学習コミュニティづくりをはじめるなら知っておきたい実践共同体のこと

学習コミュニティづくりをはじめるなら知っておきたい実践共同体のこと

みなさん、こんにちは! タカハシ(@ntakahashi0505)です。

リスキリングやDXを進める上で、学習コミュニティをつくることがメチャクチャ有効です。

むしろ職場が学び合いに向いてないという…

実際に作る上で参考になる理論が「実践共同体」です。

今回は、実践共同体というものがどういったものなのかを考えていきましょう。

ということで、今回は「学習コミュニティづくりをはじめるなら知っておきたい実践共同体のこと」についてお伝えします。

では、行ってみましょう!

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「コミュニティ」という概念はあやふや

学習コミュニティづくりをはじめよう!といったとしても、いったい何からはじめたらいいの?ということになることは少なくありません。

社会学者のアバークロンビーという方は、コミュニティという概念についてこのようにおっしゃっています。

社会学でもっともわかりにくく、あいまいな語の一つで、現在にいたるまでほとんど意味が確定していない

僕らはコミュニティという言葉を気軽に使っていますが、よくわからないので使っているのです。

いざつくるというのであれば、それは「どうはじめたらいいのかわからん」となりますよね。

実践共同体とは

そこで参考になるのが、「実践共同体」という概念になります。

エティエンヌ・ウェンガーという人が提唱したもので、以下のように定義されています。

あるテーマに関する関心や問題、熱意などを共有し、その分野の知識や技能を、持続的な相互交流を通じて深めていく人々の集団

ややわかりづらいように見えますが、関西学院大学教授の松本雄一先生は、これをシンプルに「学習のためのコミュニティ」と言い換えています。

コミュニティ「ノンプロ研」はまさに実践共同体といえます。

また、社内で定期的に開催されている勉強会、社内大学なども実践共同体ということができます。

実践共同体の構成要素

ウェンガーは実践共同体の構成要素が3つあると述べています。

それは以下の3つです。

  • 領域
  • 共同体
  • 実践

一つひとつ確認していきましょう。

領域

領域は学ぶテーマのことです。メンバーに共通する課題や問題と言い換えることもできます。

たとえば、ノンプロ研は正式名称「ノンプログラマーのためのスキルアップ研究会」ですが、「ノンプログラマーがプログラミングやITを学ぶ」というテーマ設定といえます。

課題としては「学習環境の乏しさ、孤独、難しさ、認められなさ」というところが挙げられます。

このように課題が明確、問題意識が強い、それをなんとかしたいという思いがあると、より強いエネルギーが生まれます。

それが集団になることによって、さらにエネルギーが倍増するといえます。

領域は明確に決まっていなくてもいいし、後で変わっていってもいいとされていますが、はっきりしたほうが人を集めやすいし、エネルギーが生まれやすいとも言えます。

ですから、コミュニティのメンバーを集めるときや、活動の際には、領域について十分にアピールしていくことは大事と考えます。

たとえば、ノンプロ研でいえば、入会ページに以下のように説明しています。

自らで学ぶ・学び合う意欲がある方のみ、ご入会ください

プラス、月々5500円というお金もかかりますから、しっかり領域を確認した上でいらっしゃる方の比率は高いでしょう。

社内勉強会でいうと、なんとなくあまり説明せずに「やろうよ」と人集めをしてしまうことも少なくないかも知れません。僕としては、領域について言語化する努力、発信する努力は、怠らないほうが良いと感じています。

共同体

共同体というのは、持続的に活動し、相互作用する人の集まりのことです。

ひとまず、上記領域を伝えながら、3人以上集めればOKでしょう。

あまり多い人数を一気に集めなくてもよいと思います。

むしろ、最初は活動が不安定になりがちだと思うので、じっくり顔を突き合わせて話せる距離感に全員がいるほうが安心感があると思います。

実践

実践は言葉からは少しわかりづらいですが、2つの意味があります。

  • 活動内容
  • 活動内容によって生み出されたもの、アウトプット

活動内容は同期と非同期を用意する

活動内容として、おすすめなのは同期と非同期の両方の機会を用意するということです。

同期というのは、時間を合わせて参加する勉強会などです。

ノンプロ研のスタート時は月1のセミナーと月1のもくもく会の2つがありました。読書会なんかも、フォーマットがかたまりやすいのでおすすめです。

同期の実践は、定期のイベントを用意するとよいと思います。定期だと予定が勝手に決まり、リズムが生まれます。さらに、それが習慣になると、活動にかかるリソースが少なくて済むようになるからです。

もうひとつ、非同期は時間を合わせずともコミュニケーションできる場、環境のことです。

ノンプロ研では最初はFacebookグループを使っていましたが、N対Nのやり取りがしづらいため、すぐにSlackに切り替えました。

あと、Twitter(現X)も活用を推奨しています。

アウトプット

アウトプットですが、イベントの際にTwitterでみなさんにポストするのを勧めており、その後Togetterというツイートまとめサービスでまとめます。

また、人によりますがブログでの振り返りも推奨しています。

運営としては、すべてのイベントについて、動画アーカイブと登壇スライドを記録として残すようにしています。

これら、実践もやりながら、ようすを観察し、必要に応じて追加、改善していけばOKと思います。

まとめ

以上、「学習コミュニティづくりをはじめるなら知っておきたい実践共同体のこと」についてお伝えしました。

ということで、実践共同体とは何か、そしてその構成要素である領域、共同体、実践について紹介しました。

フレームがあると考えやすくなりますよね。どうぞご活用ください。

引き続き、みなさんがいきいきと学び・働くためのヒントをお届けしていきます。

次回はうまくいく学習コミュニティの参考となる「実践共同体っぽいとはどういうこと?」をお伝えします。お楽しみに!

この話を耳から聴きたい方はこちらからどうぞ!

連載目次:学習コミュニティをつくろう!

リスキリングやDXを推進するのにめちゃくちゃオススメなのが「学習コミュニティ」をつくること。このシリーズでは、ノンプロ研の圧倒的事例と「実践共同体」の理論をベースに、熱量高く、楽しく持続する学習コミュニティのつくりかたを紹介します。
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