学習コミュニティで良質な学びを多く得るためにはどうすればいい?

学習コミュニティで良質な学びを多く得るためにはどうすればいい?

みなさん、こんにちは! タカハシ(@ntakahashi0505)です。

学習コミュニティをつくろう!シリーズ、前回は学習コミュニティっぽいとは何か、すなわち実践共同体の特性についてお伝えしました。

ところで、学習コミュニティで良質な学びを多く得るためには、どのように参加すればよいのでしょうか。また、学習コミュニティを運営する立場であれば、メンバーにどのような行動を促せば良いのでしょうか。

今日は、学習コミュニティ=実践共同体で、良い学びをたくさん得るための方法を考えていきます。

ということで、今回は「学習コミュニティで良質な学びを多く得るためにはどうすればいい?」についてお伝えします。

では、行ってみましょう!

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良い学びをたくさん得るには「参加」が重要

社内勉強会や地域、オンラインの学びのコミュニティなど、学習コミュニティでの学びの質と量を最大化するためにはどうすればよいでしょうか。

または、学習コミュニティを運営している立場から、メンバーに良い学びをたくさん得てもらうためにはどのような行動を促せばよいでしょうか。

学習コミュニティは学術的には「実践共同体」と呼ばれますが、その中で学びにおいて鍵となるキーワードは「参加」であるとされています。

コミュニティで開かれる勉強会や発表イベント、当然ながら参加をしなければ、そこからの学びは得られないわけですが、実践共同体における「参加」は、それだけにはとどまらない概念となっています。

「参加」に関する2つの重要なポイント

大きなポイントとして以下2点が挙げられています。

  1. 参加のレベルは個人の学びへの関心に応じて、自分で決めることができる
  2. 実践共同体で学ぶ上での学びの質と量は、参加の度合いに応じて決まる

実践共同体の特性として自発性、自律性が挙げられますので、参加するかどうか、またどのように参加するかは、メンバー自身が決定します。

そして、その参加の度合いが高まるほど、多くを深く学べるというわけです。

学習コミュニティ「ノンプロ研」では、月々5500円の会費をいただいています。ですから、メンバーはその分の学びを得られるだろうと期待するわけですが、実はそうではありません。

メンバー自身がどのように参加するかで、参加の価値は異なってくるということになります。

実践共同体で起きている学習

正統的周辺参加とは

実践共同体のベースとなる理論のひとつに「正統的周辺参加」というものがあります。

たとえば、板前さんの世界をイメージしてください。

最初は見習いとして皿洗いや下ごしらえなどの重要性の高くない仕事から入り、ある程度、熟練すると盛り付けや焼き場など徐々に重要な役割や難しい仕事に移行していきます。その過程でスキルや知識も積み重なります。

このように、板前さんの調理場という場の中で、重要性の高くない周辺的な参加からはじまり、徐々に中心的な役割を担うべくコアの参加に移行する。

正統的周辺参加とは、この周辺から中心に向かって参加度合いが深くなることが、スキルや知識を学ぶことであるという考え方です。

実践共同体でも同様で、周辺的なライトな実践の参加からはじまり、徐々に参加度合いを深めていくということ、これがたくさんの学びを深くすることにつながるとされています。

メンバーシップのレベルと役割

実践共同体のメンバーシップは、参加の度合いに応じて以下4つのレベルで表されます。

  • コアメンバー: 中心となって積極的に参加・運営するメンバー
  • アクティブメンバー: 活発に参加するメンバー
  • 周辺メンバー: 参加の頻度や関与度が低いメンバー
  • アウトサイダー: 実践共同体の領域の外側にいるメンバー

しかし、これは必ずしも厳密な分類ではありません。

ノンプロ研の例を見てみましょう。メンバー数は全体で約180名です。

  • コアメンバー: 約1割。約20人程度。イベントや部活を中心的にまわしてくださっています。
  • アクティブメンバー: 約3割。数十人程度という印象です。定期的に何らかのイベントに参加したり、Slackに投稿をしたりといった活動をしています。
  • 周辺メンバー: 約6割。あまりイベントに参加したり、発言したりしません。うち、Slackを見に来ている方が約半数、残りの半数はほとんど活動をしていないようです。

ノンプロ研の正統的周辺参加のようす

ノンプロ研の場合、オンラインのコミュニティであり、活動が多岐にわたっており複雑化しているので、入会後に何もないと、ほとんど参加しない周辺メンバーになりやすい傾向があります。

ですから、入会時にノンプロ研活用1on1を実施したり、講座に参加いただくことで、まずは流れに乗って活動できるアクティブメンバーになるように促しています。

その後、うまく波に乗れるメンバーは、アクティブメンバーとして継続して活動したり、コアメンバーとして活躍したりします。

一方で、講座が終了したり、仕事やプライベートが忙しくなったりというタイミングで、参加度合いが下がり周辺メンバーとなることもあります。

3つの輪が重なったようなドーナツのような図をイメージして、周辺→アクティブ→コア…とメンバーが移動していくような、そんなイメージを持つとよいでしょう。

より参加してもらうためには

運営としては、周辺メンバー全員に、アクティブメンバーになってほしいと願うものです。

しかし、実践共同体での活動は自律的なものですから、強制をすることはできませんし、個々の自律性を尊重する必要があります。

ですから、それぞれのレベルで参加し、楽しく学べるようにしておくのが前提です。

その前提で、できることが2つあります。

多様な実践の場と役割を用意する

多様な実践の場があることで、「これであれば参加したい」と思える機会が増えます。

また、それぞれの実践の場で、いろいろな役割を用意しておき、役割を担ってもらうことで参加レベルが上がることを期待できます。

ノンプロ研でいえば、講座の講師やそれをサポートするティーチング・アシスタント(TA)、発表イベントやもくもく会のモデレーターなどさまざまな役割を用意しています。

簡単な役割でも、提供側にまわることで、活動へのコミット度が上がり、提供後には多くの達成感と学びを得ることができます。

うずうずしているメンバーを見つけてそのような役割を打診し、周辺メンバーからアクティブメンバーに、アクティブメンバーからコアメンバーにという移行をうながします。

活動の情報をくまなく伝える

周辺メンバーも含めて活動の情報をくまなく伝えることも重要です。

コアメンバーやアクティブメンバーは参加度合いが高いので、より多くの活動に関する情報を得られます。しかし、周辺メンバーには意識して情報を届ける必要があります。

ノンプロ研では、Slackを用いていて、原則すべてのチャンネルがオープンなので、全てのメンバーがすべての活動情報にアクセスできるガラス張りになっています(情報量が多くて溺れてしまうという問題がありますが…)。

また、定期的にメルマガを送り、Slackに来ずとも情報を得られるような仕組みも使うことができます。

社内コミュニティでの注意点

社内勉強会などは、学びの形が研修の延長線上になることが少なくありません。

つまり、知識やスキルを持つ人が一方的に教える1対Nのスタイルのイメージが強くなりがちです。

そのままだと、参加レベルが上がらずに固定化してしまうことになりかねません。

ですから、できれば序盤のよきタイミングで、役割をつくったり、入れ替えたり、周辺メンバーがアクティブに、アクティブからコアにという移行をうながす活動を意図的にするとよいでしょう。

周辺からコアに向かって参加レベルを上げていく、これが良い学びを多く得ることができる、このイメージを浮かべながら活動、運営をしていただくとよいと思います。

まとめ

以上、「学習コミュニティで良質な学びを多く得るためにはどうすればいい?」についてお伝えしました。

引き続き、みなさんがいきいきと学び・働くためのヒントをお届けしていきます。

次回は今回お伝えした「参加」以外にも学習コミュニティには多様な学びがあることをお伝えします。

どうぞお楽しみに!

この話を耳から聴きたい方はこちらからどうぞ!

連載目次:学習コミュニティをつくろう!

リスキリングやDXを推進するのにめちゃくちゃオススメなのが「学習コミュニティ」をつくること。このシリーズでは、ノンプロ研の圧倒的事例と「実践共同体」の理論をベースに、熱量高く、楽しく持続する学習コミュニティのつくりかたを紹介します。
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