラン「プラス」の利用者は2000万人にのぼり、より単価が高いとみられる企業向けユーザーも、今年2月の200万人から5月末までには300万人に増加するなど、順調に顧客基盤を拡大しています。

ところで、6月11日には新たなAIモデル「o3-pro」をリリースしました。

このモデルのAPI料金は、入力100万トークンあたり20ドル、出力で80ドルと、以前のo1-proよりも大幅に安価に設定されています。

これは、GoogleのGeminiなど、競合サービスとの価格競争も意識した戦略だと考えられますね。

莫大なコストがかかる中、価格競争もしつつも黒字化を目指す…大変そうです。

就職活動でAI利用7割弱に マイナビ調査、急速に普及

マイナビが2026年卒業予定の大学生・大学院生を対象に実施した調査によると、66.6%の学生が「就職活動でAIを利用したことがある」と回答しました。

AIの主な利用目的は、エントリーシート(ES)の推敲や作成、面接対策などで、特に「ESの推敲」が68.8%と最も多く選ばれています。

また、AIを使う理由としては「作業時間の短縮」や「自分のアウトプットの改善」が多く挙げられています。

全体の8割以上がAIの利用経験があるという結果もあり、AIの急速な普及が明らかになりました。

就職活動でAI利用7割弱に マイナビ調査、急速に普及 | 共同通信
就職情報会社マイナビが、2026年に卒業予定の大学生・大学院生を対象に、人工知能(AI)の利用状況を...

今回の調査では、就職活動での利用者に加え、「就活以外で使ったことがある」と答えた16.1%を合わせると、実に8割以上の学生が何らかの形でAIを利用した経験があることになります。

これは社会人のAI利用率と比較しても、かなり高い水準で、学生の間でAIがいかに浸透しているかがわかります。

一方で、少し気になるのは個人情報の扱いです。エントリーシートの推敲などに使う際、個人情報を入力することには慎重になる必要がありますね。

企業側にとっても、これは大きな変化です。AIを使って作成された質の高いエントリーシートが増えることで、書類だけで候補者を評価することが難しくなってきているという課題があります。

その対策として、一次面接をAIが行うといった新しい選考方法も考えられますが、これが普及すると、また就職活動のあり方も変わってくるかもしれません。

ちなみに、企業側の選考プロセスでもAIの活用は進んでいますが、適性検査の評価にAIを使うことには賛成意見が多い一方で、面接の評価に使うことにはまだ慎重な意見が多いようです。

マンガで“漢字を読む力”が上がる? フリガナ多用で推測力向上 明治学院大学教授が研究発表

明治学院大学の垣花真一郎教授が発表した研究によると、マンガを読むことで漢字を読む力が向上する可能性があることが明らかになりました。

実験では、普段あまり使われない漢字の訓読みについて、送り仮名や文脈が与えられた場合に正答率が大きく上がることを確認。

特に、両方がそろった条件では正答率が2.5倍にもなったとのことです。

また、マンガや雑誌の読書量が多い人ほど漢字の読み能力が高くなる傾向があり、マンガに多用される振り仮名が語彙や連語の音韻形式を自然に覚えるきっかけとなっていると考えられます。

マンガで“漢字を読む力”が上がる? フリガナ多用で推測力向上 明治学院大学教授が研究発表
明治学院大学の垣花真一郎教授は、送り仮名と文脈が漢字の訓読みに果たす役割について調査した研究報告を発表した。

この研究結果には、個人的にも思うところがあります。これまでの漢字学習は、漢字一文字を単独で覚える方法が主流でした。でも、この研究が示すように、文脈や送り仮名といったヒントがあることで、漢字の読みを推測する力は大きく高まるんです。

例えば、学校の教科書では、まだ習っていない漢字はわざわざひらがなで表記されることがありますよね。以前から「そこに振り仮名を付ければ、自然と覚えられるのに」と感じていました。

マンガには多くの漢字に振り仮名が振られているため、読者は物語を楽しみながら、自然と漢字とその読み方を結びつけて覚えることができます。このような「偶発的な学習」が、漢字を読む力を育む上で非常に効果的だと指摘されているということですね。

実際に、マンガや雑誌をよく読む人ほど漢字の読みの成績が良かったという相関関係も見られたことから、マンガが漢字教育の新しい可能性を秘めたツールになるかもしれませんね。

DisneyとUniversal、AI画像生成のMidjourneyを提訴

ディズニーとユニバーサルは、2025年6月11日、AI画像生成サービス「Midjourney」をカリフォルニア州の連邦地裁に著作権侵害で提訴しました。

訴状によると、Midjourneyは両社の著作権で保護されたキャラクター(ダース・ベイダー、シュレック、アイアンマン、エルサ、ミニオンズなど)を無断で学習データに使用し、ユーザーがこれらのキャラクター画像を生成できるようにしていると主張しています。

ディズニーとユニバーサルは、侵害作品1件につき最大15万ドルの損害賠償と、今後の著作権侵害を防ぐ差止命令を求めています。

訴状には150件以上の侵害作品がリストアップされており、勝訴すれば損害賠償額は2000万ドルを超える可能性があります。

DisneyとUniversal、AI画像生成のMidjourneyを提訴
DisneyとUniversalが、AI画像生成サービスを手掛けるMidjourneyを著作権侵害で提訴した。サービスの学習に自社の著作物が無断で使用されたと主張し、損害賠償と侵害行為の差止を求めている。ハリウッドの大手スタジオがAI企業を...

今回の訴訟は、ハリウッドの大手スタジオがAI企業を相手に著作権侵害で訴えを起こした、初めてのケースとして注目されています。

訴えられたMidjourneyは、テキストを入力するだけで高品質な画像を生成できるサービスで、2022年の設立以来、ユーザー数は2100万人に達し、前年には3億ドルもの収益を上げるなど、急成長を遂げています。

原告であるディズニーとユニバーサルは、以前からMidjourneyに対して著作権侵害の停止と、侵害素材が生成されないようにするための技術的な措置を求めてきました。

しかし、Midjourneyは暴力やヌードといった特定のコンテンツの生成を防ぐフィルターは導入しているにもかかわらず、著作権を保護するための同様の対策は講じていない、と原告側は指摘しています。

さらに、Midjourneyがまもなく動画生成サービスもリリースすると予告していることから、今回の訴訟は今後のAIと著作権の関係を占う上で、非常に重要な意味を持つことになりそうです。

まとめ

以上、「週刊Work&Techニュース」 2025/06/13版についてお伝えしました。

引き続き、みなさんがいきいきと学び・働くためのヒントをお届けしていきます。次回をお楽しみに!

この話を耳から聴きたい方はこちらからどうぞ!

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