App MakerとGoogle Apps Scriptがアプリケーション開発の民主化を加速する


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みなさん、こんにちは!
タカハシ(@ntakahashi0505)です。

Google Cloud Next Tokyoに参加してきました。

イベントレポート第1弾としては、以下Googleドライブが一択になるのでは?とう記事を書かせていただきました。

その進化により企業向けクラウドストレージはGoogleドライブ一択になる
本記事ではGoogle Cloud Next Tokyoで発表された「Team Drivesを使ったファイルサーバのクラウド移行」からGoogleドライブの強みとこれからについてレポートします。

さて、アプリケーション開発というとIT専門職のやるべき仕事という認識があり、一方で、いざ非IT専門職の人たちがチャレンジしようとすると

  • 黒い画面の洗礼を受ける
  • 開発環境の準備が最も難しい
  • 平日に時間がとれない、土日だけだと忘れる
  • そもそも仕事で活かせる局面がない

など、数々の障壁が立ちふさがり、門前払いを食らいます。

長い間、アプリケーション開発は特定のIT専門職の人たちの特権で、非IT専門職からすると遠い世界のあこがれだったわけです。

しかし、ここ最近では、今回紹介するGoogle Apps ScriptApp Makerをはじめ「アプリケーション開発」の民主化が加速しているという事実があります。

今回の記事では、今起きている「アプリケーション開発の民主化」とはどのようなものか、そこにGoogleがどのような取り組みをしているのかについて、Google Cloud Next Tokyoのセッション「G Suiteでさらなる業務の効率化を!~Google Apps ScriptやApp Makerで業務を自動化する方法、各種ISVソリューションを紹介~」からレポートをします。

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非IT専門職にとってのアプリケーション開発

Excel・Access&VBAはアプリケーション開発の唯一の入り口?

冒頭でお話したように、一般的に非IT専門職がアプリケーション開発ができるようになるのは至難の業なのですが、これまで唯一「蜘蛛の糸」的な存在になっていたのが、Excel・AccessとVBAです。

黒い画面や開発環境の準備をせずとも、Excel関数とマクロ記録、またはAccessの基本機能だけで、ちょっとした業務アプリケーションを作成することができます。

ちょっと頑張って、VBAを習得すれば、プログラミングとは何かということも学べますし、そこそこ規模のアプリケーションを開発することも可能になります。

ほとんどの職場はExcelは使っていますから、業務中に学びながらアプリケーション開発に携わることも可能ですよね。その意味では、最初にぶち当たる障壁はだいぶ小さくなるというわけです。

そのようなわけで、長い間、Excel・Access&VBAは非IT専門職がアプリケーション開発にチャレンジし、そのスキルを磨くための、唯一の入り口といってもよい存在でした。

しかし、Excel・Access&VBAは、「ローカルでしか使えない」という最大の悩みを抱えていました。

これだけインターネットが一般化し、クラウドが発達して、スマホの時代になったのに、ネットを介したアプリケーション開発…したいですよね。VBAでできないことはないのですが、かなりハードルが高いのです。

Google Apps Scriptの登場

そこで、彗星のように登場したのがGoogle Apps Script(GAS)です。

GASは根本的にすべてがクラウド上で動作することを想定していますので、むしろネットがないと何にもできません。

かつ、VBAと同様に、特別の環境準備は不要ですし、なにせ無料で利用できるという衝撃のハードルの低さ。また、言語はJavaScriptを採用していますから、GAS以外にも先々のスキルの展開をイメージすることができます。

当然GASのプラットフォームもクラウドに最適化されているので、Googleアプリケーションに限らず、他社サービスとのAPI連携も容易に実現できるという広がり。

ただ…、いくつか難点がありまして

  • 以下のようなGASならではの制約があり、わけがわからない
    • 1実行6分以内で完了しなければエラー
    • Daily Quota→メールの送信数やトリガーの回数など、日単位で様々な制限がある
    • ログが言って
  • UIの実装が大変

というハードルがあります。

ドラッグ&ドロップでアプリケーションを作れるkintone

一方で、プログラミング不要をフックに拡大を図っているのが、サイボウズ社が提供するkintoneです。ドラッグ&ドロップの簡単操作でクラウド上にデータベース型アプリケーションを作ることができます。

日報管理やアンケート集計など、業務系アプリケーションをいとも簡単に作ることができますし、スマホアプリも対応しています。

ですが、こちらはこちらで課題がないわけではなくてですね、kintoneが基本で提供する機能から一歩外れようとすると、一気に難易度が上がるまたは追加コストがかかるようになります。

具体的によくぶちあたるのが、

  • 帳票をきれいにしたい
  • ボタンを実装したい
  • エクセルみたいに特定のセルに色をつけたい

などですね。この時点で、JavaScriptとkintoneの各種APIのスキルがないと、サードパーティなどが提供するプラグインが必要になるのですが、それなりのコストがかかります。

この急にそびえ立つハードルに呆然とすることもあるかも知れませんね。

Googleが進めるアプリケーション開発の民主化

と、ここまで見てきたように、非IT専門家が順調に階段を上って、アプリケーション開発の技術を身に着けていくのは至難の業でした。

どの道も、いきなり高い壁がそびえたつか、途中で高い壁がそびえたつか、どちらかでした。

しかし今回、Google Cloud Next Tokyoのセッションで伝えられた内容からすると「Googleの階段」がかなり進みやすくなったと言えます。

Google Apps ScriptのEarly Access Program

G Suite Businessに登録しているユーザーでれば、Early Access Programに申請することで、以下の機能を先行して教授できるという発表がありました。

  • スクリプトの実行時間:1実行30分までの拡張
  • Flexible quotas:制限のかかりかたがフレキシブルに
  • Stackdriver Logging:最大30日のログの取得

これにより、前述したGASのわけわからない制約は一通り緩和されることになります。

1実行30分…なんてすばらしいんだ…!って思います。

App Makerでコードを使わずにアプリケーション開発

さて、GASだけではありません。

Googleの20%プロジェクトからApp Makerが登場しました。

G Suite Businessに登録しているユーザーでればEarly Access Programとして利用することができます。

コードをほとんど使わずにアプリケーションを開発できるプラットフォーム

  • リスト管理
  • ダッシュボード
  • ワークフロー
  • レポート・分析
  • 備品管理
  • アラート
  • 社員名簿

などの社内アプリケーションを簡単に作ることができます。

特徴としては

  • G Suiteと連携
  • 本格的なデータベースをクリックベースでGoogleドライブまたはGCP内に作成
  • ドラッグ&ドロップで一覧画面や入力画面などのUI作成
  • Google Apps Scriptで拡張
  • ワンクリックで簡単に公開

などが挙げられます。

デモを見た限りApp Makerならではの考え方や操作感に慣れる必要はあると思いましたが、コードがわからなくてもアプリケーション開発ができるという点では、kintoneとかなりバッティングする内容なのだと思います。

Google Apps ScriptとApp Makerの組み合わせが実現するもの

GASとApp Makerをセットで考えると、非IT専門職がアプリケーション開発を通してスキルを磨いていくきれいなストーリーが浮かび上がってきます。

まず、プログラミングが全くできなくてもApp Makerでアプリケーション開発ができ、必要に応じてApps Scriptで拡張をしていきます。徐々にチャンスを見ながら、GASで本格的なツールにもチャレンジしていく…という順調に階段を上るストーリーです。

また、GASが苦手なUIはApp Makerに任せ、帳票を作るならGAS経由でスプレッドシートやドキュメント…というような、双方のプラットフォームの弱点を補完し合うような使い分けも想定できます。

G Suite Businessは1アカウントあたり1,200円となりますが

  • App Maker
  • GASの各種制限の緩和
  • 無制限のGoogleドライブ

これだけ付けられると…登録せざるを得ません。

まとめ

アプリケーション開発の民主化。

最初のハードルも当然低いに越したことはないですが、そこから先も順調に折れることなくステップアップできる道筋があるべきだと思います。

今までは、MicrosoftのOfficeがその役割をけん引してきたわけですが、クラウドの時代になってきたところで、Googleが一気に民主化を加速することになりそうです。

そもそも、Googleはその使命を

Google の使命は、世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすることです。

としていましたよね。つまり情報の民主化です。

おそらく、「情報」の広義的な意味として、今回紹介したようなテクノロジーの民主化も含まれているものと思いますし、最近はまさに「AIの民主化」に邁進しています。

「Google CloudはAIを民主化する」
「Google CloudはAI(人工知能)を民主化する」。米スタンフォード大学からGoogleに移籍したAI研究者のFei-Fei Li氏は「Google Cloud Next 2017」の基調講演でそう語り、AIクラウドの新機能などを発...

こうして、様々なテクノロジーが民主化され、手を出しやすくなりつつありますので、うまく利用していきたいですよね。

さて、Google Cloud Next Tokyoですが、まだいくつかレポートできればと思っています。

どうぞお楽しみに!


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