
みなさん、こんにちは! タカハシ(@ntakahashi0505)です。
「隗より始めよ」という言葉、聞いたことはありますか?
もしかしたら、少しネガティブな意味で捉えていませんか?
実はこの言葉、チームや会社を動かす、特に人材採用や育成の観点で超重要なヒントが隠されているんです。
今回はこの「隗より始めよ」という言葉を一緒に探求していきましょう。
この言葉を正しく理解するだけで、明日からのチームとの向き合い方、そして自分自身のあり方が変わるかもしれませんよ。
ということで、今回は「「隗より始めよ」を誤解してない?本当の意味とチームを動かす2つの教え」です。
では、行ってみましょう!
主人公は「郭隗(かくかい)」という人物

まず、この「隗(かい)」というのが何かというと、人の名前なんです。
フルネームを郭隗(かくかい)さんと言います。彼は、はるか昔、中国の戦国時代(紀元前4世紀頃)に「燕(えん)」という国に仕えていた、とても賢い家臣、あるいは学者とされています。
当時の燕の国の王様は、昭王(しょうおう)という方でした。
郭隗はその深い見識と知恵で、この昭王から絶大な信頼を寄せられていた、そんな関係性だったんですね。
舞台は人材不足に悩む「燕(えん)」の国

この「隗より始めよ」という言葉は、『戦国策』という歴史書に記された、ある故事(エピソード)から生まれました。
当時の中国は、いくつもの国が互いに人材や資源を奪い合う、まさに動乱の時代。
その中で燕国は、「戦国の七雄」と呼ばれる主要国の一つではありましたが、地理的には辺境にあり、周りの大国に比べると国力は劣っていました。どちらかといえば、小国・弱小国と見なされることが多かったようです。
周辺の勢力に押し込まれ、国を立て直すためには、とにかく優れた人材を集めることが急務でした。
…この状況、どこかで聞いたことありませんか?
そう、現代の日本、特に人材不足にあえぐ企業とそっくりなんですね。
若手はなかなか来てくれない、IT人材なんて引く手あまたで、中小企業にとっては本当に苦しい状況が続いています。燕国も、僕たちと同じような悩みを抱えていたわけです。
賢者を集めた郭隗の驚くべき提案

そんな国の存亡がかかった状況で、昭王は賢臣である郭隗に相談します。
「どうすれば、我が国に優秀な人材が集まってくれるだろうか?」
この問いに対する郭隗の答えが、まさに歴史に残る名言を生むことになります。
「まず、この私を優遇してください」
郭隗は、王に対して驚くべき提案をしました。
「王様。優秀な人材をお望みでしたら、まず、この私のような凡人を優遇してください。そうすれば、『燕国では、郭隗程度の人物でもあんなに大事にされるのか。ならば、もっと優れた自分が行けば、どれほど厚遇されるだろう』と考える、もっとすごい人々が自然と集まってきますよ」
これが「隗より始めよ」の語源です。
普通なら「どこそこの国にいる、〇〇という賢者を呼びましょう!」と、外にいるスター選手を探しに行きたくなりますよね。
でも郭隗の提案は真逆でした。「いや王様、まずは身近にいる、今いる人材を大切にすることから始めましょう」と進言したのです。
噂が広まり、国は賢者で溢れた
結果、どうなったか。
昭王は郭隗の提案を受け入れ、彼を手厚くもてなしました。すると、その噂は瞬く間に各国へ広まります。「燕国は本気で人材を大切にする国らしいぞ」と。
その評判を聞きつけ、他の国にいた才能ある人々が次々と燕国に集結しました。結果として国には賢者が集い、燕国は大いに栄えたとされています。
このエピソードは、現代の僕たちがチームや組織をどう動かしていくか、そして「人」という存在をどう扱うべきかについて、2つの重要な教えを与えてくれます。
現代のビジネスに活かす「隗より始めよ」2つの教え
教え①:外からスターを探す前に、今いる人材を大切にする

「うちの会社はDXが進まない。それはITが得意な人材がいないからだ…」
こんな風に嘆く経営者の方、あなたの周りにもいませんか?
でも、外の世界に目を向けても、優秀なIT人材はどこも取り合いです。高いお給料を払える体力もなければ、結局「いない、いない」と嘆くだけで、何も前に進まない状況が続いてしまいます。
しかし、「隗より始めよ」の教えは、僕たちに視点を変えることを教えてくれます。
「外ばかり見ていないで、今いる人材に目を向けましょう」と。
僕が主宰しているコミュニティ「ノンプロ研」の皆さんが、まさにその好例です。
参加される方の多くは、もともとITの専門家ではありません。しかし、自ら時間やお金を投資して学ぶ活動に身を投じることで、着実にスキルを身につけていきます。そして、それぞれの会社でそのスキルを活かし、大活躍していくのです。
誰もが最初は初心者です。でも、1年、2年、3年と学び続けることで、驚くほどのスキルを身につけることができる。
外からスター選手を連れてくる前に、まず今いるメンバーの可能性を信じること。そして、その才能が伸びるように、会社として、リーダーとして、いかにサポートできるかを考えること。
昭王が郭隗にしたこと、つまり今いる仲間を信じて、活躍の場を与えることこそが、組織を強くする第一歩なんですね。
教え②:「誰かやって」ではなく「自分がやる」から始める

もう一つの教えは、この名言を言った「郭隗」の立場から見てみることです。
彼は、自ら率先して行動で示しました。「王様、まずこの私を使ってください」と。
自分が起点となることで、周りがついてくる状況を作り出したのです。これぞ、究極のリーダーシップですよね。
誰かがやってくれるのを待つのではありません。「誰かいい人材いないかなぁ」と他人事のように言うのではなく、「まず僕がやります!」と手を挙げる姿勢です。
例えば、会社で新しいツールを導入しよう!という話になったとします。その時、「みんな、これ使ってみてよ」と指示するだけの人と、「僕がまず徹底的に使ってみるから、みんなもついてきて!」と言う人とでは、周りの反応はまったく違いますよね。
言い出した人が一番のヘビーユーザーになる。その背中を見て、周りは「あの人があそこまでやるなら」と、安心してついてくることができるのです。
この姿勢は、僕がいつも大切にしている「ソース原理」という考え方にも通じます。最初にリスクを取って一歩を踏み出す人がいる。
すると、その人の周りに創造的なエネルギーが生まれ、空間ができます。そこに「いいね!」と賛同した人々が集まってきて、チームや組織が動き出す。
「隗より始めよ」は、まさにこのエネルギーの循環を生み出すための言葉なんです。
まとめ:「隗」とは、あなた自身のこと

時々、「隗より始めよ」という言葉が、「まずは社長からやりなさいよ」といった、誰かに責任を押し付けるような文脈で使われることがあります。でも、この言葉の本当の意味は、まったく違います。
これは、他人任せの言葉ではありません。むしろ、あなた自身がリーダーシップを発揮し、変革の第一歩を踏み出すための、非常にポジティブな言葉なのです。
まずは、すぐ隣にいる仲間、チームのメンバーの可能性を信じて、そこから始めてみる。
そして何より、誰かに期待するのではなく、「隗」、つまりあなた自身から何かを始めてみる。
ぜひ、この放送をきっかけに、あなたの周りで新しい一歩を踏み出してみていただけたら嬉しいです。
以上、「「隗より始めよ」を誤解してない?本当の意味とチームを動かす2つの教え」についてお伝えしました。
引き続き、みなさんがいきいきと学び・働くためのヒントをお届けしていきます。次回をお楽しみに!
この話を耳から聴きたい方はこちらからどうぞ!