全国1800自治体のITシステム共通化へー背景とその大きなメリット

全国1800自治体のITシステム共通化へー背景とその大きなメリット

みなさん、おはようございます!タカハシ(@ntakahashi0505)です。

こちらの記事は、タカハシが音声メディアVoicyの「スキルアップラジオ」にて放送した内容から、ピックアップしてお届けします!

今回のテーマは、全国1800自治体のITシステム共通化へー背景とその大きなメリットです。

#723 全国1800自治体のITシステム共通化へー背景とその大きなメリット | タカハシノリアキ「『働く』の価値を上げるスキルアップラジオ」/ Voicy - 音声プラットフォーム
全国1800自治体のITシステム共通化へ、人手不足に対応…給付金や学校事務で→

なお、以下で実際にお聴きいただくこともできます!

では、よろしくお願いいたします!

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ニュースの紹介:全国1800自治体のITシステム共通化

さて、今日は、ニュースを紹介したいと思います。

どんなニュースかというと「全国1800自治体のITシステム共通化」、こちらのニュースになります。

今、各自治体のシステムがどういう風に運営されていて、そして今回の方針によって今後どう変わっていくのか。

我々の生活にもすごく関係してくるものだと思いますので、ぜひ知っていただければと思います。

全国1800自治体のITシステム共通化へ、人手不足に対応…給付金や学校事務で
【読売新聞】 政府は、全国約1800の地方自治体が使うITシステムを共通化する方針を固めた。人口減少とともに、自治体の職員も不足してシステムの維持が困難になる恐れがあり、学校の事務など各自治体に共通する業務のシステムを統一して行政事

全国地方自治体のITシステムの現状

この記事によると、政府が、全国約1800の地方自治体が使うITシステム、これを共通化する方針を固めたということです。

そして、この6月に策定する「国・地方デジタル共通基盤に関する基本方針」、これに盛り込むと報じられています。

では、この背景として、現状どうなっているのかということについて確認していきたいと思います。

自治体ごとに個別システムを構築

地方自治体、都道府県とか市区町村、現在システムをどうしているかというと、個別にシステムを構築しているそうです。

ある政令指定都市で言うと、300を超えるシステムを保有しているとも言われています。

さらに、たとえば昨今話題になっている「定額減税」とかです。こういった新たな業務が増える時にシステムが必要だと各自治体が判断したのであれば、自治体ごとにシステムを構築していくそうです。

多少なりともITに関わる仕事をしている身としては、この事実はかなり驚きですよね。

たとえば給付の事務とか学校の事務、これが自治体ごとにそんなに変わらない業務だったとしても、それぞれの自治体が要件を定義して、ITベンダーを選定して、開発、運営をして、そして保守もしていると。

自治体ごとに言うとそれが当たり前なのかもしれませんが、全体で見たらかなり無駄が多いように見えますよね。

自治体の情報システム人材不足

一方で、そのようなシステムに関わる自治体の職員の数、これに関して人材不足が加速している、こういったことも伝えられています。

具体的には、1994年には330万人いた自治体の職員が2023年には280万人に減少していると、当然ながら、人口は減少していくとともに、この傾向はさらに続くというふうに予測されています。

加えて驚きなのが、この自治体の情報システム担当者の数なのですが、これが1人以下の自治体が300にも上ると言われています。

よく企業で1人情シスとか0情シスなんて言われますが、少なくない自治体が同じような状態であるということなのです。

このままの状態だと、システムの維持、これが困難になる恐れがあるということで、この自治体システムの共通化に関しては待ったなしという状況であるということなのです。

ガバメントクラウドの利用

そして、今回報じられていたのが、政府が主導してシステムを整備し、自治体がそれを利用する形に転換するというものです。

具体的には、各自治体が利用するシステム、これは「ガバメントクラウド」と呼ばれる上に構築されていきます。

ガバメントクラウドというのは、行政に関わる業務システムを統一されたクラウド上に集約して、共通化、標準化した上で監視、運用できるようにした政府共通のサービス利用環境です。

このガバメントクラウド上に、たとえば給付金支給システムとか学校事務システムとか自治体業務で必要となるシステムを配置して、各自治体は、それを利用する、そういった形になるわけです。

イメージとしては各企業がSaaSを導入するのと似ていますね。

たとえば会計の業務で言うと、各企業が元々はExcelを駆使して自社独自のシートを作ったり、場合によってはマクロを開発してそれで運用していた経理、会計の業務、これらを、SaaSを導入することによって、自分達で開発したり、そしてその運用、保守をする必要がなくなるわけです。

そういったみんなが必要とする業務は、クラウド上に1つのアプリケーションを用意していて、それをみんなで使うと、そのような全体の最適化を図れるというのがクラウドやSaaSの大きなメリットになります。

これを自治体でもやっていこうという発想です。

自治体システム共通化のメリット

では、自治体システム共通化、これによってどんなメリットが生まれるのか整理していきましょう。

3つ挙げられると思います。

システムの効率化

1つはシステムの効率化です。

ざっくりした計算で言うと、これまで自治体別に1800あったシステムが1つに集約されるわけですよね。

もちろん、それだけ大規模なシステムになりますので、単純にコストは1800分の1になるというわけではありません。

ただ、システムが1800あるのであれば、そのシステムごとに運用、保守に関わる人材が必要になるわけです。

これはかなり削減できるのではないか、そういったことは期待できます。

システムの均一化

次に挙げられるメリットは、システムの均一化になります。

自治体ごとに別々に要件を定義して、そして発注して、さらにその担当するITベンダーも別なわけですよね。

規模感の小さい自治体であれば、それほどお金をかけられていないということもあるわけです。

そうなると、同じ業務を担当するシステムだったとしても、自治体ごとに機能だったり、利便性だったり、もしくは何か改善したい時のそのスピードだったり、もしくはセキュリティの強度だったり、そういったことが異なるわけです。

今回の共通化では、それらシステムの様々な要素に関して均一化を図ることができるということになります。

データ活用

そして、3つ目のメリットなのですが、データの活用があります。

全自治体分のデータがその共通化されたシステムに集まることになりますので、たくさんのデータが集まるわけです。

そのデータを分析して、システムや行政サービスの改善に役立てることができます。

さらに、共通のガバメントクラウド上にありますので、異なるシステム同士のデータ連携などもうまくできるようになると思います。

自治体ごとにその場しのぎ的にシステムをどんどん作っていると、Aというシステムにも、Bというシステムにも、同じ住民の名前、住所、電話番号などなどを打ち込まなきゃいけない、こういったことがわりと発生しているんじゃないかと思います。

そういった重複データをあちこちで扱わなくて済むようになる、こういったことも期待できると思います。

「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律」とは

さて、今回の記事では、対象となる業務に関して言うと、給付金の支給や小中学校の事務、これが共通化の対象になる見込みと伝えられています。

しかし、これは本来の方針で言うと、地方公共団体情報システムの標準化に関する法律というのがすでに定められていまして、そこに「システム標準化の対象20業務」というのがすでに挙げられているのです。

給付金の支給や学校事務に関して言うと、その一部ということになります。

システム標準化の対象20業務

では、その20の業務、どういったものが挙げられているか、簡単にざっと説明していきます。

まず、住民基本台帳関連業務です。これには、国民年金や選挙人名簿管理、これも含まれています。

次に、税関連業務です。固定資産税とか個人住民税、法人住民税、軽自動車税、これらが含まれます。

また、国民健康保険関連業務、障害者福祉関連業務、介護福祉関連業務、児童子育て支援関連業務、これには児童手当などが含まれます。

そして、その他業務、生活保護や健康管理、中学など、また、戸籍関連業務、そして印鑑登録、こういった業務が含まれているということです。

導入スケジュール

本来で言うと、これらの業務に関して2025年度末までに導入を完了すること、自治体の移行を完了することが義務付けられていました。

しかし、先ほどお伝えした通り、各自治体の情報システム担当者、そもそも人材不足であるという問題もありますし、移行期間が短すぎる、そういった声が挙げられているため、政府としては、自治体と協議しながら柔軟な移行スケジュールを設定して、段階的に共通化を進めていく、そういった方針だそうです。

ITシステム共通化はDXの本丸

こちらのニュースに関して言うと、やはりかなり規模感の大きいプロジェクトになりますので、大きなトラブルだったりとか、セキュリティ上のリスクだったり、そういったことを心配する声もありますし、そもそもやりきれるのか、みたいな声も上がったりしています。

確かに、これまで個別でバラバラに管理していたシステム、データ、これを共通化していくというのは、ものすごく大変な作業なんじゃないかなと思います。

ただし、全く同じようなプロセスをあちこちでやっていますと、それを標準化、共通化していくというのは、まさにDXの本丸のような話だったりするわけです。

もっと早くやるべき、そういった声もありますが、間違いなく行政で働くみなさんは楽になると思いますし、住民のみなさんにも良い行政サービスを提供することに繋がると思いますので、ぜひ応援していきたいなと思います。

ITで取り残されるのは誰か

しばらくITに関してはなかなか遅れていると言われていた行政なのですが、東京都なんかはかなりペーパーレス化、デジタル化が進んでいると聞いていますし、このように政府主導で自治体全体が良くなっていきそう、こういった雰囲気も感じます。

そうなると、ITで一番取り残されるのは誰かというと、企業になるのかなと思っています。

もちろん企業の中でも最先端を走っている企業はあるのですが、一方で、全く真逆には、いまだに「紙、電話、ファックス」、これが中心の職場というのも根強くあるのです。

経営者としても、そこで働く従業員としても、自分の職場のITの進捗度というか、その両極端の、どのぐらいにポジショニングしているのかというのは、ぜひ目を光らせておいていただきたいなと思います。

短期的にはあまり大きな影響はないように見えますが、長期の目線で見るとかなりダメージが蓄積されるみたいなこともあるんじゃないかなと思いますので、その点、ぜひ気を付けていただければと思います。

まとめ

今日は、全国1800自治体のITシステム共通化、これに関するニュースを紹介させていただきました。

本当に大きいプロジェクトで、できるのは大変だとは思うのですが、個人的にはめちゃめちゃ応援していますし、すごく期待しています。

ということで、今日はVoicy「スキルアップラジオ」の放送から「全国1800自治体のITシステム共通化へー背景とその大きなメリット」をお届けしました。

タカハシのVoicyの放送はこちらからお聴きいただけます。

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では、また。

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