みなさん、こんにちは!
タカハシ(@ntakahashi0505)です。
「ノンプログラマーのためのスキルアップ研究会」は、ノンプログラマーがプログラミングをはじめとするITスキルを学び合うコミュニティです。
先日の定例会のテーマは「コミュニティづくり」。
どのようにして安心安全な場をつくり、継続的に活動し、成長するコミュニティを運営しているのか、「祝160名突破!安心安全で熱量の高いコミュニティをつくる秘訣」というタイトルでお伝えしました。
このシリーズでは、数回の記事にわけてそのレポートをしております。
前回の記事はこちら。
コミュニティ「ノンプロ研」のKGIとKPI、またメンバーを活動度で分類する考え方についてお伝えしました。
今回は、「学習するコミュニティづくりの秘訣~熱量を上げるための領域と多様なつながり&実践機会」についてお伝えします。
ちなみに当日の様子は以下、Togetterのツイートまとめもご覧くださいませ。
では、行ってみましょう!
熱量のある安心安全なコミュニティをつくる4つの秘訣
熱量のある安心安全なコミュニティをつくる4つの秘訣はずばり以下の4つです。
- 熱量を上げるための領域の設定
- 多様なつながり・実践の機会を設ける
- 継続的な成長を前提にする
- 制約を取り払いオープンにする
今回の記事では、最初の2つについて、詳しく解説をしていきます。
熱量を上げるための領域の設定
以前、以下の記事で、実践コミュニティ(=つまり学習するコミュニティ)には、「領域」、「コミュニティ」、「実践」の3つの要素が必要とお伝えしました。
これらの3つのうち、コミュニティの熱量を上げるには、「領域」の設定が超重要と考えています。
「領域」が活動のエネルギーを生み出す
領域とは「メンバーに共通する課題や問題」のことです。
なぜ、課題や問題が重要かというと、課題が明確であればあるほど、現状との間に引き合うエネルギー(創造的緊張)が強く生じるからです。
そして、そのエネルギーが集団となって方向が揃っている場合、そのエネルギーは倍増されます。
創造的緊張やエネルギーの方向については、以前も紹介した以下「学習する組織」で詳しく知ることができます。
ノンプロ研の領域は、以下のように定義できます。
ノンプロ研のイベントをオフラインで開催できていた頃、イベント後には居酒屋さんで懇親会を開催していました。
ノンプログラマーならではのこれらの課題について、皆さんが熱心に会話をしていたのを思い出します。
領域の設定とコミュニティのネーミング
社内勉強会などは、なんとなく「~勉強会」などという当たり障りのないネーミングを付与しがちですが、ぜひネーミングにこだわってみてください。
この名前には、「ノンプログラマー」という対象となる属性およびプログラミングへの意識、「スキルアップ」という目的、「研究会」では学び合う場であるというこだわりが表現できています。
ぜひ、適切なネーミングをして、領域を十分に理解してもらった上で、メンバーとして参画してもらいましょう。
その時点で、熱量が高まり、集団となったときには倍増されるはずです。
多様なつながり・実践の機会を設ける
多角的な実践の機会が必要な理由
課題は共通とはいえ、メンバーにはいろいろな方がいらっしゃいます。
性別、年齢、職業、居住地、役職、稼働できる曜日や時間帯、社交的かどうか、慣れているツールは何か、得意なことは何か…などなど。
ある一方向に偏った活動ばかりしていると、それにマッチしているメンバーは良いですが、そうでないメンバーは参加したくてもできなくなってしまいます。
ですから、参加率・貢献率を上げるために、多角的な実践の機会を提供するのが有効です。
多様なメンバーがそれぞれ「これなら参加・貢献できそう」と思える機会を、以下のような視点で、できる限り提供するのです。
- 公的と私的
- 定期的(月・週・日)と不定期
- 安定的と刺激的
- オンライン・オフライン
- 多様なツール
- Zoom・Slack・Discord・Twitter・Notion・ブログ・技術書
- 話す・書く・つくる
学習対象を広く設定して多様な学びを奨励する
一方で、ノンプロ研では領域は設定しつつも、学習対象はかなり幅広く設定しています。
領域を「VBA」などという特定の言語へと限定せずに、「ノンプログラマー」と広く設定したのが功を奏しています。
メンバーによっては得意ジャンルが異なります。
入会時には、プログラミングに入門したてというメンバーでも、人事や経理など専門ではプロフェッショナルな知識と経験を持っていたりします。
プログラミングに限定すると、それらのメンバーは価値提供する機会がありませんが、それ以外の多様な学びを奨励することで、それぞれが本来持っている専門分野での貢献が容易になるのです。
自分にとっての当たり前は、他者にとってのお宝、貢献は意外とすぐにできるものだったりします。
「理解されている」は重要
コミュニティにおいて互いがつながり、よく知り合うことは、学習を容易にさせる効果があります。
2013年、オオイシらによる実験では、以下のような辛く感じそうなことを「理解されている友人と一緒のとき」「ひとりぼっちのとき」とで試しました。
- 丘の傾斜はどれだけきつく見えるか?
- 長い距離をどれだけ遠くに感じるか?
- 冷たい氷水の痛みにどれだけ耐えられるか?
この結果、「理解されている友人と一緒のとき」のほうが、辛く感じなかった、つまりより「ラク」に感じたそうです。
この実験については、以下「コミュニティの幸福論」に詳しく紹介されています。
ノンプロ研では、以下のようにお互いを知るための機会を多数設けて、つながり、より理解することをサポートしています。
- イベントでは少人数のグループに分かれてアイスブレイクをする
- 頻繁に懇親会を開催する、その際、大人数のグループにならないようにする
- 自己紹介がSlackチャンネルに投稿、またノンプロ研アプリに反映される
- Slackでの多様な部活チャンネルや地域ごとのチャンネルで交流できる
心理的負債を取り除く
先ほど紹介した「コミュニティの幸福論」では、以下のような興味深い事実が紹介されていました。
- 日本人は「助ける」のが苦手であり、128か国中107位
- とくに見知らぬ人への助けでは最下位
しかし、「助ける」が少ない理由は助ける側が冷たいからだけでなく、助けられる側の心理にもあるそうなのです。
つまり 「ウチ」と「ソト」でいうと、家族や親しい仲ではない「ソト」の人々に対して、他人に迷惑をかけたくない、何かをしてもらうのは申し訳ないというような意識が強く働いてしまう傾向にあると分析されています。
このような、気持ちを「心理的負債」といいます。
たしかに、ノンプロ研でも、質問するのははばかられる、もらってばかりで申し訳ない、という声を聞くときがあります。
ですから、このような心理的負債を感じさせないように、うまく助けを求められる(これを「ヘルプシーキング」といいます)ように促す、そのような仕掛けが重要です。
- Slackの「今更なことを質問していいチャンネル」
- 「教えることは二度学ぶこと」というスローガン
- 15分悩んだらSlackへ
教えるほうにもメリットがあり、そのやり取りを見るメンバーにもメリットがあるのだから、助けを求めることも立派な貢献ということになります。
まとめ
以上、「学習するコミュニティづくりの秘訣~熱量を上げるための領域と多様なつながり&実践機会」についてお伝えしました。
みなさんの組織やコミュニティでも活用できるノウハウがあると思いますので、ぜひご参考ください。
次回は、4つの秘訣のうちの残りの2つについてお伝えします。
どうぞお楽しみに!