みなさん、こんにちは! タカハシ(@ntakahashi0505)です。
リスキリングやDXを推進するにあたり、超おすすめの「学習コミュニティ」。
これまで参考となる書籍が少ないという課題がありました。
しかし、このたびめでたく登場しました!
松本雄一先生による『学びのコミュニティづくり』です。
今回は、学習コミュニティをつくるなら必携ともいえる本書を紹介していきます。
ということで、今回は「学習コミュニティをつくるなら必携!『学びのコミュニティづくり』は実践共同体の入門書」についてお伝えします。
では、行ってみましょう!
希少な日本語の「実践共同体」入門書
実践共同体とその可能性
「実践共同体」というのは、あるテーマについて学ぶことを目的としたコミュニティのこと。つまり、学習のためのコミュニティです。
僕が運営している「ノンプロ研」はまさに実践共同体です。
ノンプロ研は2017年からスタートして、ありがたいことにうまくいっていおり、継続できています。
- リスキリングには実践共同体が有効なのでは?
- 実践共同体として社内や地域に学習コミュニティをたくさんつくったらリスキリングやDXはうまくいのでは?
感覚的にはこのような強い確信がありました。
一方で、どうすればうまくいく実践共同体をつくれるのか、ノンプロ研で培った経験則が、本当に再現性があるのか心配でもありました。
実践共同体についてのこれまでの参考書籍
そこで参考にしたいのが、研究をベースにした書籍ということになります。
コミュニティ・オブ・プラクティス
これまで、一般ビジネスパーソンが実践共同体について学ぼうとするなら、この分野の第一人者であるエティエンヌ・ウェンガーによる『コミュニティ・オブ・プラクティス』くらいしか存在していませんでした。
実践共同体の研究
そんなある日、あるニュース記事で、関西学院大学教授の松本雄一先生が実践共同体を研究されていることを知りました。
書籍出されてないか、調べたらありました…『実践共同体の研究』です。
エティエンヌ・ウェンガーの研究はもちろん、松本先生のものをはじめとする周辺研究について、さらに実践共同体に関連する分野であるコミュニティについてサードプレイス、学習する組織、越境的学習、成人学習論など…僕がこれまで学んできた領域が全部網羅されている宝の山でした。
しかし、本書はガチオブガチの研究書でした。読み進めるのに時間がかかる…
その最中に、僕に救いの手を差し伸べるように発売してくださったのが、『学びのコミュニティづくり』でした。
『学びのコミュニティづくり』の構成
『学びのコミュニティづくり』は、松本先生も冒頭で『実践共同体の学習』のもっととっつきやすい本と書かれているとおり、一般ビジネスパーソンでも読めるように書かれた、実践共同体の入門書です。
以下、構成をながめていきましょう。
第1章 実践共同体とは何か
1章は、実践共同体とは何か、そのメリット、基本的な情報について紹介されています。
これまで、ビジネスパーソンの学習といったらOJT、Off-JT、自己啓発の3種類でのみ語られてきました。
その中で、自律的に学ぶという選択肢は、自己啓発しかなく、それは孤独な学びでした。
自律的で、かつみんなで学ぶという選択肢を提供するのが実践共同体です。
1章では「ひとりで頑張らなくてよい」「みんなでしあわせになりましょう」という松本先生からのメッセージがあり、ずっと学習コミュニティに関わっている身からすると、ぐっとくるものがあります。
第2章 実践共同体に関わる諸理論
2章は、実践共同体の諸理論を紹介するパートで、それぞれの諸理論をコラム形式にまとめてくださっています。
実践共同体をつくることで越境が起きるようになるというメカニズムや、実践共同体を一段高いところから俯瞰して、複数の実践共同体、集団などのひとつとして見る「実践の展望」という概念、また実践共同体が大人の学び、つまり変容的学習を促進することなど、目からウロコの内容盛りだくさんでした。
第3章 実践共同体の学習スタイルと重層型構造
3章は、実践共同体の4つの学習スタイルと、熟達型と交流型の2タイプの実践共同体についての紹介です。
熟達型と交流型はそれぞれ得意とする学習スタイルが異なります。
この2つを組み合わせて、重層型構造にすることで、実践共同体をバランスよく継続できるという話。
ノンプロ研の7年の歴史を当てはめてみるとと、当初は熟達型だったわけですが、徐々に細分化して複数の熟達型の組み合わせになりました。
交流型を場をいかに創出するかがここ2年ほどの課題であり、僕が奔走してる部分でもあると理解できました。
第4章 実践共同体の構築
4章は『コミュニティ・オブ・プラクティス』でも語られていた、実践共同体構築の7つの原則そして実践共同体発展の5段階のモデルという、超実践的なノウハウを、日本語でよりわかりやすく解説してくださっています。
すぐに使えるノウハウとなっています。
第5章 実践共同体への参加とコーディネーターの役割
5章は、メンバーが実践共同体にどう参加するのかという点と、コーディネーターの役割が示されていました。
コーディネーターの役割は「人をつなげること」と「呼びかけ」。
「呼びかけ」はこれまで知らない概念だったので、再度研究してみたいと思います。
第6章 実践共同体の事例・第7章 実践共同体にまつわるQ&A
6,7章は事例研究の解説と、対話形式によるQ&Aです。
これまでの理論を具体的な例から理解を深めることができます。
松本先生にメッセージを送ってみた
巻末に「「あなた」の実践共同体について教えてください!」と記載があったので、ドキドキしながら松本先生にメッセージを送信してみました。
ノンプロ研を立ち上げた経緯と活動内容、現在のDXやリスキリングがうまく進んでいない課題感と、実践共同体の可能性についてお伝えしました。
ほどなくしてあたたかいお返事いただきました。
「実践共同体が効果的」という発想はまだまだ広がっていないように思います。
しかし、ノンプロ研をはじめ、リスキリングやDXにおいて成功している事例の裏の多くには実践共同体があり、そしてその有効性もきちんと研究によって明らかになっています。
僕としては、実践共同体の輪を広げていくという点で、何かしらか影響力を発揮できればうれしいと思っています。
世の中にたくさんの学びのコミュニティを
これまで、「学習コミュニティづくり講座」をつくりたいと進めていたが、経験則に頼らないといけない部分があり、モヤモヤしていました。
『実践共同体の研究』と本書のおかげで足りないピースがかなり埋まった感覚があり、元気よく「こう作るといいよ」と伝えられそうです。
まずは、Voicyと本ブログの「学習コミュニティをつくろう」シリーズでお送りするとともに、学習コミュニティづくりについての同人誌執筆や講座化を目指していきたいと思います。
まとめ
以上、「学習コミュニティをつくるなら必携!『学びのコミュニティづくり』は実践共同体の入門書」についてお伝えしました。
引き続き、みなさんがいきいきと学び・働くためのヒントをお届けしていきます。次回をお楽しみに!
この話を耳から聴きたい方はこちらからどうぞ!