長時間労働と生産性の問題のカギを握っているのは誰か?


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photo credit: Seattle Municipal Archives Men paving Fairview Avenue trestle, 1924 via photopin (license)

みなさん、こんにちは!
タカハシ(@ntakahashi0505)です。

先日12/24のNHKスペシャルご覧になられましたか?

「私たちのこれから#長時間労働」というテーマで、長時間労働の実態、世界の視点で見た日本の生産性の課題、長時間労働の是正を阻む「壁」は何か、などをまとめた内容。ちょっと急ぎ足かな~とも思いつつも、全体がよくわかる良い内容だったと思います。

ただ、一点だけ、私には違和感がある部分がありました。

どこかというと、長時間労働問題を

国もそれから企業も私たち一人一人もみんなで

考えていこう、という部分です。

今日は、その違和感がどういうことなのか、ということについて独立し立ての経営者の目線で考えてみたいと思います。

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仕事を断る?断らない?

NHKスペシャルの中では、仕事を「断る」福岡の会社の例が出ていました。

仕事って、一度断ってしまうと、継続的に発生していたクライアントとの取引がなくなってしまって、売上のダメージを受けてしまいますよね。それをどのように、防いでいるかというと、大口のクライアントを少数持つのではなく、小口のクライアントを多数持つ、という方法でリスクヘッジをしているということです。

答えを聞いてしまうと、「なんだそんなことか」と思いますけど、世の中の会社では、なかなか断ることができないようです。

番組に出演していた経営者や会社員も

  • 断ったら仕事が来なくなってしまう
  • 注文が同じ時期に集中してしまうときがある

というようなことを理由に難しい、と言ってました。

だから、いったん受けて社員に頑張ってもらうことがでてきてしまうんだ、と。そして、ずっと社員を雇わなければいけないことを考えると、そういうこともあるよ、ということなんですね。

まあ、気持ちはわかりますし、よく言われる話ですが、独立し立ての経営者の目線で考えると、その考え方は甘えかな、と思うのです。

無理な金額の仕事はごめんなさいしています

独立してから約1年半ほど経ちました。胸張って「儲かっている!」と言える状況ではありませんが、仕事を断るか断らないかと言ったら、断ることはあります。

断る理由の第1位が金額です。

私の場合は、自分が稼働する1時間あたりにこれくらい稼がなきゃ、というルールを決めているので、それを満たせない案件は引き受けないようにしています。

ITをなりわいにしているフリーランスの1時間あたりの最低目標売上
ITのフリーランスは、設備もPCくらいなので、そのリソースのほとんどは「時間」です。そして、その使い方が生死を分けます。今回はその時間の使い方として「1時間あたりの最低目標売上を決めておく」についてです。

お問い合わせの際には、なるべく予算を聞いて、だいぶこちらの想定と開きがあるなぁと思ったら、その時点でやんわり難しいですとお答えします。

なぜ、そんなことをするかというと、頑張れば頑張るほど、赤字になっちゃうからです。

例えば、1カ月50万稼がないと生活がキープできないのであれば、ひと月160時間働くとして、時給3,125円以上をキープしないと死亡フラグ確定なのです。

当たり前っちゃ当たり前なのですが。

よく「仕事欲しいんでしょ?」的に、金額を叩いてくる取引先いますけど、そんな赤字ベースになるほど自分の時間を安売りするくらいなら、自社サービスを考えたり、電子書籍作ったり、ブログを書きまくったほうが、自分の時間の使い方としては価値が高いのです。

無理な納期の仕事もごめんなさいしています

じゃあ、スケジュールが詰まっちゃっていて、希望の納期が無理な場合は、どうするか?

それも、できません、と。で、いつだったらできます、と伝えています。

夜とか土日とか頑張ればできるじゃん、という意見も当然あるのですが、なるべくやらないようにしています。

まあ、仕事が好きなんで、放っておくと頑張ってしまうタチなのですが、やりすぎると以下の記事のようになります。

体が資本!肋軟骨ひびと帯状疱疹から得たアラフォーフリーランスとしての3つの教訓
肋軟骨にひびが入ったり、帯状疱疹ができたりして、本調子ではない状態が1カ月ほど続いておりました。アラフォーのフリーランスの方と未来の自分自身が同じような目にあったとき役立つと信じ、記録を残しておきます。

身体壊したら、その期間はほんとパフォーマンス下がっちゃうので、それはそれで死亡フラグ立っちゃうんです。

それに私の場合は、ブログも書いていますし、土日にセミナーを開催することもあります。また、やっぱり想定外のことが起こって、夜や土日に対応…ということもあります。

「ブラック企業、反対!」と声高々に言ってますけど、プランノーツはわりかしブラックになりがちです。

だから、「頑張りすぎないように気を付ける」というのが、かなり大事だと感じています。

社員の健康を害してまでやるべき仕事か

だから結果的にどうなるかというと

  • 時間あたりの金額が安い仕事はごめんなさいする
  • 平日8時間以上は仕事を入れない、土日祝も休み

となります。一定以上の時間あたりの生産性と、健康維持、その二つが経営の継続には絶対条件なんです。

安っちい案件拾っちゃったとしても、無理して健康を害してしまったとしても、それは全部自分の責任です。何とかしなければ生きていけませんが、誰も助けてくれませんので、自分で何とかするしかありません。

一方で、その条件を満たそうとすることで、十分な仕事が獲得できなくて、稼働率が確保できないのであれば、それは事業の設計が破たんしているということになります。

ですから、商品、ターゲット、マーケティング、色々な視点でビジネスを見直さなくてはいけません。それも自分でやらなければいけません。

大変ですが、その見返りとして、うまく行った際にはそのリターンを享受することができますし、やりたいことをやれる自由と裁量もあります。

それは、どんな経営者だって、一人でビジネスをすると考えたら、同じだと思うのです。

なのに、社員を抱えてしまうと、その条件が崩れちゃう。

社員だったら、多少無理をさせて、病気で休んでも、鬱になっても、まあ良し、となっちゃう。

自分一人ならやらないことを、社員にだったら頼める。

それっておかしくないですか?

それは、社員の健康を害してまで、やる必要のある仕事でしょうか?

これから労働人口が激減していく中で、貴重な労働力の消耗は極限まで抑えるべきなのではないでしょうか?

番組内で、サントリーの新浪社長が経営者陣では、唯一だったと思いますが「健康経営」を掲げて長時間労働反対と訴えていらっしゃいました。

そう言える経営者はまだまだ少ないのかも知れません。

「働き方改革」は確実に動き始めた

政府は「働き方改革」にようやく動き始めていて、どこまでできるかというところはありますが、確実に動いてはいます。

労働者側でなんとかする裁量は今の日本社会では期待できません。そもそも、なんとかできるような権限を与えられていませんし、そこまでするメリットもインセンティブもありません。

消費者が、求めるサービスの期待度を下げることはありませんし、むしろグローバルで考えると目が肥えている消費者を抱える日本市場は武器とも言えます。

ですから

国もそれから企業も私たち一人一人もみんなで

というのは、焦点や責任感がぼやけちゃうので良くないと思うのです。濃淡をつけるべきです。

この長時間労働と生産性問題の一番カギを握っているのは、経営者はずなのです。

これからは経営者という立場の人たちには、きちんと「経営」をしてもらわないといけない時代に変わりました。経営者が危機感を持たず、人口減少時代にふさわしい「経営」をしないなら、強制的にでもさせるしかありません。

日本を「1人あたり」で最低にした犯人は誰か
前々回(「1人あたり」は最低な日本経済の悲しい現実)と前回(日本は、ついに「1人あたり」で韓国に抜かれる)の記事で、日本の生産性が他国と比べて相対的に低下している現実を指摘し、生産性向上の必要性を訴えて…

とある通りです。

36協定の改正と徹底運用で、最悪レベルの長時間労働は防げるようになるかも知れませんし、企業の意識も変わらざるを得ないかも知れません。

政府が残業規制を強化~有効な一手とするためにそれぞれができること
政府が労働基準法の「36協定」の運用を見直し、残業規制を強化すると発表しました。期待と不安が入り混じる「残業規制」ですが、これが有効な一手となり得るためのポイントについて考えてみたいと思います。

副業も容認の流れになっています。法的には規制されているわけではないので、政府ができるのはガイドライン的な後押ししかないのかも知れませんが、解禁になれば労働者の選択肢が増えることになります。

副業禁止!?いやむしろ解禁することで企業にもたらされる4つのメリット
多くの企業では副業禁止としていますが、しかしその中でコッソリと副業をしている従業員がいるのも事実。今回の記事では、むしろ副業を容認することで企業にもメリットがあるということについてお伝えします。

「働き方」に関して方針を変える、それだけではなく、それを武器にする企業も増えてきました。人材獲得、労働生産性といった部分で有利に競争を戦う企業も増えてくるかも知れません。

流れができているのは非常に喜ばしいことですが、もっと加速をつけるべきですし、そのカギは経営者が握っているはずです。

微力ながら自分も経営者の端くれとして、また発信者として日々尽力できればと思っています。


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