ノンプログラマーがプログラミングを最強の武器とする方法(前編)


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みなさん、こんにちは!
タカハシ(@ntakahashi0505)です。

来る2021/08/02に、拙著「Pythonプログラミング完全入門 ~ノンプログラマーのための実務効率化テキスト」(通称「#ノンプロPython」本)が発売となります。

今回、出版をお願いしております技術評論社さまのご厚意により、当ブログに「本書の第1章を全文掲載しても良い」と許諾をいただきました。

第1章「Pythonを学びはじめる心構えを整えよう」は、ノンプログラマーがPythonを学ぶための心構えと準備をみっちりお伝えしているパートになりまして、事前予約される方も、ネットで注文される方も、これをしっかり読んでいただければ、良い購入検討ができるというもの…

ということで、今回から5回に分けまして、ノンプロPython本の第1章をお送りします。

初回の今回は、「ノンプログラマーがプログラミングを最強の武器とする方法(前編)」です。

では、行ってみましょう!

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一生学び続けなければいけない時代を生き抜くには

私たちのキャリアや「働く」の未来を考える上で、目を背けることはできない重要な課題があります。それは、日本が未曾有の人口減少時代に突入しているということです。その影響により、日本と日本で働く私たちの未来が「大いなるピンチ」に直面していることは、残念ではありますが、明確に示すことができます。

図は内閣府が提供している「令和2年版 少子化社会対策白書」の冒頭で紹介されている、人口減少の現状を表すグラフです。

人口減少の現状を表すグラフ

少子化社会対策白書令和2年版 第1章少子化をめぐる現状より

2008年をピークに総人口が減少に転じていて、2053年には1億人を下回ることが予想されています。総人口が減るわけですから、国内市場の多くが縮小することは必然です。一部の「新たな産業」については、その市場は伸長するかもしれませんが、成熟している既存産業であればその市場が安定・拡大するという予測を立てることは難しいでしょう。

人口構成の変化は一層深刻です。15歳~64歳の生産年齢人口がすでに顕著な減少に入っている一方で、65歳以上の高齢人口は2040年前後までは増え続けると予想されています。若い労働力に依存している市場では、労働力不足がすでに大きな問題になりつつあります。また、社会保障制度は高齢者の年金、医療、介護といった負担を、生産年齢が支える仕組みになっていますが、今の枠組みのままではいずれは破綻してしまうでしょう。

さて、このように日本全体では人口減少が大きなピンチの局面をもたらしていますが、それが私たちの個々人とその将来にはどのような影響を与えるのでしょうか?

収入はどうなるでしょうか。生産年齢人口が順調に増加する局面であれば、市場は拡大しますから、市場内の競争に勝つことで売上を伸ばすことができ、その結果として社員の給与も増えるのは自然です。しかし、市場が縮小する中で、同じような給与の増加を期待することはできるでしょうか。

「働き方改革」が多くの企業で推進されるようになりました。売上が伸びない一方、労働力が不足しつつあります。ならば、少ない人員と少ない残業時間で、これまで以上の業務を回すようにすることで、利益を確保する動きが活発になります。現場は、生産性を上げることへのプレッシャーをより一層受けることになります。

また、高齢になっても働くことを要求されるようになるでしょう。医療の進歩のおかげで、平均寿命が延伸し、100歳まで生きることが当たり前になりました。しかし、そのおかげで、もともとは65歳の定年から、10年または15年と設定されていた晩年が、2倍の長さになります。その晩年すべてを、これまでと同様に年金暮らしができると考えるのは無理があります。

このように、時代の流れにそのまま乗ってしまうと、収入が上がらないまま、生産性のプレッシャーを受けながら、長いこと働き続ける必要がありそうです。

この局面を打開するにはどうすればよいのでしょうか?

自らの市場価値を高めることができれば、市場が拡大しなくても自らを高く売り込むことができます。また、直接的に自らの仕事の生産性を上げるのも有効でしょう。

しかし、黙っていてもそれらを成し遂げることはできません。学びを通して自己研鑽をする必要があります。会社など所属組織に依存しすぎることなく、自らの裁量で学ぶ環境、学ぶ習慣を確立し、定年後の高齢になってもそれを続けることです。

このように、私たちは一生学び続けなければいけない時代に突入しているのです。本書では、その学びの対象としてプログラミング言語Pythonをおすすめするものです。では、なぜその対象としてプログラミングを選ぶのかについて考えていきましょう。

プログラミングへの挑戦

IT人材は、今後も高い需要をキープすると予測されています。図は経済産業省による「IT人材需給に関する調査」で紹介されている、IT人材需給に関する試算結果です。ここで「IT人材」は、「IT企業及び、ユーザー企業の情報システム部門等に属する職業分類上の『システムコンサルタント・設計者』『ソフトウェア作成者』『その他の情報処理・通信技術者』」と定義されています。

IT人材需給の試算結果

平成31年4月 IT人材需給に関する調査(概要)より

2018年にはIT人材は約22万人不足しており、その不足数は年々増加すると予測されています。2030年には、中位のシナリオでは約45万人、もっとも悲観的なシナリオでは約79万人が不足すると予測されています。

端的に人材が不足していて、需要が高いということは、市場価値が高いといえるはずです。市場価値を高めるには、ITを強みとすることが近道です。

一方で、生産性の面も見ていきましょう。プログラミング技術があれば、自らの力で業務の自動化や効率化を実現できます。これまで自分やチームが手作業で行っていたルーチンワークをコンピューターに任せることで、人はその分だけ別の仕事に取り掛かることができます。数時間かかっていた業務を、数分に短縮。このような体験をしたノンプログラマーも数多く存在していて、生産性の向上の推進役として大いに期待されているのです。

より注目すべき点として、ITが新たな産業を生み出す力があることも見逃すことはできません。

神奈川県・鶴巻温泉にある老舗旅館「元湯陣屋」はご存知でしょうか?経営難に陥っていた旅館の再建のために、自社の宿泊予約、顧客管理、会計、勤怠、社内SNSなどIT化するというプロジェクトを進めました。そのプロジェクト自体は、一定の成功を収めましたが、それだけではありませんでした。

さらに一歩踏み出して、そのシステムをクラウド型パッケージ「陣屋コネクト」として他社への販売をはじめたのです。それによる新たな収益の柱を手にするだけでなく、旅館業界全体の生産性向上や活性化へ貢献することにもつながったのです。

つまり、プログラミングは既存事業の生産性を上げるために活用できるだけではなく、新たなサービスを生み出すことにも活用できる、2重の意味で期待を持てるスキルなのです。

さて、多くの方は「振り出しからプログラマーを目指すのはリスクが大きすぎる」と言うかも知れません。しかし、本書では「振り出しからではない」方法を提案しています。つまり、ノンプログラマーのままプログラミングを無理なく学ぶ方法です。というのも私自身、プログラマーを職業としないノンプログラマー出身から、プログラミングを身につけたという実績があるのです。

自分の業務にいかすため、プログラミングを学びはじめ、チームの業務の自動化を推進しました。その後、そのスキルを伸ばし続け、プログラミングを職業とし、独立し、何冊かの書籍を上梓し、100人を超えるコミュニティを運営するにいたりました。学び始めてからそこまでの期間は、約5年。目立ったスキルも取り柄もない、しがないアラフォー会社員だった私が、プログラミングを通して、すっかりキャリアを転換することに成功しました。

プログラミングの学習は数週間、数ヶ月ではなかなか効果を得られませんが、数年のスパンで見れば、強力な武器になります。そして、それは無理のないステップの積み重ねで達成できます。

今は人生100年を生きなくてはいけない時代と言われています。社会に出てから80年もの期間を過ごすことを考えると、そのうちの数年などはほんのごく一部。その後の、キャリアや「働く」の未来を明るいほうへ向けることができるなら、その投資で得られる価値は十分すぎるほどではないでしょうか。

(つづく)

ノンプログラマーがプログラミングを最強の武器とする方法(後編)
「Pythonプログラミング完全入門 ~ノンプログラマーのための実務効率化テキスト」が発売になります。本記事では、本書(通称ノンプロPython本)の第1章から「ノンプログラマーがプログラミングを最強の武器とする方法(後編)」を抜粋してお送りします。

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  2. ノンプログラマーがプログラミングを最強の武器とする方法(前編)
  3. ノンプログラマーがプログラミングを最強の武器とする方法(後編)
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