学習コミュニティの内外の流れをつかみ方向づけをする「情勢判断」のしかた

学習コミュニティの内外の流れをつかみ方向づけをする「情勢判断」のしかた

みなさん、こんにちは! タカハシ(@ntakahashi0505)です。

学習コミュニティを運営していると、日々変化する外部のトレンドや内部のニーズを見極めながら、適切な意思決定が求められます。

そのために有効なフレームワークが「OODAループ」です。

前回はその概要と1つ目のステップ「観察(Observe)」についてお伝えしました。

今回は、その2つ目のステップ「情勢判断(Orient)」について実例を踏まえて解説します。

ということで、今回は「学習コミュニティの内外の流れをつかみ方向づけをする「情勢判断」のしかた」です。

では、行ってみましょう!

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OODAループとは?

OODAループは、「Observe(観察)」、「Orient(情勢判断)」、「Decide(意思決定)」、「Act(行動)」の4つのプロセスを指します。このサイクルを回し続けることで、複雑な状況下でも迅速かつ柔軟に対応できる仕組みです。

この概念は、アメリカ空軍のジョン・ボイド氏によって考案されました。素早く戦局の状況を把握し、柔軟に行動をとる重要性を強調しました。

戦場での戦術として発展したOODAループですが、コミュニティのように常に動き続ける組織運営においても非常に効果的です。

情勢判断 (Orient): 流れをつかみ方向づけをする

OODAループの2つ目のステップが「Orient(情勢判断)」です。このプロセスでは、前のステップによるコミュニティ内外の「観察」を受けて、流れをつかみ、方向性を見極めます。例えば以下のような視点です。

  • 世間の流れを把握する: 技術トレンドや業界の動向、社会的要請をキャッチアップする。
  • 内部の状況を理解する: メンバーが何を求め、何に意欲を感じているのかを知る。

社内コミュニティであれば、社内での「流れ」も重要になってくるでしょう。

これら複数の流れをつかみ、統合し、コミュニティの領域(=テーマ)やKGIなどと照らし合わせることによって、方向づけをしていきます。

ノンプロ研での情勢判断の例

具体的に、観察から情勢判断をどのようにするのか、ノンプロ研での事例を紹介します。

外部と内部のトレンド

まず、外部のトレンドでいうと以下のような流れがありました。

  • RPA、ノーコード・ローコードのブーム
    • RPAは一時期ブームでしたが、だいぶ浸透し、今は落ち着いているように見えます。
    • ノーコードツールに関しては、有料化や新しい提供形態の変化が続いています。たとえば、Glideの無料版の一部有料化やGoogleアカウントでAppSheetが利用可能になったことが話題になっています。
  • 生成AIの進化
    • 生成AIの技術は急速に革新し、普及、拡散しています。
    • ChatGPT、Gemini、Copilot、Perplexity、Claudeなど、多様な生成AIツールが台頭しています。これらの技術は画像生成やスライド生成、音楽生成といった新たな分野にも波及しています。

一方で、ノンプロ研内部でいうと以下のような流れを察知できました。

  • ノーコードツールへの関心
    • AppSheetに関する話題が増え、実務での活用例も増加中。
  • 生成AIの活用のばらつき
    • メンバーの間で活用度合いが大きく異なり、統一的な方向性が見えにくい状況です。
  • 多様化する技術とメンバーのニーズ
    • Slackチャンネルやイベントが増え、小さな子コミュニティに分散化しています。
    • ふだん交流するのが特定の範囲にとどまり、全員にすべての情報が行き渡りづらい傾向が見られるようになってきました。

行動の方向づけ

これらの観察結果を元に、コミュニティとして以下のような方向づけを検討しています。

  • ノーコードツールAppSheetの推進
    • AppSheetを中心に学ぶ実践と交流の場を増やし、メンバーのニーズを満たし、コミュニティとして学びを向上させていけそうです。
  • 生成AIの実践機会
    • 生成AIはまだ方向性が定まっていない部分が多いため、引き続き観察と情勢判断を続けます。
    • もし、試行的なプロジェクトや小規模な実践の機会があれば試してもよいかもしれません。
  • 大きな交流の場を提供
    • 松本雄一先生の『学びのコミュニティづくり』で提案されている重層型コミュニティの仕組みを参考に、小さなコミュニティが集う大きな交流の場を設けると良さそうです。

このように、内部の機運やテンションの集まりとその流れをつかみ、外部のトレンドに合わせて方向づけをしていきます。

まとめ

以上、「学習コミュニティの内外の流れをつかみ方向づけをする「情勢判断」のしかた」についてお伝えしました。

引き続き、みなさんがいきいきと学び・働くためのヒントをお届けしていきます。次回をお楽しみに!

この話を耳から聴きたい方はこちらからどうぞ!

連載目次:学習コミュニティをつくろう!

リスキリングやDXを推進するのにめちゃくちゃオススメなのが「学習コミュニティ」をつくること。このシリーズでは、ノンプロ研の圧倒的事例と「実践共同体」の理論をベースに、熱量高く、楽しく持続する学習コミュニティのつくりかたを紹介します。
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