
みなさん、こんにちは! タカハシ(@ntakahashi0505)です。
先日7/8に「糸島市100人カイギ Vol.9」が開催されました!

今回も大盛況!素敵なゲストのみなさんのご登壇、そして素敵なつながりの場となりました。
イベントの熱気と登壇者のみなさんの素晴らしいお話を振り返っていきたいと思います。
ということで、今回は「糸島市100人カイギ Vol.09: バトンを受け取ったり渡したり」です。
では、行ってみましょう!
そもそも「糸島市100人カイギ」って?
まずは「糸島市100人カイギ」について簡単にご紹介しますね。
これは、糸島市に関わるさまざまな分野の方をゲストスピーカーとしてお呼びして、ご自身の活動やその裏にある想いを語っていただくトークイベントです。
毎回5人の方が登壇し、それを20回繰り返します。つまり、合計100人のゲストが登壇したら、この会は「解散」することが決まっています。
目的は、登壇者と参加者が交流することで、ジャンルを超えたゆるやかな人のつながり、つまりコミュニティを作ること。
僕も参加するたびに、新しい出会いや発見があり、いつも刺激をもらっています。
登壇者の想い
今回のイベントでご登壇いただいた、5名のみなさんの活動や想いを振り返っていきましょう。
網田 蓮士さん(九州大学共創学部1年)
トップバッターとして登壇されたのは、なんと九州大学共創学部の1年生、網田蓮士さん。落ち着いた語り口ながら、その内側にある熱い想いがひしひしと伝わってきました。
高校時代「Creative Innovation同好会」という部活動で、熊本県の天草地方で合宿を行った経験が、彼の人生を大きく動かしました。
天草の地元の方に船を出してもらって魚を釣り、それを自分たちで料理して食べる。子どもたち向けのワークショップを開けば、みんな一心不乱にものづくりに没頭する。そんな活動を通して、網田さんは地元の人々との温かい関わりの中に「人の豊かさ」を感じたそうです。
こうしてすっかり何度も天草に足を運ぶうちに、その魅力にどっぷりハマっていった網田さん。しかし同時に、こんなに素敵な場所が「消滅可能性自治体」に指定されているという厳しい現実も知ります。
「こんなことがあっていいのか?」という強い問題意識が芽生えました。
また、「TOMODACHI Boeing Entrepreneurship Seminar 2023」といったプログラムにも参加。そこで「弱さをさらけ出すこと、ありのままの自分を受け入れること」の大切さを学びます。
こうして大学生になった今、子どもたちを育む場づくりや、多世代が交流できる機会を創出するために、オンライン座談会を開催するなど、すでに行動を起こしています。
自分の経験から社会課題をまっすぐに見つめ、真摯に問い、行動を起こす。
「こんな若者がいるのだ」と胸が熱くなりました。これからどんな未来を作っていくのか、ぜひまたお話を聞いてみたいです。
平岡 あみさん(NPO法人ゆめふうせん 理事長)
続いて登壇されたのは、NPO法人ゆめふうせんの理事長、平岡あみさんです。
実は平岡さん、この100人カイギに深いご縁のある方。第2回に登壇した中村沙恵子さんが「暗黒時代」と語っていた時期に、SNSで声をかけて救ったのが平岡さんでした。
そして、その沙恵子さんの息子さんである中村桜太さんは、高校生に成長して第7回に登壇されています。すごい連鎖ですよね。
「子どもたちに、いつもわくわくしています」と笑顔で語る平岡さん。
学生時代は「大会あらし」と呼ばれるほどの陸上選手でしたが、怪我で半年間の寝たきり生活を余儀なくされ、陸上の道を断念したという過去を持ちます。
その後、特別支援学校に転籍。リハビリの成果もあり、一般の高校、大学と進学し、糸島市や福岡市で26年間、教員として子どもたちと向き合ってきました。
実は、教員時代から、子どもたちのための「居場所づくり」を構想し、退職の計画も立てていたそう。その準備のために、障害者教育をはじめ、休日を活用して学ばれたそうです。
そしていよいよ、10年前に居場所づくりをスタート。今では、放課後等デイサービス、フリースクール、通信制高校のサポート校、フリースペース、自立訓練施設、障害者向けアパートなどなど、数多くの拠点を運営されています。
糸島の有田中央というエリアにあるその一帯は、「ゆめふうせん通り」とも呼ばれています。
「子どもたちや親御さんのニーズに応えていたら、自然とこうなったんです」と、平岡さんはさらりとお話しされていましたが、その裏にあるバイタリティと行動力は計り知れません。
「この人なら、怒らずに話を聞いてくれる。そして、願いを叶えようとしてくれる」。子どもたちにそう思ってもらえる大人でありたい、という言葉が深く心に残りました。
ぜひ大人のみなさん、そのような大人でいられているか自身の心に尋ねてみてください。
大堂 良太さん(九州熱風法人よかごつ 代表社員)
3人目は、九州熱風法人よかごつ代表社員の大堂良太さん。
まず、応援団バリの大声での自己紹介からスタート!その後も、ハンドマイクなしでずっとお話されていましたね。
これは、九州大学時代に住んでいた「田島寮」で先輩たちに仕掛けられた、3日間かけてのドッキリで仕込まれた大声での自己紹介だったそうです(笑)。
大堂さんの活動は多岐にわたります。
まず、地域交流型の学生寮「熱風寮」。古民家を改修した寮は今や7棟に。
それだけでなく、僕の息子もお世話になっている駄菓子屋「トムソーヤ」や、僕も以前入居していましたシェアオフィス「よかとこラボ」、そして「糸島の顔が見える本屋さん」など、次々と地域を元気にする仕掛けを生み出しています。
その原動力は「『ありがとう』が目の前にあるから」と語る大堂さん。まじ素敵です。
そんな大堂さんが、みなさんに伝えたいメッセージは「“志”を見つけよう」ということ。「一度きりの人生を捧げてもよいと思えるものを見つけよう」と。
それを見つけるためんには、「好き嫌いせずに、まずはバッターボックスに立つこと」が有効です。
さらに、このAI時代、答えを出す力だけではなく、「なぜ?」と問いを立てる力を養うことも重要です。
そして最後に「良い人間関係が良い人生をつくる」というメッセージ。
コミュニティをつくる営みの幸せを再確認させていただいたプレゼンでした。
Naoki Ooyaさん(本屋アルゼンチン店主/糸島芸農事務局)
4人目の登壇者は、本屋アルゼンチンの店主であり、糸島芸農の事務局も務めるNaoki Ooyaさん。
Ooyaさんはまず、2025年10月に開催される国際芸術祭「糸島芸農」について紹介してくれました。糸島の二丈地区で2年に一度開かれるこの芸術祭。今年の10月には、「分解の祝祭」という興味深いテーマを掲げ開催されます。
実は、糸島市100人カイギとのコラボ企画も進んでいますので、ぜひお楽しみに。
Ooyaさんは、2016年に「合同会社こっから」を6人で創業。6人すべてが代表社員。とてもユニークです。
「目的を決めない。目の前に湧いてきたことを大事にしよう」というのが、「こっから」のスタイル。その「内発性」に忠実に、ベトナムフォーのお店を経営したり、四国でNPOを立ち上げたり、世界トップクラスのミネルバ大学とパートナーシップを結んだり…その活動は自由で、枠にとらわれません。
Ooyaさん自身は、以前は大手リクルートで人事を担当し、他社の経営者にレクチャーするほどの「人と組織のプロ」でした。しかし、社会人大学院に通い始めた初日に、ある問いを突きつけられて衝撃を受けます。
「人は、社会に対して”やっている”のか、それとも”やらされている”のか?」
など、数々の問いを教授のみなさんから投げかけられ、自分がいかに「わかっていなかったか」を痛感したそうです。
その経験から、アカデミックな知と「わかったつもり」になってしまっているビジネスの現場をつなぐ場を作りたいという想いが生まれ、現在の「本屋アルゼンチン」につながっています。
「広場に一本の杭を立てよう。そこに花を飾れば、人が集まり、やがて祭りが生まれる」。Ooyaさんはそう語ります。本屋という “杭” が、イベントや人のつながりを生み出す拠点になっている。
みなさんは、どこに”杭”を立てますか?
岡 祐輔さん(福岡大学経済学部 准教授)
最後の登壇者は、福岡大学経済学部准教授の岡祐輔さん。元糸島市役所職員で、当時は「スーパー公務員」として知られた方。
僕がメンターとして携わっている福岡大学ベンチャー起業論の先生でもあり、個人的にとてもお世話になっています。
岡さんが語ってくれたのは、僕たちも日常的に利用しているJR「糸島高校前駅」が、いかにして誕生したかという壮絶な物語でした。
筑前前原駅と波多江駅の間に新駅を作る。このプロジェクトに与えられた予算はゼロ。期限はわずか2年間。今では考えられないような無謀なミッションです。
毎日鳴りやまないクレームの電話、山積みの通常業務、そして他の部署の職員からの冷ややかな視線…。岡さんは、深夜2時、3時まで働くのが当たり前で、自宅のリビングで倒れるように眠り、また朝を迎えるという日々を送っていたそうです。
想像を絶する状況に、何度も「もうダメだ」と思った、と岡さんは振り返ります。
しかし、そのたびに岡さんを救ったのは、新駅の誕生を願う「人の想い」でした。
そして2019年3月、多くの人々の想いを乗せて、糸島高校前駅は開業しました。僕たちが何気なく使っている駅の裏に、こんなにも熱いドラマがあったとは…。
市役所を退職し、大学で教鞭をとる今、岡さんは「仕事プラスワン」という考えを大切にしているそうです。仕事で得た知識や経験を、地域への恩返しとして活かしていく。
そのような想いで携わっていたからこそ、新駅のミラクルは起こせてのではないか…そんなふうに思いました。
受け渡される想いのバトン
5人5様、それぞれの分野で活躍されているみなさんですが、お話を聞き終えて、僕の心には一つの共通点が浮かび上がりました。
それは、誰もが誰かから「バトン」を受け取ったり、そして次の誰かへ「バトン」を渡そうとしたりが起きている、ということです。
この「糸島市100人カイギ」という場所そのものが、登壇者から参加者または他の登壇者へ、そして参加者同士で、目に見えない無数のバトンが受け渡される、そのような役割を果たせればと思います。
今回も本当に素晴らしい出会いと学びに満ちた時間でした。登壇者のみなさん、参加者のみなさん、ありがとうございました。
次回は、8/22火、19時から、場所は同じくコミュニティスペース「みんなの」で開催です。
会場に足を運んでいただければうれしいです。

以上、「糸島市100人カイギ Vol.09: バトンを受け取ったり渡したり」についてお伝えしました。
引き続き、みなさんがいきいきと学び・働くためのヒントをお届けしていきます。次回をお楽しみに!
この話を耳から聴きたい方はこちらからどうぞ!