
みなさん、こんにちは! タカハシ(@ntakahashi0505)です。
先日、素敵なご縁から生まれたコラボイベント「ITと人でどう居場所の可能性が広がる?~人と人とがつながるために~」が開催されました。
このイベントは、僕にとって、そして参加された皆さんにとっても、未来につながる温かい時間となりました。
今日はその様子をお話しさせていただきます。
ということで、今回は「ITの壁を超え居場所の可能性を広げるには?~こまちIBASHO研究会・ノンプロ研コラボイベントから」です。
では、行ってみましょう!
素敵なご縁が紡いだコラボレーション
ことの始まりは、今年の3月に開催された「コミュニティフォーラム2025」でした。ありがたいことに僕も登壇させていただいたのですが、そこで同じく登壇されていたのが、今回の共催者である「NPO法人こまちぷらす」の森さんだったんです。
こまちぷらすさんは、「子育てをまちの力でプラスにする」をモットーに、横浜市戸塚区で居場所としてのカフェを運営されています。
地域の方々が、他の人やコミュニティとつながる機会を提供し、さらにはその居場所運営のノウハウを全国の居場所をつくりたいと考えている方々に伝え、共有するためのオンラインコミュニティ「IBASHO研究会」もスタートされている、本当に素晴らしい活動をされている団体です。
実は、昨年のコミュニティフォーラムでも、もりさんの活動に感銘を受けていたのですが、今年の僕のプレゼンが終わった後、目をキラキラさせながらお声がけくださったんです。
「居場所の運営で課題になっていてなんともできない領域」があり、それがITとのことでした。
そのお話を聞いて、僕も思い当たることがあり、「それならぜひ一緒に何かやりましょう!」と意気投合し、今回のコラボイベントが実現する運びとなりました。
温もりあふれる会場「こよりどうカフェ」
イベントの会場となったのは、こまちぷらすさんが運営する「こよりどうカフェ」。ここは、地域の人々が集う「まちの小さなヨリドコロ(拠り所)」をコンセプトに運営されている素敵な場所です。

戸塚駅から歩いて5分ほどの場所に、まるで森の入り口のような坂道が突然現れます。その坂を登っていくと見えてくるのが、善了寺というお寺。その境内にある「聞思堂(もんしどう)」という建物をカフェとして利用されているんです。
この聞思堂というのは、もともとは地域の人が集い憩う場。無垢の木材や藁の土壁など、自然素材をふんだんに使い、日本の伝統的な建築方法で建てられているそうで、本当に心が落ち着く空間でした。
僕たちが到着したのはちょうどランチタイム。
木のぬくもりと、カフェのスタッフ皆さんのにこやかでテキパキとした動き、そして温かい雰囲気に包まれていました。
たくさんのお客さんと子どもたちが、美味しそうなご飯を囲みながら、楽しそうにおしゃべりに花を咲かせていて、まさに「地域の拠り所」という言葉がぴったりの光景でした。
コラボイベントスタート!居場所でのITの可能性を深掘り
お昼ご飯の後の午後の時間帯に、いよいよコラボイベントがスタートしました。当日は約30名の方々にご参加いただき、居場所の運営に関わる方やNPOに携わっている方々、そしてなんとノンプロ研からも10名ほどのメンバーが駆けつけてくれて、本当に嬉しかったですね。
1. こまちぷらすさんの活動紹介:地域を温かくつなぐ居場所づくり
まずは、もりさんから、こまちぷらすさんの活動や取り組み、つながりの大切さ、居場所の役割について、お話いただきました。
一般的なビジネスパーソンは、ふだんは持てていない視点なのではないでしょうか。けど、大事な視点。みなさんそれぞれの地域について、つながりについて考える、貴重な機会になりました。
2. ノンプロ研の紹介とノンプログラマーについて:誰もがITを身近に
続いて僕のパートでは、ノンプロ研の紹介と、「ノンプログラマー」という言葉に込めた想いについてお話しさせていただきました。
ITは専門家だけのものではないということ、場とつながりさえあれば、誰でもびっくりするくらいできるようになることもお伝えしました。
3. トークセッション
続いて、森さんとタカハシのトークセッション。
森さんから情報の分断を解決するためにツールをどう活用すればいいのか、AIとの向き合い方など、鋭い問いをたくさんいただきました。
4. グループ対話
そして次に、テーマ別のグループ対話です。
参加者の皆さんには以下の3つのテーマに分かれてグループ対話をしていただきました。
- ワークシェア&バックオフィス
- AIと居場所
- どうやってITを学ぶか
それぞれのグループで、日頃感じている課題やアイデア、そしてITに対する期待や不安など、和やかながらも活発な意見交換が行われました。
見えてきた「ITの壁」の正体とは?
僕もグループ対話に参加しましたが、それを通して、非常に興味深いことが見えてきたように思います。それは、「ITの壁」とも呼べるものの正体です。
「わからない」が交差する現場
ITに詳しくない、あるいは苦手意識を持っている方々は、「ITで何ができるのかがわからない」「そもそも何をどう尋ねていいのかすらわからない」という状況に陥りがちです。
一方で、ITスキルを持っていて、そういった方々の悩みを解決したいと考えている人々は、「その方が具体的に何に困っているのかがわからない」「どうやって話を聞き出せば、本当に必要なサポートが見えてくるのかわからない」というジレンマを抱えているケースが多いのです。
つまり、お互いに協力したい、なんとかしたいという気持ちはあるのに、その間に見えない壁が存在していて、うまくコミュニケーションが取れていない。そんな状況が浮かび上がってきました。
見えないコストとしてのコミュニケーション
僕のパートでも少し触れたのですが、日本では多くの場合、ITシステム導入などを外部の専門業者に委託しますよね。
IT企業は、依頼主の話を丁寧に聞き、現状を分析し、本当に解決すべき課題は何かを明確にしてから開発に着手します。この「相手の話を聞き、課題を特定する」というプロセスには、実は多大なコミュニケーションコストがかかっています。そして、そのコストは当然ながら開発費用に上乗せされるわけです。
僕も以前、システム開発の仕事をしていた頃、お客様にじっくりヒアリングをして概算見積もりをお出ししたら、「こんなに高いなら無理だ」と言われてしまった経験があります。それもそのはず、その見積もりには、ヒアリングにかけた時間だけでなく、今後もコミュニケーションに労力が必要になるだろうという予測も含まれていたんですね。
企業であれば、そのコストを支払うことでITの壁を乗り越えることができます。
しかし、居場所を運営するような非営利団体や、多くの中小企業にとっては、そのコストを負担することは容易ではありません。
では、社内ではどうか。そこは、情シス担当者などに「よくわからないけど丸投げ」をする。ITにも詳しい唯一の人材が、どんどん業務にも詳しくなってくれていき、そのコストを吸収してくれていることも少なくないように思います。
この、ITを誰かに「分けてしまっている」というのが、「ITの壁」がなかなか解消されない構図のように思います。
「ITの壁」を越えるヒントは異文化交流にあり?
では、どうすればこの「ITの壁」を乗り越えることができるのでしょうか。今回のイベントを通して、僕が感じたのはいわば「異文化交流」の大切さです。
お互いの違いを尊重し、知ることから始まる一歩
ITに詳しい人とそうでない人は、まるで異なる言語や文化を持つ人同士のようなものかもしれません。
だからこそ、お互いの「当たり前」が違うことを理解し、尊重し合う姿勢が不可欠です。そして、積極的にお互いの領域に足を踏み入れ、「越境」し合うことが、壁を打ち破る第一歩になりえます。
今回のコラボイベントは、まさにそういった「異文化交流」の場となりました。
ITに詳しい人も、そうでない人も、お互いが持っている前提の違いを認め合いながら、和やかで建設的な対話が生まれていました。
対話が生み出す可能性
実は、通常の会社やビジネスの現場で、今回のような「同じ方向を向いて、じっくり対話する機会」を設けるのは、意外と難しいことなんです。
なぜ難しいのかを説明するのもまた難しいのですが…。
たとえば、組織の上に立つ方々の中には、ITに対して苦手意識を持っている方も少なくないと思います。しかし、そういった方はそもそもこのような対話の場には参加されにくい傾向があります。だから、丸投げになってしまう。
しかし、今回のイベントでは、自然と対話ができる状態が生まれていました。それは、参加された皆さんが「居場所をより良くしたい」「地域のためにもっと何かできないか」という熱い想いを持っていたからだと思います。
そして、ノンプロ研のメンバーも、その想いに応えたいという純粋な気持ちで参加してくれたからでしょう。
未来へつなぐために:継続的な支援の形を模索
今回のイベントは、参加者双方にとって非常に有意義な時間となりました。しかし、大切なのはこの熱量を一過性のものに終わらせず、継続的な活動につなげていくことと思います。
言語や文化を共有するには、もっと多くの時間を共有する必要があります。
距離とリソースの課題
ノンプロ研のホッタさんがnoteにレポートされていたように、「距離とリソースの問題」は課題になりやすい点です。

例えば「月1回なら居場所に来れるけど、毎週となると難しい」などという現実があります。
ですから、近くにITの相談ができる人がいるかどうか、そういう方と巡り会えるかが「運次第」になってしまいます。
そこをどうクリアするのか、次の一歩として考えたいところです。
それでも「なんだかいけそうだ!」という手応え
このように、課題はありつつも、今回のイベントでは「なんだかいけそうだ!」という手応えが得られたのが、非常に大きな収穫でした。
ここからさらにアイデアを具体的にしていき、自然なつながりを通して、ITが居場所に入り込んでいく、そして人とITが手を取り合って居場所の可能性を広げていく、そんな未来を描いていきたいと思います。
準備をくださった、こまちぷらすの森さん、スタッフのみなさん、ノンプロ研のみなさん、そしてこのイベントに関わってくださった全ての皆さんに、心から感謝申し上げます。
今後ともよろしくお願いいたします!
まとめ
以上、「ITの壁を超え居場所の可能性を広げるには?~こまちIBASHO研究会・ノンプロ研コラボイベントから」についてお伝えしました。
引き続き、みなさんがいきいきと学び・働くためのヒントをお届けしていきます。次回をお楽しみに!
この話を耳から聴きたい方はこちらからどうぞ!