神奈川公立高入試のネット出願システムからのメールはなぜ届かなかったのか


神奈川公立高入試のネット出願システムからのメールはなぜ届かなかったのか

みなさん、おはようございます!タカハシ(@ntakahashi0505)です。

こちらの記事は、タカハシが音声メディアVoicyの「スキルアップラジオ」にて放送した内容から、ピックアップしてお届けします!

今回のテーマは、神奈川公立高入試のネット出願システムからのメールはなぜ届かなかったのかです。

#614 神奈川公立高入試のネット出願システムからのメールはなぜ届かなかったのか | タカハシノリアキ「『働く』の価値を上げるスキルアップラジオ」/ Voicy - 音声プラットフォーム
神奈川公立高入試のネット出願不具合、原因は事業者の設定ミスガイドライン熟知せず大量送信…迷惑メール扱いに→…

なお、以下で実際にお聴きいただくこともできます!

では、よろしくお願いいたします!

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神奈川公立校入試ネット出願不具合のニュース

今日は、あるニュースに関連した話をしていきたいと思います。皆さん覚えていらっしゃいますでしょうか。

神奈川公立高入試のネット出願不具合、原因は事業者の設定ミス ガイドライン熟知せず大量送信…迷惑メール扱いに

Yahoo!ニュース
Yahoo!ニュースは、新聞・通信社が配信するニュースのほか、映像、雑誌や個人の書き手が執筆する記事など多種多様なニュースを掲載しています。

神奈川県内の公立高校入試のインターネット出願システムで、Gmail、つまりgmail.comのアカウントを使って申請した受験生に、メールが届かない不具合が相次いだ問題です。

このメールが届かないという不具合は、1月9日あたりから問い合わせが相次いだことによって発覚したんですが、解消と原因究明に結構時間がかかってしまったんです。

県の教育委員会は1月19日に不具合が解消されたと一度発表したんですが、24日に再発してしまい、この日は出願期間の初日だったそうです。

結局、2月7日に設定ミスが原因だったということが分かったと報じられています。

発端は迷惑メール判定ポリシーの強化

当初、gmail.comのアカウントだけに届かなかったという現象から、Google側の問題じゃないかと想定してしまっていたんですが、実際は、神奈川県のネット出願システムの方の設定ミスだったということです。

実は僕自身も、あるメール配信システムを使ってメルマガをやろうとテストしたんですが、同じような壁にぶつかって結構苦労していたんです。

この不具合がどうして起きてしまったのかというと、それは、メールの仕組みに詳しくない人だとほとんどよくわからない話なので、神奈川県の教育委員会としてはちょっと運が悪かったなという話です。

ただやっぱり、事業者の選定をちゃんとしないとこういうことになっちゃうよって話ですね。

では、この一連の不具合がどうして起きてしまったのかというのを解説していきたいと思います。

発端は、GoogleとYahooの迷惑メール判定ポリシーが厳しくなったという点にあります。

メールの仕組み

メールを配信する仕組み

簡単にメール配信の仕組みを説明していきます。

  1. メールを送ろうとした時には、送信元のメールサーバーがメールを送信するという仕事をしています。

  2. そのメールを今度は受信側のメールサーバーが受信するという仕事をしています。

  3. 無事に受信できたメールに関しては、受信先のメールアドレスの持ち主であるユーザーが、メールソフトを通じて閲覧することができるようになります。

ここで受信側のメールサーバーは、ユーザー保護の観点で、怪しいメールに関しては、はじいたりとか迷惑メールフォルダーに振り分けたりといった仕事をしています。

gmail.comやyahoo.co.jpなどのフリーメールに関して言うと、GooglもしくはYahooが受信側のサーバーを受け持っています。

その、怪しいメールかどうかを判定するというのを、GoogleやYahooが厳しくしたよ、という話なんです。

メール配信システムを使ってメルマガを配信する場合

次に、メール配信システムを使ったメールマガジンを配信することを考えます。

たとえば、Aという企業があって、自分たちのメールマガジンを希望している顧客に、商品情報をお知らせするメールマガジンを送っているとします。

メールの送信元となるのは、企業Aのドメインになります。

たとえば、株式会社プランノーツだったらplannauts.co.jpになるんです。

しかし、メール配信システムを使うのであれば、自社が普段使っているメールサーバーから送信するのではなくて、そのメール配信システム会社が用意しているメールサーバーからの送信になるわけです。

それを受信側のメールサーバーがどう受け取るかという話なんですが、ドメインとしては企業Aできているのですが、メールサーバーは全然違うところからきていると捉えるわけです。

そうすると、送信元のアドレスは本当に本物なのか、なりすましじゃないのか、怪しいぞ、とこんな風に思われちゃうわけですね。

なので、問題ないことを証明しなさい、そうしないとはじきますよといったことになるわけです。

この、証明しないとはじくぞというポリシーが、GoogleとYahooに関しては非常に厳しいものになったということです。

3種類の電子証明書の設定追加が必要だったのでは

関係ないみなさんは全然忘れちゃっていいんですが、具体的には、SPF、DKIM、DMARCの3種類の電子証明書を参考にして判断すると言われています。

なので、メール配信システムでメルマガを送信する場合、この3つの設定について、この送信元アドレスのメールがこの配信サーバーから送られるけど本物なので安心してください、大丈夫です、といった情報を設定するということなんです。

具体的には、DNSと呼ばれるドメイン名をつかさどるサーバーがあって、そこにレコードと呼ばれる設定を追加することになります。

Googleに関しては、2月からこの判定ポリシーを厳しくすると言われていましたが、公式アナウンスでは、その前から徐々にやるよとも言われていました。

神奈川県の受験システムも、この設定が十分にされていなくて迷惑メールの判定ポリシーに引っかかってしまったということなのではないかなと想像しています。

この判定ポリシーは他にもいくつかありまして、たとえば、配信停止をメール内からできるようにするとか、迷惑メールの報告率を一定基準以下にするとか、こういった要件もあります。

今回はだいぶざっくり話をしていますので、詳細を知りたい方は公式アナウンスをご覧いただくか、専門家の意見を聞いていただければと思います。

ノンプロ研のメルマガテストで体験したこと

規模は小さいんですが、僕自身も色々テストして、このポリシーの厳しさとそれを乗り越える体験をしましたので、共有しておきたいなと思います。

僕が運営している学習コミュニティ「ノンプロ研」というのがあるんですが、そのノンプロ研の会員メンバー向けのメルマガをスタートしようと考えていたんです。

普段のメンバーへの連絡はSlackでやっていたんですが、皆さんの活動があまりにも活発で情報が溢れまくっていますので、情報が埋もれやすいという課題があったんです。

それらの情報の中からいくつか一押しの情報をピックアップしてメールでお送りする、といったことを考えていました。

メール配信システムBenchmark Email

今回使うメール配信システムは、Benchmark Emailというシステムです。

これ本当に、小規模事業者向けには素晴らしい仕組みになっていまして、ユーザーアカウントは1つと限られているんですが、月3500通、コンタクト数500件までは無料で使用することができるんです。

しかも、メールを開いたかどうかの開封率、メール内のリンクをクリックしたかどうかを知るクリック率、エラー率、解除率、こういったレポートもメール単位できちんと見ることができます。

テストを準備していたんですが、1月にはうまくいっていたテストが2月にはうまくいかなくなっちゃったんです。

具体的には、gmail.comにだけ、なんと、配信開始してから6時間以上経って遅れてメールが届く、といった現象が起きてしまいました。

さすがにこれはおかしいぞということで色々調べたら、今回の原因だったということに気付いたわけです。

Benchmark Emailのドメイン認証機能

よく調べると、Benchmark Emailでは、これを回避するための機能がちゃんと用意されていまして、ドメイン認証という機能があったんです。

これを使うことで、先ほどお話した3つの設定がちゃんとできているかチェックしたり、できていない場合はどう設定すればいいかサポートしてくれるものでした。

弊社で言うと、DNSはエックスサーバーを使っていましたので、エックスサーバーの管理画面に入って、そこに指定されたレコードを追加していくという作業でした。

気を付ける点で言うと、結構時間かかるんです。

というのも、SPFとDKIMを設定してから48時間経った後にDMARCの設定をしてください、とこんな風なことがGoogleのアナウンスに書いてあったので、そのようにすると、これで2日たっちゃうんですね。

その後DMARCの設定をして、それも24時間後ぐらいに反映されますという話なので、結果3日間ぐらいかかります。

ドキドキしながらドメイン認証のチェック機能を使ってみたら、無事に通過ということでした。

そして、テストの方もやってみたら、無事にちゃんとgmail.comもすぐにメールが届いたのを確認することができました。

迷惑メール判定ポリシーの強化は健全な動き

こんな感じで、今日はちょっとややこしい話をしてしまったんですが、一点だけ皆さんに知っておいていただきたいことがあります。

Google、Yahooの迷惑メールの判定ポリシーが厳しくなったことは、我々業者からするとちょっとめんどくさい話ではあるんですが、メールを受信するユーザー全体のことを考えるとものすごく健全な動きなんです。

というのも、なりすましのメールだったりスパムだったり、そういったものがこれまでは散々横行していて、その被害にあってしまった人もいたわけです。

きちんと正しいメールなのかを判定できる仕組みを導入して、そういった迷惑メールをちゃんと排除していこうという動きが裏にあるわけです。

ITとかインターネットとか、どうしても悪用しようとする悪い人が出てくるわけです。

ですが、それをちゃんと防ごう、IT、インターネットの世界を良くしていこうという動きもちゃんとあるよということを皆さんに知っていただきたいなと思いまして、今日この話題を取り上げた次第です。

まとめ

ということで、今日はVoicy「スキルアップラジオ」の放送から「神奈川公立高入試のネット出願システムからのメールはなぜ届かなかったのか」をお届けしました。

タカハシのVoicyの放送はこちらからお聴きいただけます。

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では、また。

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