みなさん、おはようございます!タカハシ(@ntakahashi0505)です。
こちらの記事は、タカハシが音声メディアVoicyの「スキルアップラジオ」にて放送した内容から、ピックアップしてお届けします!
今回のテーマは、生成AIを使うと人はバカになっちゃうのか?です。
なお、以下で実際にお聴きいただくこともできます!
では、よろしくお願いいたします!
生成AIを使うと人はバカになるのか
今日は、みんなが気になっているテーマなんじゃないかと思うんですが、「生成AIを使うと人はバカになっちゃうのか」、ということについて考えていきたいと思います。
2022年11月にChatGPTが発表されてから、一気に生成AIが広がりましたね。
AIと自然言語でやり取りすることによって、質問に答えてくれたり、文章を要約したり、翻訳したり、作文したり、もしくはプログラミングで言えば、そのプログラムの作成やエラーの修正が可能となっています。
生成AIの登場と教育現場への衝撃
全世界に衝撃が走ったわけですが、こと教育現場に関しては、生成AIとどのように向き合うか、とても議論が白熱しました。
たとえば、海外でも日本でもそうなんですが、生成AIを使うことに肯定的な大学もある一方、全く学生が使うことを禁止する大学もありました。
肯定派の意見としては、ChatGPTをはじめとする生成AIは革新的技術であり、ビジネスを始め社会で浸透していくことは確実であり、不可逆なわけなので、それであれば積極的に活用して使いこなす能力を身につけた方がいいだろうという考え方です。
一方で、否定派の意見はとても分かりやすいものなんですが、AIを使って自分で考えることがなくなってしまう、レポートや論文をAIに書かせてしまう、それであれば研究にもならないし教育にもならないので禁止しようというものです。
これは実際に肯定派としても頭を悩ませる問題です。
東京大学の生成AI使用の指針
たとえば、東京大学の生成AI使用の指針はこのようになっています。
学位やレポートについては、学生本人が作成することを前提としているので、生成系AIのみを用いてこれらを作成することはできない。しかし、現状では生成系AIを用いて作成した論文・レポートであることを高精度で見出すことは困難な状況である。したがって、教員はレポートや提出論文の審査に関しては、十分そのことを認識した上で評価を行う必要がある。つまり、論文やレポートなどの書面審査だけでなく、対面でのヒヤリング審査・筆記試験などを組み合わせ、本人が本当にその論文を作成したのかについても吟味する必要が出てくる
簡単に言えば、生成AIが回答したものそのままコピペでレポートとして出してしまう懸念があるものの、それを見破ることは難しいということなんです。
したがって、大学としては、生成AI利用に関しての指針を定め、それをきちんと運用していくことが求められているということなんです。
生成AIに頼りすぎると人間のスキルは低下するのか
生成AIを使ったコーディングの実験
これに関連して、生成AIに頼りすぎることで人間の開発者のスキルが低下するのではないか、といった実験をした研究者がいましたので、その研究成果についても紹介したいと思います。
テキサス州にあるアビリーンクリスチャン大学の研究者らが発表した論文です。21人の大学生を被験者として、ある実験を行いました。
その大学生たちは、コーディングの授業を何回か受講していて、初心者レベルの技術を持っていました。
そして、彼らに、ChatGPTとGitHub Copilot(これはコード生成に特化した生成AIサービスです)の2種類のツールを使える環境にして、あるプログラムを開発するようにお題を与えたわけです。
課題に取り組んでいる間、被験者たちはアイトラッキング装置を装着し、コーディング中の視線の動きを記録。また、考えていることを言葉にして口に出しながら作業をするように指示されていました。
さらに、課題終了後、被験者に対してインタビューを行って、生成AIツールを使った感想などを聞き取りを行いました。
生成AIの与える影響の両面性
この実験によってどんなことがわかったのでしょう。
一部の学生については、AIの提案を適切に取捨選択しながら効率的に課題を解くことができ、さらにAIを使いながらも自分の知識を深めることができていたと報告されています。
この一部の学生というのはコーディングが得意なグループでした。
一方、コーディングが苦手な学生たちは、AIの提案に頼りすぎて、自分で考えるプロセスを飛ばしてしまう傾向が見られたということです。
ですから、自分の力でプログラムを書けなくなる危険性があると報告されていました。
さらに、コーディングが苦手な学生たちのグループは、自分はうまくやっているこのように錯覚しがちとも報告されています。
つまり、「生成AIを使うことでスキルの獲得に悪影響を及ぼすのではないか」という疑問の答えは、「人による」というのがその回答になります。
生成AIを使うことは優秀な学生にとっては、さらなる効率化の手段になりうるメリットがあります。
一方で、より学習に取り組む必要のある学生については、かえってその学習から遠ざけてしまう危険性があるといった両面性が示されたということなんです。
ここでお伝えした研究に関して言うと、JBpressの記事「生成AIに依存し過ぎると人間はバカになるのか?実験が明らかにした、生成AIを賢く使える人、使えない人」に詳しく掲載されていましたので、興味がある方はそちらもご覧いただければと思います。
プログラミングを学ぶ必要はなくなるのか
プログラミングはゆくゆくは学ぶ必要がなくなる、そういった意見も見かけるわけですが、僕の感覚では、そういう時がすぐに来るという感じはしないなと思っています。
この辺りの話で言うと、第706回の放送ChatGPTで学ぶプログラミングで初心者がぶつかる壁とはで話をしています。
先ほどの実験の報告を見ても、それを裏付けているのかなと思います。
ただ、生成AIを使うことで、たとえスキルがなかったとしても、ある目標への到達が圧倒的に速くなるということは間違いないんだろうなと思います。
では、その条件は何か、ということですよね。
先ほどの実験で言うと、結果の違いは優秀な学生かどうかだったわけですが、何が優秀か、何が優秀を作っているのかということなんです。
AIを使いながら成長するには
1つヒントになるのが、ITスキルがない上司がITスキルがある部下に指示を出すケースを考えてみるといいのかなと思います。
たとえば、丸投げをしてしまおうというスタンスの上司がいたとします。
部下が作ってきたものはよくわからないが、それをそのまま採用する、うまくいけばラッキー、上司は楽をしているように見えますが、この上司がITに関して深く理解するスキルが上がるということは当然ないわけですよね。
しかし、もしかすると、この上司はそのやり方でうまくやっているこのように錯覚しているかもしれませんし、もし何か問題があった時は部下のせいにしてしまうといった傾向もあるかもしれません。
一方で、上司が少しでも理解しようというようなスタンスでこの部下に指示を出すのであれば、どうなるでしょうか。
部下とよく会話をしますよね。
「この言葉は初めて聞いたけど、どういう意味なんだろうか。」「君にどう伝えればうまくいくのか教えてくれ」
このような会話を続けるのであれば、確かにうまく進むような気もしますし、あの上司の中にITに関する知識や理解、そういったものもある程度は蓄積されていくものと思います。
このような学ぼうとする姿勢があるかどうか、これがAIを使いながらも成長するかどうかに関わってくるのかなと思います。
当たり前と言えば当たり前の話なんですが、あなた自身が生成AIとどういうスタンスでやり取りをしているのか、今一度思い返してみていただくといいのかな、なんていう風に思いました。
最後にノンプロ研講座のお知らせです
さて、最後にお知らせです。
学習コミュニティ「ノンプロ研」では、4つの講座が一般申し込み受付開始となっています。
- 初心者IT基礎講座Excel関数コース
こちらはExcelの数式の初歩から、実務でものすごく便利に使える中級レベルの関数までを学ぶことができるコースとなっています。 - 初心者プログラミング講座VBAコース、GASコース
MicrosoftOfficを使っている企業、もしくはGoogleWorkSpaceを使っている企業であれば、Excelやスプレットシートを始めとしたルーティンワークをプログラミングによって自動化することができます。まったくの初心者から、実務で使える簡単なツールを作るところまでをマスターするコースとなっています。 - 初めてのコミュニティ活用講座
コミュニティで学ぶというのがどういったものなのか分からない方向けの講座です。ノンプロ研の全体像を把握して、その歩き方をマスターする、そんな講座となっています。
いずれもいつでもオープンとなっている講座ではありませんので、興味があるものありましたら、ぜひこのチャンスに掴んでいただければと思います。
ノンプロ研講座へのリンク貼っておきますので、ぜひそちらをご覧いただき、お申し込みいただければと思います。
みなさんのお申し込みお待ちしております。
まとめ
ということで、今日はVoicy「スキルアップラジオ」の放送から「生成AIを使うと人はバカになっちゃうのか?」をお届けしました。
タカハシのVoicyの放送はこちらからお聴きいただけます。
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では、また。