「出版業界はもう終わっているのか」について思ったこと

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photo credit: Garrett Gill The Teenage Reader via photopin (license)

みなさん、こんにちは!
タカハシ(@ntakahashi0505)です。

先日拝見したこちらの記事がバズっているようです。

出版業界はもう終わっている
これは出版業に隣接する場所で働く人間にはこう見ているという話だ。出版業は苦境に立たされている、新しい売り方を模索せねば、という声が聞…

私なんぞは、ブログはじめて3年ちょい、書籍に関しては2冊出していますが1年生の、物書きとしては全くの青二才ではあります。

幸い、自分は「最近デビューした新人著者」の観点で、この記事を読むことができました。

これから著者としてデビューする人と、これからまた書籍を執筆するであろう自分への叱咤激励を込めて、「書籍を書く」ということについて思ったことを書いてみたいと思います。

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これまで出版した2冊の書籍

昨年2017年の4月にデビュー作「ExcelVBAを実務で使い倒す技術 」を出版し、同じく12月に「詳解! GoogleAppsScript完全入門 ~GoogleApps & G Suiteの最新プログラミングガイド~」(通称GAS本)を上梓しました。

1作目はありがたいことに、4刷までいって、今でも露出高めに陳列いただいている書店さんもたくさんあります。

2作目は、書籍としてはたいへんマニアックな類のものですが、これも発売当初から露出高めに陳列いただきました。

ただ、現在執筆時点ではAmazonで残念ながら在庫切れになっていて、たぶん大急ぎで増刷準備をいただいているところです。

まあそれも売れているから…というのはありがたいんですが。

ということで、順調に2冊を送り出すことができたといって良いと思います。

1作目のヒットの重要性

私の場合は「理工書」なので、冒頭で紹介した記事(どうやら「小説」についての話が中心)とは若干の状況が異なると思うのですが、ちょっとゾッとした話があるので紹介します。

さて、ちょっと前の話ですが、とある業界に詳しい方から

「高橋さん、1作目が当たってよかったですね」

とお声がけ頂いたことがあるのです。

よく話を聴くと、2作目のGAS本はマニアックにも関わらず発売当初から露出頂いていた理由として「1作目の著者実績」が大きかったようなのです。

逆に言うと、もし1作目がコケてたら、2作目はこんなに売れていなかった、もしかすると出せていなかった可能性すらあるわけです。

つまり、はあちゅうさんがツイートしている通りのことが起こり得たということです。

デビュー作のオファーはどうやって受けるべきか

運が良かった私の1作目

私の1作目、編集さんからブログ経由でお声がけをいただきました。

こだわりを持って記事を書いていそうな方

を、それはもう必死になって探していらしたそうです。

ブログ開設からたった2年で私が出版のチャンスを得た理由
この度「ExcelVBAを実務で使い倒す技術」という本を書きました。オファーを頂けたのは、ブログのおかげ…開始から2年という短さでチャンスを得られたのには、いくつかのポイントがあったと思います。

それで、企画を詰めていくことになるのですが、企画会議を通す前に、それはもう十分すぎるほどのキャッチボールの機会があり

  1. ExcelVBAという大きな市場
  2. その中で、「その悩み」を抱えているターゲットが多いと想定される
  3. そして、「その悩み」を解決する類書がない
  4. もちろん、「その悩み」の解決策を私が提示できるし、したいと思っている

というところを納得いくまで話せた、というのが運が良かったと思います。

本当に運が良かった。

決め打ち企画のオファーもある

さて、ありがたいことに、ここ半年くらいの間、各出版社さんからチョコチョコお声がけいただいています。

「こういう企画があるので、こういう内容を書いてほしい」と決め打ちの企画もあります。

ですが、そのテーマは自分の感性とズレてるな…とか、自分が書くには知見やスキルが足りないな…とか、そういうのも当然あります。

それについては、今なら「それは書けない」と言えますが、デビュー1作目にその「決め打ち」オファーが来たとしたら、自分だったらどうするか…。

書籍を出せるのはとても嬉しいので、無理して話に乗っちゃうかな…と思います。怖いっす。

書籍の成功とは何なのか

それで、書籍による成功って、何段階かあると思っていて、多分こんな感じです。

  1. 企画が通って本が出る
  2. 売れて儲ける
  3. 人の行動を変える

出版社さん、編集さんによっては、多分「2」が目標で、場合によっては「1」に追われているかも…というのが、冒頭の記事の言わんとするところだと思います。

ノルマがあるので完成したらすぐ次の本に取り掛からなきゃいけない。同時並行でやっているので、一冊に力をかけることもできないし、完成したら販売に力を入れることもできない。結果、作ったらあとは放置。売れてくれたらラッキー。

ということです。

ですが、著者としては、1作目で売れなかったときのダメージは大きいので、より一層「2」を気をつけなきゃよ、となります。

思考停止せずに、ニーズはあるのか、それに自分が応えられるのか、これを考え抜かなければいけないかと。

著者としての書籍は労力のわりに儲からない

いや、むしろ目指すは「3」かもという考え方があります。

というのも、そもそもなんですが、イケダハヤトさんが言っている通り、著者としての書籍は労力のわりには儲からないというのはあります。

過去の記事をご覧いただければと思いますが、半年以上に渡って合計400時間くらい費やしますでしょ。

GAS本を書き上げるのに、どれだけの文字数書いて何時間かけたのか
「詳解!GoogleAppsScript完全入門」が発売されることになりました。この記事では本書を書き上げるのに、どれだけの文字数書いたのか、またどれだけの時間をかけたのか、ババンと晒したいと思います。

で、だいたいどれだけ売れるかとなると、例えば1800円で3000部で8%で計算してみると、40万ちょっとです。時給1000円くらいです。

受託やってたほうが全然割はいいです。

この10倍売れたら、時給10000円になりますが、30000部はよっぽどじゃないといかないでしょう。

あらゆるメディアで価値を伝える

儲からないのにブログを書く理由

じゃあ、何のためにやるかって考えたら「3」しかない。

ブログの話になりますが、直接売上0円のブログに毎日1~2時間を割いて、こうして記事を書いています。

アホだな~と思うかも知れませんが、マーケティングとしての役割もありますし、それよりもネット上に価値提供の機会をじゃんじゃん蓄積しているのです。

価値を蓄積すれば、後で必ず跳ね返ってきます。

ただ、残念なことが一つあります。

ブログに来る人は「vba for文」とか、「gas コンテナバインドとは」とか、そういう超具体的に情報を得ようとしている人だけなのです。

検索しない人に、どうアプローチするのか?

書店というメディア・本というメディア

書店も立派なメディアだと思っていまして、その本が棚に並んでいる事自体、またそのタイトルが来店者の目に触れるというのも価値があると思います。

例えば、GAS本が平積みになっているとき、これは本当に嬉しかった。

だって、私の本が出る前は、GASの書籍を置いている書店はほとんどなかったのです。

本屋に来た人が平積み見たら「今、GASってけっこうキテるんだ」って思ってもらえるじゃないですか。

これは、ブログでは成し得ないです。

また、本というのは、また別の特性を持ったメディアでして、例えば「vba for文」を調べようとパラパラめくっていると、うっかり「vba while文」も見つけちゃったりします。

意識はしなくても、目次や他の情報が目に入っちゃいます。

さらに、一通り全部読んでみると、その奥底にある、その著者の一貫した「こだわり」や「大事にしていること」が読み取れたりします。

つまり、400時間費やしたとしても、その本が書店に来店した人の目に触れ、購入した3000人に影響を与えて、かつ40万円返ってくれば、それって割に合う活動だと思いませんか?

まとめ

私自身、これまで先人たちが書き記してくださったたくさんの書籍があって、今があるという事実があります。

以下、井ノ上さんの記事も本当に100%共感の内容ですので、ぜひ読んでいただきたいです。

確かに、全体として出版業界は厳しいのかも知れませんが、著者の立場からすると、書籍執筆でしか成し得ない大きな価値があります。

ぜひ、そのチャンスをものにしていきたいところですし、そのためには著者としての強い意思を持っておく必要があるものと思います。

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