政府が残業規制を強化~有効な一手とするためにそれぞれができること

みなさん、こんにちは!
タカハシ(@ntakahashi0505)です。

既にニュースでご存知のことと思いますが、政府が労働基準法の「36協定」の運用を見直しをすると発表しました。

残業規制「政府が強化へ」と一部報道 運用見直しの「36協定」とは
残業の上限を事実上なくせる労働基準法の「36協定」について、見直す方針を示している政府が「1か月の残業時間に上限を設定する検討に入った」と、7日付の読売新聞が報じた。

長時間労働の抑制により、男女ともに「ライフ」の時間を増やし少子化対策につなげたい、子育て中の女性や高齢者が働きやすい環境を整えたいなどの狙いがあります。

Twitterでは「残業規制」がトレンド入り、Yahooでの急上昇ワードに「残業規制」が入り、大きな反響がありました。

期待と不安が入り混じる「残業規制」ですが、これが有効な一手となり得るためのポイントについて考えてみたいと思います。

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そもそも「36協定」とは?

本来、労働基準法では法定労働時間は1日8時間、週40時間と定められています。

それを超えて時間外労働をしたい(させたい)場合、会社は労組などと書面による協定を結び労働基準監督署に届けます。これで1カ月45時間・1年間360時間までの時間外労働が可能になります。

この時に結ぶ協定を「36協定」と言います。この内容について労働基準法36条に規定しているので、その名前で呼ばれています。

残業はないに越したことはないのですが、1カ月45時間・1年間360時間であれば、それほど長時間労働とは言えないですよね。何が問題かというとその限度時間を超えて延長ができる(させられる)「特別条項付き36協定」なんてものがあります。

36協定の届出の予約に

一定期間における延長時間は、1 か月 45 時間、1 年 360 時間とする。 ただし、通常の生産量を大幅に超え る受注が集中し、特に納期がひっ迫したときは、労使の協議を経て、6 回を限度として 1 か月 60 時間まで、1 年 420 時間までこれを延長することができる。 なお、延長時間が 1 か月 45 時間を超えた場合の割増賃金率 は 30%、 1 年 360 時間を超えた場合の割増賃金率は 35%とする。

というように、延長理由と延長時間そして割増賃金率を記載すればOK。簡単ですね。

現状は規制がないとも言える

見渡す限り、36協定結ばない範囲で法定労働時間だけで活動している会社なんてほとんど見かけませんし、特別条項つけるのは簡単なので36協定さえ結んでおけば、基本的には労働時間については実質制限なし、というのが現状なのかなと思います。

私が以前働いている会社でも、100人くらいいる従業員からひっそりと一人が「労働者代表」として選出されて、36協定を結んでいました。従業員の声を全て集めているわけでないので、まあ正直嘘っぱちの代表でしたね。

そもそも中小企業では36協定すら手続きしていないでいる会社も多いのかも…

さて、今回のニュースでは、この実質際限のない残業時間に上限を設けること、また罰則を新たに新設をする、ということで反響が集まっているというわけです。

残業規制に対するネット上での反応

ネット上で声を集めてみました。

  • 残業規制、定時で強制的にタイムカード押させた後に普通に仕事させる会社が続出すると思う

  • 残業時間の上限を設定したところで、残業をしていなかったことにすれば(タイムカードを定時で押させてその後も残業させる、勤務表は定時で帰ったように書かせる)いくらでも抜けられる

  • 現状でも36協定で残業の上限は決められてるけど、そんなの守られてもいないし取り締まられもほとんどしてないんだけどなぁ、新しい規制を作ったところで……

  • こんなんされたら、私まじで生きていけない。残業代があるからなんとか生活できてるのに。設計、開発、研究関係の仕事はそーゆー所多いと思うんだけど。 残業規制すると国に何のメリットあるの?国民の収入が減って、景気がさらに落ち込むだけじゃないの?

  • これで何が起きるかというと、「労働時間の短縮」以上に「賃金低下、収入低下」が起きる。同調圧力の国ですから。

  • 残業しても終わらない仕事を積み上げる名前だけ管理職と、基本給じゃ生きていけない生活残業ガチ勢問題をどうにかできるなら大賛成なんですがね。

  • サビ残禁止強化は一行も書いてねぇ。そっちも同時にやんなきゃ尻抜けだろよ。

  • 長時間残業する理由は、顧客等からの無理な期限設定が要因となっていることが多く、顧客等の理解がなければ、規制しても全く意味がない。

などなど、予想に反して、どちらかというとネガティブな反応が多かったですね…。

主に残業規制で引き起こされる心配事としては

  • サービス残業がむしろ増えるかも知れない
  • 人手が足りなくなり仕事が終わらなかったり売上が落ちたりする
  • 残業ができなくなると生活できない

の3つくらいに集約されるのかなと思います。

残業規制が有効な一手となり得る理由

私はこの動きは、日本の働き方において有効な一手になり得る可能性は十分にあると考えています。

というのも、仕事をする上で

  • 売上(収入)が欲しい
  • 仕事が多い・人手が足りない

といった課題はよくありますよね。

そんな課題の解決法として、多くの場合に「もっと働く(働かせる)」という非常に短絡的な方法で解決できてしまっている(ように見えている)というのが問題です。

ちゃんと残業代が出るとすると、労使ともに短期的なメリットが一致する場合もあります。

しかし長い目で見ると労働人口が減っていくのはまぎれもない事実ですから、「量の足し算」に頼っている限りその手は打てなくなります。

その手に頼っていればシュリンクしていくのは明らかです。

では、どこに目をつけなければならなくなるかというと「質」ということになります。

例えば、同じ年齢・性別のスタッフが、同じ性能のPCとExcelで仕事をしているとして、片方のスタッフが4倍の仕事をこなしているということは普通にあり得ます。

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見た目はずっとデスクに座っているので一緒に見えますが、中身が全然違います。

そもそも、勤務時間の4倍の残業は物理的に無理ですよね?

しかし、質を追い求めるなら実現の可能性はあります。今回の残業規制はそこに目をつけるチャンスとなり得ます。

課題はたくさんあり、解決する方法はそれ以上にたくさんある

他にも例えば

  • 形骸化している会議はないか
  • 集中して仕事ができる環境が提供されているか
  • 使用している設備やツールは十分な性能か
  • 管理のための管理が発生していないか
  • 情報やデータはすぐにアクセスできる仕組みになっているか
  • コミュニケーションでの齟齬や行き違いが発生していないか
  • その業務において身に着けると良いスキルや能力はあるか
  • アイドル時間を減らすための裁量や権限は与えられているか
  • 自動化できるルーチンワークはないか
  • 外部のプロに依頼するのはどうか

など、目を着けるべき点はたくさんあります。

そういう課題を常に発見して解決していくことで、会社の収益性が高まり、従業員のスキルや働く能力が高まっていくことになります。

この規制をキッカケに、労使ともにきちんと現場の課題に目を向けて改善をし続けるという方針に舵を切る企業が増えてくれればいいと思います。

残業代がないと生きていけない

残業代がないと生きていけない…という従業員については、政府の方向性は短期的には厳しいのかも知れません。ですが、いずれにしてもその状態を続けるのは危険です。

というのも、金銭的にも時間的にも余裕がないということは、会社への依存度が高く交渉力が低いということです。

もうギリギリですから、残業規制がなくても、会社の都合で少し押しただけでも倒れちゃいます。

では、どうすれば良いかということなのですが、自らの市場価値を上げていくのがオススメです。

できればスキルアップと収入を両方望める副業が良いのですが、そうでなくてもスキルを上げる、知見を拡げるなど、市場価値を上げるアクションはいくつか考えられます。

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自分の仕事の幅を広げたり、有事のときの備えとするために、スキルアップしたい、勉強をしたい!今回の記事では、平日を使ってスキルアップをする理由と、その時間を確保するためのテクニックについてお伝えします。

従業員も市場価値を磨いていくことで、会社との交渉力を持ち、結果として適正な労働環境が整っていくことは期待できると思います。

まとめ

政府がここまで「働き方改革」「長時間労働対策」と言い続けているということは、この残業規制についてはその「一の矢」であり、その後の打ち手も期待できるのではないかと思います。

しかし、ネットでの反応を見る限り、会社や行政への実効性への不信感は根強いですね。運用の実効性の確保は重要なポイントになろうかと思います。

一方で、従業員側のコメントとしては「自分ではどうもできない感」がかなり漂っている印象を強く受けます。

今、サービス残業なんかが横行している要因は、当然企業がモラルの低さが最大の要因ですが、一方で生活や労働時間について依存せざるを得ない状況を作ってしまっている従業員側の弱さがそれを助長させているという視点もあります。

自らの市場価値を上げて交渉力や選択肢を持つというのは、それぞれが発想し、行動できることだと思います。

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「労働時間革命 残業削減で業績向上! その仕組みが分かる」という書籍を読みました。ワーク・ライフバランスの実現による成功例の無双状態…ご紹介しつつ、僭越ながら私の考えも書いてみたいと思います。

それぞれが自分事としてできることはやっていくのが働き方改革のピースとしては必要なのではないかと思います。

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