うまくいく学習コミュニティをつくるために知っておきたい「実践共同体っぽさ」とは

うまくいく学習コミュニティをつくるために知っておきたい「実践共同体っぽさ」とは

みなさん、こんにちは! タカハシ(@ntakahashi0505)です。

リスキリングやDXを進めるには、学習コミュニティ、すなわち実践共同体づくりがめちゃくちゃ有効です。

前回は学習コミュニティをつくる上で参考となる理論「実践共同体」について紹介しました。

しかし、ちょっと勘違いしてスタートしちゃうと、なんかうまく盛り上がらない…ということも。

今回は、そんな勘違いを避けるべく、「実践共同体っぽい」とはどんな状態なのかを見ていきましょう。

ということで、今回は「うまくいく学習コミュニティをつくるために知っておきたい「実践共同体っぽさ」とは」についてお伝えします。

では、行ってみましょう!

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学習コミュニティの運営で難しいのは

正直、学習コミュニティをはじめるのはそんなに難しくありません。

実践共同体の要素は、領域、共同体、実践の3つ。

つまり、領域=テーマと実践=活動内容とそのアウトプットをある程度決めて、メンバーを集めてスタートすればOKです。

ただ、本当に難しいのはこれから。

はじまった学習コミュニティを盛り上げたり、盛り上がった状態でずっと維持したりといったことのほうが格段に難しい…

  • 活動がマンネリ化してきてなんか学びが少ない、面白くないとなる
  • 一部の人ばかりギブしてて、その人たちが疲弊してくる

などなど、こういったことがよく起きてしまいます。

学習コミュニティの運営は、そういった状況を観察してキャッチしながら、必要に応じて改善の手をうっていくということになるのですが、最初に「これじゃない」を知っておくと、初期で大きな罠にハマるのを避けることができます。

「これじゃない」というのは、「実践共同体っぽくない」ということです。

つまり、堅い表現するのであれば、実践共同体の特性を知っておくと、そうじゃない学習コミュニティを構築しなくて済むということです。

実践共同体の特性

実践共同体の特性は以下4つあります。

  1. 自発性・自律性
  2. 相互作用性
  3. 非公式性
  4. 境界横断性(越境性)

一つひとつ見ていきましょう。

自発性・自律性

1つ目の特性は自発性・自律性です。

つまり、実践共同体のメンバーは自発的に参加して、自律的に活動をする必要があります

すなわち、参加するかどうか自分で決めて参加し、参加した後は自分でどう行動をするか決めて行動するということです。

強引にメンバーとして参加させて、参加後もあーしろこーしろと行動を強制するのはダメです。

「腐ったりんご理論」による影響を避ける

なぜ、強制参加がだめなのか。

それは、やる気がない人が、学習コミュニティにまぎれてしまうからです。

そもそも、強制的に参加させられた時点で、一定のやる気は削がれてしまうことも少なくありません。

プラス、「腐ったリンゴ理論」で語られる良くない効果が、学習コミュニティの他のメンバーにもおよびます。

やる気がない人がいると、そのやる気のなさが伝搬するというものです。

ですから、学びに対して後ろ向きな人は、入れないように気をつけないといけません。

その意味で領域設定と、それをちゃんと事前に伝えて、それを理解した上で自発的に参加することが大事なのです。

実践共同体は自律的な学習の場

また、実践共同体はそもそも自律的な学習の場といえます。

ビジネスパーソンの学びを、ひとりorみんな×自律性低いor高いの2つの軸、4つの象限で表すと以下のようになります。

  • ひとりで、自律性が低い →OJT
  • みんなで、自律性が低い →Off-JT、研修など
  • ひとりで、自律性が高い →自己啓発
  • みんなで、自律性が高い →実践共同体

自律性が低い学びの場は、Off-JTですから、そもそも実践共同体ではありません。

相互作用性

相互作用性は、メンバーどうしの相互作用があるという特性です。

コミュニティだから当たり前と思われるかも知れませんが、そうとも言い切れません。

たとえば、あつひとりだけがアウトプットしていて、あとの人はそれを受け取るだけ…これだと相互作用があるとはいえません。

このように、1対Nの関係性、上下関係や主客がはっきり分かれているような集団も少なくありません。

しかし、これではアウトプットをしているただひとりの知識経験が、コミュニティの実践のすべてになってしまい、学びの種類も限定されますし、その人のアウトプットが尽きると活動も停滞してしまいます。

一方で、フラットな関係性で主客がどんどん交代するN対Nの相互作用が起きるのであれば、すべてのメンバーの知識経験が全員に共有されることになります。

一部のメンバーの活動が停滞しても、学習コミュニティとしては十分に活動を維持できますし、学びの総数は増大します。

創発が起き、新しい活動や知識が生まれる機会も増えます。

さらにギブ、すなわち貢献すること自体が学びにもなりますし、幸せにもつながります。そして、ネットワークを通じてそれが伝搬して、増幅されていく…という、好循環が生まれます。

N対Nの関係性をいかに構築して、そこで相互に作用し合える場にするかは、学習コミュニティ運営の大きなポイントです。

非公式性

ノンプロ研のような独立した学習コミュニティには関係のない話ですが、社内コミュニティであれば、会社組織との関係性をどう持つかということを考える必要があります。

実践共同体としては、非公式性が高いほうが、実践共同体っぽいということになります。

以前、学習コミュニティフォーラムラジオで、社内コミュニティを運営している、あずみんと話をしたときに、活動は業務時間外にしているという話がありました。

会社は設備、インフラは支援、提供してくれていますが、それ以外は関与しない、そういった関係性を保つために、業務時間内には活動しないということなのです。

会社の目的は利潤を求めることです。ですから、公式性が強くなると、そこの成果を求められやすくなります。

つまり、「社内コミュニティの活動により、どれだけ利潤に貢献するか説明せよ、報告せよ」ということを求められてしまいます。

しかし、実践共同体の目的はあくまで学習です。回り回って会社の利潤に貢献する可能性は十分にありますが、その優先度を学習より上に置くと、学習を目的とした活動が維持しづらくなります。

非公式性を保つことが、その活動目的を守り、学習や交流の促進につながります

境界横断性(越境性)

境界横断性(越境性)とは、縦と横の境界を横断してコミュニケーションや相互作用を起こしやすくする特性です。

社内コミュニティであれば、そこに誰でも自由に参加できます。それによって別の部署や別の階層の人たちがフラットに学び合うことになります。

本来であれば、部署の壁、階層の壁でコミュニケーションをしづらかった人たちが、社内コミュニティに参加することで、上下、左右、斜めのコミュニケーションや相互作用が生まれます。

これにより、組織内で相互理解が高まり、組織への還元も捗るようになるのです。

ノンプロ研のような独立した実践共同体でも、境界横断性は発揮されます。

異なる業界、役職、職種。そういったメンバーが横断的に集まります。多様な人々と対話し、活動をすること自体が、大きな学びにつながりますし、刺激にもなります。

まとめ

以上、「うまくいく学習コミュニティをつくるために知っておきたい「実践共同体っぽさ」とは」についてお伝えしました。

実践共同体の4つの特性を紹介してきました。わかりづらい学習コミュニティづくりと運営の助けになると思いますので、ぜひご参考ください。

引き続き、みなさんがいきいきと学び・働くためのヒントをお届けしていきます。

次回は実践共同体において学びとはどういうものかについてお伝えします。

どうぞお楽しみに!

この話を耳から聴きたい方はこちらからどうぞ!

連載目次:学習コミュニティをつくろう!

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