みなさん、こんにちは!
タカハシ(@ntakahashi0505)です。
「ノンプログラマーのためのスキルアップ研究会」は、ノンプログラマーがプログラミングをはじめとするITスキルを学び合うコミュニティです。
先日開催された定例会のテーマは「ノンプログラマーネクストジェネレーション」。
なんやそれ?って感じですよね。
今、VBAやGASだけでなく、RPA、Pythonそしてノーコード・ローコードとノンプログラマー向けのテクノロジーとその流行の大きな変化が起きています。
そんな中、何をどうやって学んだらいいのでしょうか…?
ということを、次世代のノンプログラマーの課題とこれからの学び方について、2時間たっぷりお話させていただきましたのでレポートをさせていただきます。
ちなみに当日の様子は以下、Togetterのツイートまとめもご覧くださいませ。
では、行ってみましょう!
ノンプログラマー向け技術の変化と流行
私が独立をした2015年初期は、ノンプログラマーが業務を自動化する手段といえば、OfficeならVBA、GoogleアプリケーションならGASという選択肢でした。
しかし、最近になって人気のプログラミング言語Pythonが、ノンプログラマーの領域でも活躍できることがわかり、ノンプログラマー向けPython書籍の出版ブームになっています。
これについては以前の定例会でも触れました。
また、別の流れでいうと、2017年あたりからRPAが大流行をします。2019年には幻滅期に入っていてブームはやや収まっていますが、依然多くの企業で活躍しています。
さらに、2020年に入ってから、Googleがノーコード開発AppSheetを買収したり、AmazonがHoneycodeをリリースしたりと、ノーコード・ローコード開発のビッグニュースをよく見かけるようになりました。
MicrosoftもPower Platformに相当に力を入れていて、2019年のMicrosoft Igniteというイベントでは、Power Platformで開発を行う「市民開発者」が250万人にのぼったと発表されました。
また、日本初のプラットフォームとしては、以前からkintoneがぐんぐんシェアを伸ばし続けています。
ノーコード・ローコードブームはまだまだ続きそうで、日々新たなサービスが生まれているという状況です。
以下、定例会レポートもご参考ください。
このように、ノンプログラマー向け技術の選択肢が増え、そして特に新しい技術に関しては、より低い学習コストで自動化を実現できるということが期待されています。
ノンプログラマー向け技術のこれからの課題
しかし、その裏側にはいくつかの課題もあります。
学ぶ対象が増え、サービスの浮き沈みが活発化する
技術が増えるということは学ぶ対象が増えるということです。
ノーコード・ローコードなどはライバルがひしめいていますので、サービスの浮き沈みが活発になります。
実際、GoogleはAppSheetを買収すると同時に、それまでアピールしていたApp Makerの終了を決定しましたし、MicrosoftはRPA企業を買収しPower Automateにその機能を取り込みました。
したがって、せっかく学んだ技術が意味を持たなくなってしまうということが増えるかも知れません。
情報や教材の分散化、希薄化と見逃し
他方、各技術で提供される情報や教材も分散化、希薄化します。
例えば、私のような立場の人間からすると、何らかの情報をブログでアウトプットしたり、書籍で執筆したりしたいわけですが、すべてのサービスについて、十分に執筆することはリソース的に不可能です。
加えて、AppSheetを代表に外国発のサービスの多くは日本語化されていません。
したがって、技術ごとに供給される情報の量は、平均して低下せざるを得ないと考えられます。
また、「Excel×Python」に代表されるようにブームになった情報は大量に供給される一方で、ブームにならないと埋もれてしまう技術もあります。
その例がパワークエリ・パワーピボットです。
Excelに標準搭載されており、学習コストも決して高くない、そしてデータ整形や集計について絶大な効果を発揮するにも関わらず、認知度が低いのです。
これについては、前回の定例会でテーマにしました。
目立つ情報が必ずベストとは限らず、埋もれた情報を探しにいく力も重要です。
ノンプログラマーは何をどうやって学んでいくべきか
複数の技術を学ぶ
ガートナーが2019年に発表した「2020年の戦略的テクノロジ・トレンドのトップ10」の中に「ハイパーオートメーション」というキーワードがあります。
これは、RPAのトレンドを引き継ぐものですが、RPAだけでなく、機械学習、ソフトウェア、自動化ツールなど、さまざまなものを組み合わせてオートメーションを実現するという考え方です。
したがって、ひとつのスキルだけでは不十分で、複数を持つ人材・チームが求められるということになりますが、この考え方は私も同意です。
各技術は得意分野が異なりますので、組み合わせが有効です。
一部機能がかぶることは考えられますが、何かの技術を別の技術で完全に代替するというケースは稀です。
サービスの浮き沈みが活発になることも踏まえると、複数の技術を常に学ぶという姿勢が求められます。
実験的・研究的学習と情報収集・選択
情報の分散化、希薄化が起こりますから、整ってないまたは少ない情報や教材を頼りに学習をしていくことになります。
したがって、ノーコード・ローコードなどはその最たるものですが、実験的・研究的な学習をする必要が出てきます。
また、パワークエリ・パワーピボットに代表される見逃しがないように、常にフラットにいろいろな情報をキャッチできるようにするのが理想ですし、その中からベターな選択ができる目利き力も必要になります。
これからの学習に隣ITやノンプロ研ができること
そのような課題が見えている中で、私の活動としてできることについていくつか進めている、検討していることがありますので紹介します。
英語の情報のキャッチと発信
今年のGoogle Cloud Nextは、パンデミックの影響でオンラインイベントとなりました。
たくさんのセッションがありましたが、そのほとんどは英語での提供。日本語のコンテンツはごくわずかでした。
今、つたない英語力ですが、日々磨きをかけてノンプログラマー向けに役立つ英語の情報をキャッチして日本語で発信をしていきます。
ノンプロ研新講座
現在、ノンプロ研ではVBA・GAS・Pythonの3つの言語で講座を開催しています。
今、この講座のラインナップにパワークエリ・パワーピボットおよびAppSheetを加えるべく準備中です。
それ以外にも、新しい技術について積極的に講座化をしていきたいと考えています。
技術同人誌の制作・販売
情報や教材の分散化、希薄化の対策として、ノンプロ研としてノンプログラマー向け技術同人誌を制作・販売をしてしまおうという取り組みを考えています。
Webだと短い記事が分散されているので、やや大きめの学習課題を超えるには、かなりハードルがあります。
一方で商業出版だと、執筆期間が長く、新技術や王道ではない分野は企画が通りづらいという性質があります。
そこで、技術同人誌であれば、そのちょうど間の隙間を埋められるのではないかと考えました。
執筆はたいへんな作業ですが、それ自体が大きな学びの機会にもなりますし、おそらく仲間とコンテンツを作るのは楽しい経験になるはずです。
まとめ
以上、ノンプロ研定例会のレポートとして「次世代のノンプログラマーの課題とこれからの学び方」についてお伝えしました。
新技術がたくさん登場してくるようになると大変そうが、一方でワクワクもしますよね。
新たな技術もより効果的に楽しく学べるよう、コミュニティや執筆などを通してサポートをしてまいります。
今後ともよろしくお願いいたします!
「ノンプログラマーのためのスキルアップ研究会」について
コミュニティ「ノンプログラマーのためのスキルアップ研究会」では、毎月の定例会や勉強会、Slackでのやり取りを通して、皆さんのプログラミング学習の質やモチベーションを高めるための活動をしています。 過去の活動については、以下のページをご覧ください。- コミュニティ「ノンプログラマーのためのスキルアップ研究会」の活動レポートまとめ(2017-2018)
- コミュニティ「ノンプログラマーのためのスキルアップ研究会」の活動レポートまとめ(2019)
- コミュニティ「ノンプログラマーのためのスキルアップ研究会」の活動レポートまとめ(2020)
- コミュニティ「ノンプログラマーのためのスキルアップ研究会」の活動レポートまとめ(2021)
- コミュニティ「ノンプログラマーのためのスキルアップ研究会」の活動レポートまとめ(2022)