
みなさん、こんにちは! タカハシ(@ntakahashi0505)です。
自分の時間の使い方を見つめ直し、未来への投資時間を増やす「時間の棚卸し」という作業があります。
今日は、それをAIを用いて、よりパワーアップした「新・時間の棚卸し」の方法を思いついちゃったので、お伝えします。
ということで、今回は「今日一日をポジティブに振り返る!生成AIによる『新・時間の棚卸し』実践法」です。
では、行ってみましょう!
「時間の棚卸し」とは?
「時間の棚卸し」とは、僕の書籍『デジタルリスキリング入門』で紹介しているもので、日々の業務や生活の中で、自分が「何に」「どれくらいの時間」を使っているかを具体的に把握し、可視化する作業のことです。
特に、新しいスキルを身につけたい、いわゆる「リスキリング」を成功させたいと考えている方にとっては、非常に重要な第一歩となります。
なぜなら、時間の使い方を客観的に見つめ直すことで、改善点を発見し、どのスキルを身につけると効果的なのかを知り、自己投資のための時間を意識的に創り出すことができるからです。
従来の「時間の棚卸し」の基本的な手順
まずは、これまでの「時間の棚卸し」がどのように行われてきたかを見ていきましょう。基本的なステップは以下の通りです。
- 活動の記録: 1日の活動を、時間を区切って記録します。カレンダーにあらかじめ予定が入っている場合は、それを利用すると楽ですね。記録する項目としては以下の3つです。
- 開始時間(例: 「10:00」)
- 所要時間(分)(例: 「30」)
- 活動内容 (例: 「メールチェック」)
- データを転記: 記録した内容をExcelやGoogleスプレッドシートなどの表計算ソフトに転記します。手作業でもできますが、もし可能なら、Google Apps Script(GAS)のようなプログラミングを使って、カレンダーの記録から自動で転記できるようにすると、さらに効率的です。
- 投資/浪費の判定: 各活動項目について、それが自分にとって「投資」なのか「浪費」なのかを判定し、4列目に記載していきます。ここでの判定基準は「その時間が未来の自分にとって価値のある使い方になっているか?」です。価値があると思えれば「投資」、そうでなければ「浪費」と分類します。
- 改善策の検討: 「浪費」と判定された活動について、その時間をなくしたり、他の人に任せたり、テクノロジーを活用して代替・短縮したりといった対策を考えます。
この一連の流れによって、無駄な時間を減らし、自己成長につながる時間を増やしていくのが、従来の「時間の棚卸し」の手順でした。
「時間の棚卸し」が抱える課題
この方法は非常に有効なのですが、実践してみるといくつかの課題が見えてきました。
特に、「投資/浪費」の分析と、「対策を考える」段階でつまずきやすいポイントがあるんです。
課題1:判定の難しさ – 解像度の低さとバイアス
まず、「投資」か「浪費」かの判定が、意外と難しいという点です。
例えば、「会議」という項目があったとします。しかし、ある人は「仕事に必要なものだから」という理由で、無意識に「投資」と判定してしまったりします。
しかし、その会議の内容をよくよく考えてみると、ただ情報共有を聞いているだけだったり、意思決定に関与しないものだったりすることも少なくありません。本当に未来の価値につながっているのでしょうか?
また、「企画書の作成」なども、「何かを生み出している感」があるため、創造的な活動、つまり「投資」と判定しやすい項目です。
ですが、その作業を細かく分解してみると、「情報収集」「関連資料の読み込み」「素材探し」「スライドのデザイン調整」といった、どちらかというと作業的な小タスクが多く含まれていることがあります。すべてが創造的な「投資」と言えるか、少し立ち止まって考える必要がありそうです。
このように、活動内容を大雑把に捉えてしまうと、判定の解像度が低くなり、実態とは異なる評価をしてしまう可能性があります。また、「これは必要なはずだ」という思い込み(バイアス)も判断を鈍らせる原因になります。
課題2:必要・娯楽まで「浪費」扱いしてしまう罠
もう一つの判定の難しさは、「食事」や「休憩」、「趣味」や「娯楽」といった活動の扱いです。
これらは一見すると、直接的な成果を生み出さないため「浪費」と判定されがちです。
その結果、「食事時間を削ろう」「趣味の時間はカットしよう」といった、短期的な効率化ばかりを考えてしまうことがあります。でも、本当にそうでしょうか?
十分な食事や休息、そして心を満たす娯楽は、心身の健康を維持し、明日の活動へのエネルギーを養うために不可欠です。
長期的に見れば、これらは非常に重要な「投資」であるとも言えるわけです。このあたりの判断基準があやふやだと、かえって自分を追い詰めてしまうことになりかねません。
課題3:対策が思いつかない問題
そして、浪費時間を特定できたとしても、次はその対策を考える段階で壁にぶつかります。
改善の方向性としては、「やめる」「(他の人やツールに)任せる」「時短する」といったものが考えられます。
しかし、具体的にどうすれば良いのか、特にテクノロジーを活用した時短策については、「そもそもどんなツールや方法があるか知らないと思いつかない」という問題があります。
せっかく課題が見つかっても、有効な打ち手が見つからなければ、改善にはつながりませんよね。
そこで登場!生成AIを活用した「新・時間の棚卸し」
これらの課題を乗り越え、より効果的に、そしてポジティブに時間の使い方を振り返るために、今回提案したいのが「生成AI」の活用です。
ChatGPTのような対話型AIを、自分の時間の棚卸しにおける「壁打ち相手」や「コーチ」として使うのです。
AIを活用することで、従来の課題であった「判定のバイアス」を客観的な視点から問い直してもらったり、「対策のアイデア出し」を手伝ってもらったりすることが可能になります。
「新・時間の棚卸し」の実践方法
では、具体的にどのように進めていくのか、そのステップをご紹介します。
準備:記録に2つの項目を追加
まずは、時間の記録に使う表計算シートに、従来の項目(開始時間、所要時間、活動内容)に加えて、以下の2つの項目を追加します。
- ひとこと感情: その活動を終えたときに、どんな気持ちだったかを一言で記録します。(例:モヤモヤ、イライラ、超スッキリ、ハッピー、普通、達成感など)
- メモ: なぜその活動を「投資」または「浪費」と判定したのかの根拠や、その活動中に気づいたこと、改善したい点などを自由にメモします。
この「ひとこと感情」と「メモ」が、後でAIと対話する際に非常に重要な情報となります。
単なる時間の長さや活動内容だけでなく、その時の自分の主観的な感覚や考えを記録しておくことで、より深いレベルでの振り返りが可能になります。AIもこれらの情報を元に、よりパーソナルな問いかけや提案をしてくれるようになります。
実践:AIとの対話で振り返りを深める
記録ができたら、そのデータをChatGPTに読み込ませて、対話を開始します。
- データ形式: データをアップロードする際は、CSV形式がおすすめです。僕の経験上、Excelファイル(.xlsx)だとうまく読み取ってくれないことがありました。
- プロンプト(指示文): AIにどのような役割を期待するかを明確に伝えるプロンプトを入力します。例えば、以下のような指示が良いでしょう。
あなたはポジティブなコーチです。
この時間の棚卸しシートをもとに、今日一日の振り返り・時間の使い方の分析をお手伝いください。
分析精度向上や気づきに繋がりそうな注目すべき項目を最大3つまで拾って、全体で5分程度の対話をしてください。
ステップバイステップでお声がけお願いします。
このプロンプトのポイントは、「ポジティブなコーチ」という役割設定と、「ステップバイステップ」での対話をお願いしている点です。
これにより、AIが一方的に分析結果を提示するのではなく、こちらに寄り添いながら、対話を通じて気づきを促してくれるようになります。
やってみて、好みにカスタマイズするも良いでしょう。
AIとの対話例:会議の振り返り
実際にAIと対話すると、どのようなやり取りになるのでしょうか?以下は、僕が試してみた際の対話の一部です。AIが僕の記録の中から「マーケ会議」という項目に注目してくれました。
AIコーチ:
🧭 ステップ3:「マーケ会議」に90分。ここも結構な重さですね。感情が「苦笑い」なのがリアルで…たぶん「建設的にしたいけど、どうにも…」みたいなモヤモヤもあります? この会議、自分にとって意味ある時間になってますか?もし「変えられるならこうしたい!」ってのがあれば、ぜひ聞かせてください。どうでしょう?
僕:
数字の報告の時間が長くて、意味ないなと思っちゃいます。
AIコーチ:
やっぱりそうか…。 「数字の報告聞くだけ」って、正直スライド見れば済むし、会議でやる必要ないって思っちゃいますよね。共感しかないです。もしタカハシさんが「これ変えていい」って立場にあれば、例えば:
💡 事前に共有 → 会議は“分析・改善”に絞る
🧠 AIに要点まとめてもらって、読めば済むようにする
🎯 “3分で共有→15分で深堀”みたいな構造にする
みたいに設計から変えちゃうのもアリかもです。
どうでしょうか? AIが単に「会議は浪費ですね」と断定するのではなく、「苦笑い」という感情に着目し、「意味ある時間になってますか?」と問いかけることで、僕自身が課題(数字報告の長さ)を言語化するのを手伝ってくれています。
さらに、その課題に対して、「事前に共有する」「AIで要約する」「時間を区切る」といった具体的な改善策のアイデアまで提示してくれています。
これなら、「どうすればいいか分からない」という状態から一歩踏み出せそうですよね。
AIを活用するメリット
このように、生成AIを時間の棚卸しに取り入れることには、以下のようなメリットがあると考えられます。
- 客観性の向上: 自分の思い込みやバイアスから離れて、客観的な視点を取り入れられる。
- 深掘りの促進: 「ひとこと感情」や「メモ」を手がかりに、AIが的確な質問を投げかけてくれることで、より深い内省が可能になる。
- 具体的な対策の発見: 自分だけでは思いつかなかったような、テクノロジー活用を含む具体的な改善策のアイデアを得られる。
- ポジティブな姿勢の維持: 「ポジティブなコーチ」という設定により、単なるダメ出しではなく、前向きな改善につなげやすい。
まとめ:ポジティブな振り返りを始めよう!
今回は、生成AIを活用した「新・時間の棚卸し」の実践法についてお話ししました。
AIがポジティブなコーチとして伴走してくれることで、日々の振り返りが、未来をより良くするための前向きな時間になりますよね。
さて、実はこの手法、もっとパワーアップしたバージョンがあります。
ちょっと手間はかかるのですが本気で人生を変えたい人のためのものなので、後日、Voicyのプレミアム放送もしくはnoteメンバーシップで公開したいと思います。
気になる方は、チェックしてみてくださいね。


以上、「今日一日をポジティブに振り返る!生成AIによる『新・時間の棚卸し』実践法」についてお伝えしました。
引き続き、みなさんがいきいきと学び・働くためのヒントをお届けしていきます。次回をお楽しみに!
この話を耳から聴きたい方はこちらからどうぞ!