書籍執筆は儲からない…?~私が書籍を頑張る4つの理由~


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photo credit: Sally T. Buck McLeod’s Books via photopin (license)

みなさん、こんにちは!
タカハシ(@ntakahashi0505)です。

さて、私は独立する少し前、2015年2月からこのブログを運営しているわけですが、それ以降、2冊の書籍を上梓させていただきました。

書籍を執筆するには、まあ、それなりに、なかなかのハードな日々を覚悟する必要があり、一方でその見返りとしての収益については、確実に儲かるとも限らないという現実があります。

では、なぜ書籍を執筆するんでしょうか…?

今回は、それなりの苦労を覚悟して、どうして書籍を書くのか…その理由についてまとめていきますね。

※この記事はコミュニティ「ノンプログラマーのためのスキルアップ研究会」定例会Vol.12「私が書籍を頑張る理由」の内容の一部を加筆修正して記事にしたものです。当日の様子は以下のツイートまとめもご覧くださいませ。

ノンプロ研定例会Vol.12「私が書籍を頑張る理由」
396時間、185000文字。これは「詳解!Google Apps Script完全入門」を執筆した際にかかった時間と、書いた文字数です。なぜ、Webというツールがあるのに、それなりの苦労を覚悟で..
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書籍を書くにはどれほどの時間がかかるか

突然ですが、以下が私がこれまで書いた書籍のページ数、文字数、執筆にかかる時間数をまとめたものです。

タイトル ページ数 文字数 時間数
ExcelVBAを実務で使い倒す技術 289ページ 138,450文字 343時間
詳解!GoogleAppsScript完全入門 494ページ 185,469文字 396時間
パーフェクトVBA(仮) 約500ページ 180,000文字 400時間

「パージェクトVBA(仮)」については、現在執筆中なので、あくまで予定です。

ExcelVBA本を一冊書くには、どれだけの文字数と、どれだけの時間が必要だったか
書籍「ExcelVBAを実務で使い倒す技術」が発売されました。今日は発売記念ということで、本を一冊書くのに、どれだけの文字数を、どれだけの時間をかけて書いたのか、晒したいと思います。なかなか過酷です。
GAS本を書き上げるのに、どれだけの文字数書いて何時間かけたのか
「詳解!GoogleAppsScript完全入門」が発売されることになりました。この記事では本書を書き上げるのに、どれだけの文字数書いたのか、またどれだけの時間をかけたのか、ババンと晒したいと思います。

400時間…

途方もない時間数ですが、これを週単位に分解すると以下のようになります。

  • 週05時間 → 20ヶ月
  • 週10時間 → 10ヶ月
  • 週15時間 → 7ヶ月
  • 週20時間 → 5ヶ月

1年以内で書こうと思ったら毎日2時間弱、半年で書こうと思ったら毎日2,3時間は確保をしなければいけません。

ちなみに、プログラミングの習得にはだいたい200~300時間が必要と言われていますので、それよりも多くの時間が必要なんですね…!

書籍は儲かるのか

一般的に書籍の収益は、いわゆる書籍と電子書籍の実売数に応じて決まります。いわゆる「印税」というものです。

印税の支払額の計算には、よく以下のようなものが使われます。

商品価格 × 実売数 × 印税率

実売数というのは、実際の販売数です。印税率は私の知るところによると、だいたい7%~10%の間のいずれかです。

例えば、商品価格は「ExcelVBAを実務で使い倒す技術」の1800円とします。

実売数は売れれば当然増えますが、だいたい初版で刷る部数が数千部と言われていますので、それがだいたい売れて3000部としましょうか。

すると、印税の額は、約38万~54万円という額になります。

先程の400時間で割って時給換算すると、945~1350円…正直、コンビニやハンバーガー屋さんの時給のほうが高かったりするのです。

そして重要なこととして、出版されないと印税の支払はありません。

つまり、執筆に1年かけたとしても、その間が一切収益が上がらないのです。

…ということで、書籍執筆は収益でいうと、かなり効率悪いです。

私が書籍を頑張る4つの理由

なので、直接的なお金目当てで本を書くというのは、あまり良い作戦ではありません。

それでも書くということは、他にメリットがあるということですよね…

私は、そのメリットとして4つあると思っています。

  • 印籠
  • 学習効果
  • 不労所得
  • 影響力

印籠

一つめは印籠です。認知心理学で「ハロー効果」と呼ばれるものです。

例えば、私は開発や研修のしごとをさせて頂いています。ある企業の担当者が、私に依頼をするためには、その意義や理由を社内で説得する必要があります。

つまり、稟議を通し、予算を確保しなければいけません。

東京の外れで一人でやっているちっぽけな会社で独立は3年前…ちょっと心配ですよね?

それが、書籍を出していたりすると

「この本を出している方が、自ら研修をしてくださるんですよ」

という説得フレーズを使えるようになります。

すると、「ああ、書籍を出しているような方なら、きっと信頼できるだろう」となりますよね。

この効果…ありがたいのです。

学習効果

次は学習効果です。

書籍を書くという行為は、著者本人の学習に大きく寄与します。

  • 書く・打つという行動を伴う
  • 緊張感がある
  • 適度な難しさ
  • コンセプトや他のパートと関連付けという点での省察
  • フィードバックが得られる
  • 教える前提

これらは、いずれも脳の使い方的に良いと言われている要素。ふんだんに盛り込まれていますよね。

不労所得

これね…不労所得、ありがたいんですよ。

ほら、私のメインの仕事って「研修」か「開発」かなので、いずれも自分の稼働がないと収益を産まない構造のビジネスなんです。

ただ、書籍は違っていて、作るのは大変ですが、作ってしまえさえすれば、書店さんが代わりに売ってくださるんですね。

売れ続けないと得られないものではありますが、運良くそこそこ売れてくだされば、3ヶ月に一回とか、半年に一回とか忘れたころに、稼働がないにもかかわらず印税がちょこっと入金されます。

ボーナス的な感じで嬉しいですし、ありがたいんです。

影響力

最後は影響力です。

ここでいう影響というのは、読んだ後にどれだけその人の考え方や行動に変化を与えられるか、ということを言っています。

ブログだと、1リーチに対して、だいたい数千文字くらいの情報量になります。その分、リーチの範囲はめちゃめちゃ広いです。

一方で、書籍はせいぜい数千人へのリーチです。ただ、買ってさえくれれば、その方に18万文字という情報量(そしてそれは一貫していて、適切な順序で整えられています)を、まとめてぶつけることができます。

TIPSや手法はブログ記事で十分に伝えられますが、体系や作法といったものは数千文字で伝えるのは難しい場合があります。

そんな場合は書籍が効果的、ということになります。

ExcelVBAについて…ブログでは伝えられないことが書籍なら伝えられる
ご縁がありまして「ExcelVBAを実務で使い倒す技術」という本を書きました。こうして本を書いてみると「ブログで伝えられないこと」を「本であれば伝えられる」と確信しましたので、それについて書いています。

私がどんな影響を与えたいのか

それで、私がどんな影響を皆さんに与えたいのか…なのですが、こういうことです。

私は、過去いろいろと調子に乗ってしまったこともあり、スキルもなくアラフォーを迎えて、人生のどん底に落ちてしまったことがあります。

そのどん底の私の「蜘蛛の糸」となったのが、VBAつまりプログラミングだったんですね。

ただ、その道は、通ってみると、とても険しくて長いものでした。今でもそうです。

その「道」を進みやすくする活動、それには意味があると思っていて、そのためにビジネスをしようと思いました。ブログを書こうと思いました。

ただ、険しい道の中で出くわす、以下のような障害を超えるためには、考え方や行動を変えるだけの情報量、つまり書籍という手段が適切なんですね。

  • リーダブルなコードを書こう
  • 運用を考えてマクロを作ろう
  • GASの基本からクラスまで体系的に学ぼう
  • VBAをあらためて体系的に学んでみよう

だから、書籍も書こうと思っていますし、書いているんですね。

まとめ

以上、私が書籍を頑張る理由についてお伝えしました。

実際、執筆している間は過酷な日々なのですが、そのような理由で書籍をとても重要視しています。

まずは「パーフェクトVBA」、そしてまだまだ書きたいネタがいくつかあります。

なんとか、日の目を見るよう頑張りますので、書店に並ぶときを楽しみにしていてくださいね!

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  1. コミュニティ「ノンプログラマーのためのスキルアップ研究会」の活動レポートまとめ(2017-2018)
  2. コミュニティ「ノンプログラマーのためのスキルアップ研究会」の活動レポートまとめ(2019)
  3. コミュニティ「ノンプログラマーのためのスキルアップ研究会」の活動レポートまとめ(2020)
  4. コミュニティ「ノンプログラマーのためのスキルアップ研究会」の活動レポートまとめ(2021)
  5. コミュニティ「ノンプログラマーのためのスキルアップ研究会」の活動レポートまとめ(2022)
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