みなさん、こんにちは!
タカハシ(@ntakahashi0505)です。
皆さん、CIOってご存知ですか?
Chierf Information Officerの略で、日本語では最高情報責任者です。
日本の企業ではほとんど見かけることのないCIOですが、世界では急激に注目度を集めつつあります。
2015年9月末、米サンフランシスコで開かれたゼネラル・エレクトリック(GE)の年次イベントで、CEO(最高経営責任者)のジェフリー・イメルトは気炎をあげた。「企業の生産性を高める最大の原動力、それはCIOです。社内のあらゆる活動の中心に、彼らがいるのです」
世界のGE、そのCEOが最大の原動力と言っていますよ。
なのに日本ではてんで見かけない…
さて、本記事では、CIOとは何か、また日本と米国のCIO設置状況について触れつつ、日本企業がCIOを設置すべきその理由についてお伝えできればと思います。
CIOって結局何をする人?
なんとなくスパイっぽい感じしますね。
CIOとは、企業内の情報システムや情報の流通を統括する担当役員。「最高情報責任者」「情報統括役員」などと訳される、企業の情報戦略のトップである。元は米国の企業で用いられていた呼び名だが、情報戦略に注目が集まるにつれて日本でも採用する企業が増えつつある。
引用:IT用語辞典あー、情報システム部門の偉い人でしょ?事業部門の言われた通り、ちゃんとシステム運用してくれてれば、それ以上やることないんじゃないの?
などと思われるかも知れませんが、その感覚はもうだいぶ古臭い認識です。
日本政府もそのIT戦略の一環として「政府CIO」を設置し
ITの活用による国民の利便性の向上及び行政運営の改善に係る総合調整等を行っています。
その役割として、これまでの情報システムの最適化の役割に加えて
- 情報活用による経営戦略の創造(Intelligence)
- 全社横断のビジネス変革(Innovation)
- ITガバナンス確立(Information)
といった、部門を越えて経営の変革を推進する主導的な役割として期待が集まっていると伝えています。
日本のCIO設置状況は悲惨な状況
一般社団法人電子情報技術産業協会の2015年10月の報告ですが、日米の「CIOの設置状況」は以下の図の通りでした。
米国企業のうち専任のCIOを設置している企業が73.7%、対して日本企業はたったの16.7%…なんと1/4にも届きません。
CIOが存在すらしていない企業も51%以上、つまり半数以上です。
…それは見かけないですよね。
ちなみにこの調査は従業員数300人以上の企業のみが対象となっていることに注目してください。
もう一つ調査結果を紹介します。
経済産業省による2014年5月の調査結果です。
対象企業の従業員数などはわかりませんが、CIOがいない企業は最新の平成24年で70.4%です。
てか、CIOの設置率が年々下がっているという衝撃の事実…。
なぜ設置しないのか、その理由としては
「必要がない」が48.1%…。
GEのCEOと熱の入りようが全く異なります。
日本においてどうして熱が冷めてしまっているのかについては以下の記事で紹介されていました。
日本企業においてCIOの必要性が明確に意識されたのは、1990年代に多くの企業がERP(統合基幹業務システム)を導入して業務改革を推進しようとした頃からだ。
だが、多くのERP導入プロジェクトは失敗する。利用部門の抵抗に抗しきれず大幅なカスタマイズを行ったため、業務改革にはならず、開発や保守で膨大なコストを積み上げただけという結果になった。
CIOがうまく活躍できなかった結果、「必要ない」という烙印を押されたままの流れで来てしまっているようです。
なぜ情報システムは活躍できないか?
私がこれまで数十社のIT活用状況を見てきた限りで言うと、会社全体としてITをうまく導入できている企業はなかなかありません。
ITを主力商品にしている企業もありますが、実はそういった企業でもCTO配下の開発部門だけがMAXでIT活用をしていて、営業部門や管理部門の活用度合いは決して高くない場合が多いのです。
じゃあ情報システム部門は何をしているんだ?ということになりますが、正直なところ明確に会社に貢献できている情報システム部門は少ないのが現状です。
というのも、その理由として
- ITシステムの利活用に関して責任を負うボードメンバーがいない(つまり情報システム部門に責任を含めて丸投げ)
- 情報システム部門の目標や評価が明確ではなく、たいがいはうまく評価できない
- 裁量や権限が少なく、ITシステムの導入や活動に関係者すべての承認がいる
- ITシステム導入に関して事業部門への意義の説明は不完全
- ITシステム導入に関して発生する事業部門側のリソースや役割の調整が不完全
など、非常に厳しい状況に置かれています。
また情報システム部門以外のスタッフでいうと
- 業務時間により報酬・評価がコミットされている
- 生産性により報酬・評価がコミットされていない
- ITの利活用またはそのスキルにより報酬・評価がコミットされていない
という状態では、生産性の向上や業務の変化を受け入れる理由がありません。
ITシステムの導入に関しては、事業部門はもちろんのこと、労務や人事考課などにもデリケートに関わってくる話になります。非常に社内で横断的な説明や協力支援が必要になりますので、ボードメンバーに責任者がいないと動かしづらいのです。
この状態で情報システム部門に任せていても、成果が上がるわけはありません。かわいそうです。
専任CIOを設置する意味
というわけで、そんな困難な状況を打破してくれるスーパーマンがCIOということになります。
専任CIOを設けることで
- 経営メンバーなので全社的な、また部門を横断したプロジェクトを推進しやすい
- 経営メンバーなので経営視点で行動でき、他の経営陣に意見もできる
- 専任なのですべてのITに関わることの責任を負ってくれる
- 専任なのでITに関する情報収集・発信に強い使命感をもって動ける
という動きを期待することができます。
さすがスーパーマンですね。
ぜひ、社内外の人材を見渡して、CIO候補を探してみてください。
しかし、そんな人材いないよ~、という場合もあるかも知れません。その場合は
- コンサルをつけてCEOが兼務する
- CIOを委託する
などといった方法があります。
CFOやCOOが兼務するのは、あまりうまくいきません。財務や事業のことを真剣に携わりながら、他のことも専門性をもって責任を持つという一人二役は非常に難易度が高いですし、従業員から見ると「兼務でできる内容」ということで本気度が伝わらない可能性があります。
弊社ではCEOのサポートとしてコンサルをさせて頂いている例もありますので、様子を見ながらスモールスタートしたい場合などは、そういう作戦もうまくご活用頂ければと思います。
ご興味あればぜひお問い合わせ下さい。
まとめ
以上、CIOの役割と国内外の設置状況、そしてその必要性についてお伝えしてきました。
シンプルにまとめると
- コンピュータやインターネットをはじめITは既に仕事と切り離すことはできない
- ではそのITに責任を持つ人間は誰なのか?
ということが問われているということだと思います。
その責任や成果は全社横断的になりますから、末端の現場やシステム部門に適当に負わすにはあまりにも重すぎる。
適任がいないとすると社長自らが背負う必要がありますが、CEOがITに深く精通していない場合は専任のボードメンバーを置く、または外部からの援助を求めるというのが自然な姿と思います。
いずれにしても
経営者がITを”我が事”と深く認識することが全ての前提である。
そこさえ腹が決まれば、打てる手段はいくつかあるものと思います。