みなさん、こんにちは!
タカハシ(@ntakahashi0505)です。
最近では、粉飾決算で賑わした東芝が7,800人、鴻海に買収されたシャープが7,000人…と大手電機メーカーでのリストラのニュースが絶え間なく流れています。
ですが、私にとっては数多くあるニュースの一つですし、断片的にしか情報が入ってこないですし、それなりの理由があってのことなんだろうという姿勢で受け止めていました。
所詮、他人事ですし。
今回『奪われざるもの SONY「リストラ部屋」で見た夢』という本を読みまして、ソニーという大企業がどのようなリストラを行ってきたかを知りました。
いやー、衝撃でした。
ソニー製品というと、ウォークマンに始まり、TVも長らくBRAVIAを使っています。PlayStationシリーズも初代、2、3、ポータブルと大変お世話になりました。
そんなソニーが20年近くにわたってリストラをしまくっているという…なかなか複雑です。
この本書からどんなメッセージを受け取るべきか、考えてみました。
17年間で78,000人が継続的にリストラされている
ソニーでは1997年から2014年までの17年間で78,000人という規模のリストラが行われています。
- 経営機構改革(第1次構造改革)
- TR60(第2次構造改革)
- 中期経営方針
- エレクトロニクス事業の経営強化と収益改善
- 新経営方針
- PC・TV事業変革
といった名称で、ほとんど切らすことなく常に何かしらかの「構造改革プログラム」が走っている状態だそうです。それぞれのプログラムで数千人~2万人くらいまでの「目標」が設定されて
たいした落ち度もない社員がある日、人員削減の対象になる。「これだけの人数を削減しなくてはいけない」という会社の数字ー「経営判断」という机上の計算が各部門に下りてくる。すると、それぞれの部署はリストラ候補者を決めるしかなくなるのだ。
1割削減の目標ならが、10人の課員のうち成績が10番目と判断された人。その運のない人に面談し、最後には「あなたの仕事はなくなります」と伝えざるをえない。割当制だ。人事部に選択肢はないのである。
といった具合に実行に移されます。
グループ全体の従業員数は1997年時点では173,000人、2014年時点では131,700人。
新卒採用や中途採用での増員もあったと考えられますが、その17年間に例えば200,000人が何かしらかの形で在籍したことがあるとすると、4割近くに匹敵する人が退職勧奨をされているという驚異的な数字になります。
リストラは「いつもの手段」
ここで注目すべきは20年近くの間「継続的に」リストラが計画実行されているということです。
ソニーグループの業績が継続的に厳しい状況なのかも知れませんので、調べてみました。
売上は1996年あたりから2007年までは順調に伸びています。リーマンショック後に落ち込みましたが、ここ数年はやや回復といったところです。
営業利益は売上が伸びているにも関わらず、順調は言えないようです。ただ、リストラ祭りが始まった直後の1998年はむしろ絶好調で過去最高でした。それ以降は、上下を繰り返しという感じですね。
売上や利益以外の重要な指標もたくさんあるのでしょうか、ここからわかることは
- 過去最高の利益が出た時期とリストラ祭りが始まった時期が一緒
- リストラをし続けても業績は良くなっていない
ということでしょうか。
どうなるかわからない新製品や新サービスに多大な開発費と労力をかけて数年後にどうなるか?を数字で表現をするのは難しいのだと思います。
それよりも、10,000人辞めさせたら来期以降の固定費が数百億減らせるよね。
なんていう計算は電卓さえあれば誰でもできるわけで、その数字を目標に淡々と実行に移していけば目標が達成できるという寸法です。
短期的にみると計画も実行も簡単で、確実な打ち手なわけで、そんなにおいしい一手はやれるうちはずっとやり続けたほうが良いという考え方かも知れません。
長期的にみると好調な時代に人を雇いすぎてしまったので、20年かけてそれをもとに戻すという長期のプロジェクトなのかも知れません。
いずれにしても、リストラは「最後の手段」ではなくて「いつもの手段」として使っていると考えるのが自然だと思います。
ちなみに、2012年から就任をしている現ソニーの平井社長の報酬は約8億円だそうです。
感覚がズレ過ぎてて理解するのは難しいです。
「追い出し部屋」について思うこと
以下、本書内の退職勧奨をした後に送り込まれる「キャリア開発室」についての記述です。
そこに送り込まれた社員は自らのコネで社内の受け入れ先を探すか、早期退職して転職先を見つけるか、あるいは何と言われても居座り続けるかの3つの道しかない。
いずれにせよ、キャリア開発室に通う面々は会社から早々に出ていくことを期待されていたから、その部屋は社員から「追い出し部屋」と呼ばれていた。
一方、追い出される側の中には、「ガス室」と呼ぶ面々もいる。サラリーマンの命である仕事を奪い、もとの職場には生きて帰ればいからだ。新たな仕事は与えられずそこに一日中閉じ込められている。
リストラ部屋に収容された人数は少なくとも3,000~4,000人だそうです。毎年200人とか、そういう規模間ですね。
ドラマやマンガの中の世界だけだと思っていましたが、リアルにありました。世界のソニーに。
ちなみに、ここ最近では国会で取り上げられたり批判が強まったため、キャリア開発室のメンバーは子会社に出向をしてPDF業務をさせるなどをしているそうです。
普通に読むと悲しいのですが、私はこの環境をもっとうまく使ったらいいのにと思いました。
だって、その間、お給料もらえますでしょ?
どうせ詰め込んでおくなら、キャリア開発室でプログラミングを勉強してもらったらいいんじゃないかと思ったりしました。
3カ月くらい集中的にやれば、今人気のプログラミング言語や開発スキルがそこそこできるようになるのではないかと思います。
今はオンラインでも十分に学習できる環境が整っています。
転職を考えると年齢や現場実績が少しネックになるかも知れませんが、現時点で人材不足なのは間違いないですし、今後さらに不足することは間違いありません。
グループ会社やIT部門での再起もあり得ますし、何もせずにハローワークよりは断然有利に次のステージを探せると思います。
「自分の人生は自分で面倒見てくれ」というメッセージ
私は中小企業は何社か渡り歩いていますが、中小企業でもリストラやパワハラ、ブラック…普通に起きます。
そして、これまで見てきた通りですが、ソニーのような人気の大企業も、普通にやっています。
ということは、こうとも言えます。
「自分の人生は自分で面倒見てくれ」という世の経営者たちからのメッセージなんですね。
そういうメッセージが常に発せられているのですから、それをちゃんと受け取ってみましょう。
「辞めて欲しい」と言われたら、退職金もちゃんと受け取って、他の企業により高い評価で雇っていただけるように、日ごろから自らを磨いておけば良いということなんだと思います。
老いも若きも、そのように日々研鑽して自らの価値を高め続けていけば、逆に日本も元気になっていくとは思いませんか?
私は40歳になりましたが、あと数十年間は自分の価値を高め続けていくチャンスに恵まれています。
「自分の人生は自分で面倒見てくれ」
再度このメッセージを味あわせてくれた本書と、今までの経験に感謝をしたいと思います。