みなさん、こんにちは!
タカハシ(@ntakahashi0505)です。
来る2021/08/02に、拙著「Pythonプログラミング完全入門 ~ノンプログラマーのための実務効率化テキスト」(通称「#ノンプロPython」本)が発売となります。
今回、出版をお願いしております技術評論社さまのご厚意により、当ブログに「本書の第1章を全文掲載しても良い」と許諾をいただきました。
ということで、本シリーズでノンプロPython本の第1章「Pythonを学びはじめる心構えを整えよう」をお送りしております。
前回の記事はこちら。
今回はそのつづき、「Pythonで得られる新たな「働く」の体験」です。
では、行ってみましょう!
ダブルクリックだけで仕事をはじめる
毎朝仕事場のデスクに座ったら、まず何をされますか?
多くの場合は、PCの電源を入れますね。OSが起動するのを待って、作業に必要なアプリケーションやWebページを順番に開いていくことでしょう。メーラー、Excelファイル、ブラウザとWebページ、チャットツール、PDFやWordなどのドキュメント……私たちは、ひとつの作業を行うたびに、たくさんのアプリケーションやフォルダ、Webページを開いて作業を行います。
その作業が一段落して、別の作業を開始するのであれば、また別のアプリケーションやフォルダ、Webページのセットを開く必要があります。その「セット」を開く手間は、1回あたりは少しの手間かもしれませんが、毎日最低1回から数回以上は行っている見えざるルーチンワークのひとつです。
私が本書の執筆作業を行う場合は、以下のようなアプリケーションやファイルを開いて作業を行っています。
- 原稿を書く文書作成ソフト
- 執筆状況を管理する表計算ソフト
- 原稿や素材を格納するフォルダ
- 執筆で参照するメモ
- 挿入する図を作成する図形作成ソフト
- Pythonプログラムを実行・検証するVisual Studio Code
- Pythonプログラムを実行・検証するJupyter Notebook
これをひとつひとつ選択したり、クリックしたりして起動するには、けっこうな手順が必要となってしまいます。ただし、私が執筆作業を行おうと思ったときにとる行動は「Pythonファイルをダブルクリックする」これだけです。
この効率化により生み出す時間は、1回あたりでいうとわずかかもしれません。ただ、毎日数分の効率化でも、1年で考えると何十時間という単位になります。時間はとても貴重なのです。
また、このプログラムは簡単なコードで実現できますので、すぐにその開発工数は取り返すことができるでしょう。
このプログラムを実行することで「自分はPythonを学んでいるんだ」ということを、都度認識し直すことができるというのは、このツールを作り、活用する隠れたメリットです。
大量のWebサイトからの情報収集
私がPythonのプログラミング研修を担当させていただいた、とある企業の事例を紹介しましょう。研修を受けていただいたチームは、100を超えるWebサイトから定期的に情報収集をするという業務をする必要がありました。
- URLをブラウザに入力してWebページを開く
- Webページ上の該当の箇所をコピーする
- コピーした内容をExcelファイルにペーストする
このような作業を100回以上行うのです。素早く作業をして1つのサイトを3分でこなしたとしても、全体で5時間もかかってしまいます。人間ですから操作ミスにより、正しくないデータをコピーすることもあるかもしれませんし、マウスを持つ右手は腱鞘炎に悩まされるかもしれません。
また、Webサイトの構造はそれぞれ違いますから、コピーをすべき「該当の箇所」は、Webサイトごとに異なります。業務に慣れている担当者であれば、経験からすべてのWebサイトから目指すデータを収集できますが、新しい担当者には操作手順を教えたり、マニュアルを整備したりする必要が出てきます。
考えただけでもうんざりする業務ですよね。
そのチームに、3か月間のPythonプログラミング研修を受けていただきました。どのような効果があったでしょうか。
その担当者の該当業務の手順は以下のとおりになりました。
- Pythonのプログラムを起動する
- 10~20分後に完成したExcelファイルとログをチェックする
5時間もかかっていた業務が、たったの20分で完了するようになりました。しかも、その20分間はコンピューターが働いているので、担当者自身は別の作業をしていても、打ち合わせをしていても、休憩をしていても良いのです。
そのチームは、さらに「欲張り」でした。この学んだPythonプログラミングの技術について、社内研修を開催し、他部署に伝授をすることをはじめました。これにより、社内でPythonを使いこなす人材がさらに増えました。「教えることは2度学ぶこと」ですから、そのチームの知識やスキルもより強固なものになります。
もともとのチームの役割はデータ収集をするというものでしたが、それに加えて自動化・効率化を実現する社内開発およびその教育を行うという役割を担うことができるようになりました。社内での評価は大きく上がったに違いありません。
このように、Pythonを学ぶことはみなさんとそのチームの「働く」にたいへん魅力的な体験と、高い価値をもたらします。これらの体験や価値を味わい、楽しむことは、プログラミングを学び続けるためのモチベーションの維持に大いに貢献します。
(つづく)
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